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電脳勇者の廻界譚 RE!~最弱勇者と導きの妖精~    作者: お団子茶々丸
第1章・旅の始まり
15/111

第14話 忌み魔女ヘイゼル


 私は‥‥とある理由から、魔女として迫害され故郷の町を追われた。

 聖都から魔女認定を受け、正式にお尋ね者となった私の首には多額の懸賞金がかけられていた。


 何度も町を転々として、懸賞金目当てのギルドの連中や、教会から派遣された聖都の騎士達から逃げ続ける日々を送ったわ。


 心が休まる日なんて無かった。信頼のおける友人や、優しい隣人に何度も裏切られた。


 皆最初は優しかったけれど‥‥私が聖都から追われている魔女だと気が付くと、目の色を変えて私を捕らえようとした。


 そうそう、「私はそれでも貴女の味方だよ」なんて(うそぶ)いて‥‥私が眠りについた時間に夜襲を仕掛けてくるような輩もいたかしらね。


 そんな綱渡りの人生にほとほと疲れ果てていた頃、私は――とある森に流れ着いた。


 生命溢れる豊かなその森に、私を拒む存在は一切無い。


 人間の社会に心底嫌気がさしていた私にとっては、まさにその森は楽園のような場所だった。

 

 ここに居ればもう傷つくことは無い。

 私は、一生をこの森で終えることを決めた。



 森に流れ着いてから数年。森での生活にもすっかり慣れた頃、私は日課の朝の散歩を楽しんでいた。


 優しくそよぐ風に髪を僅かになびかせながら、深い緑の中を歩く。

 いつもと変わらぬ、気持ちのいい朝の一幕のはずだったが―――その日は違った。





「だ、誰か助けてえええ!」


 朝の森の静けさを唐突に撃ち破るように、少女の悲鳴が森中に響き渡った。


「まさか―――人間?」


 こんな森の奥深くに、誰かいるの‥‥?

 人間は森の魔物を恐れて、こんな深いところまでは近寄らないはずなのに。


 不審に思いながらも、ヘイゼルは声の方向へ歩を進める。


「確か、このあたりで聞こえたはずだけど」



「う、上です!そこの人!!助けてください!!」


 頭上から慌ただしい声が聞こえる。


 ふと見上げてみると、そこには服が木の枝に引っかかって今にも落っこちてしまいそうになっている、少女の姿があった。


「・・・」


「何してるの?」


「いやぁ、木の実を採ろうとこの大木に登ったら、足を滑らせちゃって‥‥」

「もし良かったら助けてくれませんかね――?」


 申し訳なさそうに顔を赤らめながら、少女は呟いた。


「分かった、要するに‥‥そこから降ろせばいいのね」


「はい!ありがとうございま―――ヴぁっ!?」

「ちょっ!?何してるんですか!?」


「何って、貴女を助けようとしているのよ」


 そう冷酷に言い放ちながら、ヘイゼルは木の幹を何度も蹴り続けた。

 蹴りが命中するたびに、大木全体が葉を散らしながら大きく揺れる。


「いや!!危ないですって‥‥!ていうか!蹴りの威力高っ!!!」

「落ちちゃいます!落ちちゃいますから!!」


「落とすのよ」


「そしたら死んじゃいますって!!!」


「ちゃんと受け止めてあげるから、安心しなさい」


「無理無理!!絶対無理!」

「どれだけ高さがあると思っ――――キャアアアッ!!」


 言葉を言い終える暇もなく、少女は大木の枝から振り下ろされた。

 数十mの高さから地面めがけて真っ逆さまに落下する―――!この勢いのまま激突すれば、間違いなく即死だ。


「いやあああああああああ!!!!!!!!!」


「受け止めなさい」


 へイゼルの言葉に反応するように、地面に生い茂った草が一カ所に集結し、膨張する。変化した草は、さながらクッションのようであった。


 ぼふっ、と音を立てて、少女は草のクッションの上に落下する。


「あれ―――痛くない」


「当たり前でしょ、そういう風に作ったんだから」


 冷たい眼差しのまま、ヘイゼルは草の上に座り込む少女を見下ろす。


「つくった?」

「お姉さんもしかして、魔法が使えるんですか‥‥!?」


「ちッ‥‥」


 余計なことを口走ってしまった―――と、ヘイゼルは後悔した。


「どうだっていいでしょ、そんなこと」

「用が済んだならさっさと家へ帰りなさい、ここは子供が来るようなところじゃないわ」


 さっさとその場から去ろうとするヘイゼルを、少女は必死になって呼び止める。


「待ってください!!」

「命を助けてもらったんです!ぜひお礼をさせてください!!」


「いらない」


「私の名はオリーブ、貴女の名前はなんというのですか?」


 オリーブと名乗る少女は、一歩も退かずに、ヘイゼルへ詰め寄った。


「――――」


「‥‥ヘイゼル」


 少女の真っ直ぐな視線に圧されるように‥‥ヘイゼルはぶっきらぼうに答えた。


「ヘイゼル、ヘイゼル――――!」

「ふふっ!綺麗な貴女にお似合いの、素敵な名前ですね!」


「そ、そうかしら‥‥」


 自分の名前を誉められたのは初めてだ。

 嫌な気はしないけれど――――少し照れくさい。


「ではヘイゼルさん、私についてきてください!」

「村まで案内します!お礼はそちらで!」


「いや、私は――――」


「すっごく小さな村だけど、皆いい人で、すごく楽しいところなんですよ!」


 はつらつとした笑顔で語るオリーブ。

 結局、ヘイゼルは彼女の誘いを断りきることができず‥‥しぶしぶ村へと出向いて行った。




 ~オリーブの住む村~



「みんな~!ただいまー!」


「オリーブ!姿を見ないと思ったらあんた、森へ入っていたのかい!?」


「うん!ほら、見てこの木の実、こんなに沢山採れたんだよ!」


 自慢気に、森で採取した色とりどりの木の実を見せつけるオリーブ。


「まぁ!それだけあれば、いくつかは染料に使えそうだねぇ」


「おい、オリーブ」

「そちらの方は?」


 農作業をしていた一人の村人が、オリーブの後ろで棒立ちしている私に気が付いた。

 珍しいモノを見るかのような眼で―――まじまじと私を見つめている。


「この人はヘイゼルさん!森で困ってた私を助けてくれた、命の恩人なんだー!」


「ど、どうも・・・」


 こういう時どういう顔をすればいいのか分からない。

 挨拶の仕方はこれで良かったかしら‥‥?


「なんと、それは!」

「オリーブを助けていただき、ありがとうございます」


「私からも礼を言うよ、ありがとうねぇヘイゼルさん!」


 笑顔で感謝の言葉を述べられたのはいつ以来だろう。

 何だか胸がこそばゆい‥‥ここから早々に立ち去ろう。


「で、では私はこれで―――」



「大変だー!森から魔物が押し寄せて来るぞーーー!!」



 ヘイゼルが立ち去ろうとした瞬間、慌てた様子で村の男が走ってきた。



「!」


 森から魔物ですって?

 森の奥深くならまだしも、この周辺には人を襲うような魔物は居なかったはず。


「それは確かなのか!?」


「間違いない!森の方から村を目掛けて一直線に迫って来てやがる!」


「何てことだ‥‥やっと安住の地を見つけたというのに!」


「オリーブ!ミケリアを連れて早く村から出るんだよ!」

「魔物は大人たちで食い止めるから、あんたは妹と・・・・・」


「その必要はないわ」


「!?」


「ヘイゼルさん・・・?」



「私が行く」





 (わら)にも(すが)る思いで、村人たちはヘイゼルを森と村の境界線へと案内した。


「ほ、ほんとにアンタ一人に任せていいのか?」


「大丈夫って言ってるでしょ?」

「早く離れないと、あなたも巻き込まれるわよ」


「わ、わかった‥‥気をつけてな――!」


 怯えるように、太った村人はヘイゼルから離れていく。



「・・・さて」


 砂煙をあげながら、村の方へ迫ってくる狼のような魔物の群れ‥‥正確な数までは分からないが、30匹以上は確実だろう。


 だが、それよりも気になることがある。


「やっぱり‥‥何かおかしい」


 森から迫っているあの魔物の名前は“デザートウルフ”気温の高い砂漠地帯にのみ生息する魔物で、本来はこんな緑豊かな森では見かけるはずのない、異国の魔物。完全なる外来種だ。


 なぜ、そんな魔物がここに?



「ガルウウアアアア!!!!!!!」



 怒涛の勢いで迫りくるデザートウルフの群れ。その距離は、僅か数十mにまで迫っていた。


「まぁ、私には関係のないことね」


 ここで考えても仕方ない、とにかく今は‥‥こいつらを吹き飛ばすことだけを考えよう。


「丸焦げになりなさい、アグニル」


 そう唱えると、ヘイゼルの周囲に無数の炎の玉が浮かび上がり、流星のようにデザートウルフの群れへと降り注いだ―――!


 数多の爆炎と衝撃が、デザートウルフを吹き飛ばしながら周囲に響き渡る!


「すごい…!」


「あれは、魔法なのか‥‥!?」


 集まった村人たちはヘイゼルの魔法に釘付けになっていた。


 立ち込めた煙が晴れる頃にはデザートウルフの群れは跡形も無く消え去り、さきほどまで騒々しかった現場は嘘のように静まり返っている。


 圧倒的。


 赤子の手をひねるかのように、ヘイゼルは魔物の大群を、一瞬にして葬って見せたのだ。


「・・・」


 ああ、派手にやってしまった。

 できれば、もう人前では魔法は使いたくなかったんだけど。


 まぁいい、早々に立ち去れば‥‥魔女だ何だと騒ぎ立てられることもないだろう。



「すごい!すごいよヘイゼルさん!」

「あれだけの魔物を一人でやっつけちゃうなんて!」


 オリーブの予想外の言葉に戸惑うヘイゼル。

 

 おかしいな‥‥このタイミングで魔女だとか、魔物の娘だとか、色々騒ぎ立てられるのがいつものパターンだったのだけど―――。


「あんた、腕っぷしは細いのに随分とした手練れなんだね!」


「ヘイゼルさんのお陰で、この村は助かったよ!本当にありがとう!!」


「全くだ―――重ね重ね、なんとお礼を申し上げたらいいか」


 村人たちはヘイゼルを取り囲み、ありったけの感謝を述べる。

 家に隠れていた村人たちも、たちまち飛び出してきて、拍手喝采の賞賛をヘイゼルへと捧げた。


「・・・」


 私が生まれ故郷の町にいたころ―――私は女神の生まれ変わりとして、何度も人の為に魔法を使った。毎日のように、多くの人々から感謝の言葉を浴びるように受け取っていたのだ。


 だけど、それはどれも空っぽで、中身のない空虚な言葉ばかりだった。


 でも、この村の人間たちは違う。本当に心の底から、一片の偽りもなく‥‥心の底から感謝しているのだ。


 無性に胸が暖かくなる。救われたのは村の人間たちなのに、これではまるで私が救われたみたいじゃないか。



「本当にありがとう―――この村の長として、礼を言う」

「村からの精一杯の感謝として‥‥こちらを受け取ってほしいのだが」


 そう言って、村の長を名乗る老人は年季を感じさせる、古びた指輪をヘイゼルへと差し出した。


「お礼なんて別にいいわよ、あんな雑魚‥‥いくら来ようが私の敵じゃないし」


「ですが、貴女は村の恩人」

「恩人を手ぶらで帰したとあっては…この村を託してくださった女神様に叱られてしまいまする」


「そ、じゃあ貰っておくわ」


 そう言ってヘイゼルは、村長から指輪を受け取った。


「―――この指輪、僅かに魔力を感じる」


 それに、何だか懐かしいような‥‥。


「その指輪は遥か昔、この村の創設者が女神様より授かったと言われる、曰くつきの指輪なのです」

「なんでも、あのイルエラ森の支配者であることを示す指輪でもあるとか」


「そんな凄いもの、本当に貰ってもいいの?」

「私は騎士でもなければ、冒険者でもない――――ただの魔女なのよ?」


「それでも、この村の恩人であることに変わりはありません」


 村の長は、笑顔一つ崩さずに、優しくヘイゼルに微笑みかけた。



「ヘイゼルさん!」

「きっとまた、この“ルエル村”に遊びに来てね!約束だよ!!」





 その日以来、ヘイゼルは頻繁に村へ姿を現すようになった。


 ヘイゼルは卓越した魔法で村の土地を開拓し、より村人の生活を豊かなものにした。

 農作物が不作に見舞われた時は、森で手に入れた様々な木の実や作物、動物の肉などを村へと捧げた。


 村はヘイゼルの力によってみるみる成長し、大いに繁栄した。


 人々はヘイゼルに感謝し、ともに食卓を囲み、ともに日常を過ごし、ともに祭りを楽しんだ。ヘイゼルも、ルエル村の人々も‥‥毎日が幸せであったのだ。


 この時間がずっと続けばいいのに―――ヘイゼルは心の底からそう思っていた。







 しかし、幸福の時間は長くは続かなかった。




 ヘイゼルが村に姿を現すようになって5年の月日がたった頃。




「村長の容態‥‥どんどん悪くなってるみたい」


「―――そう」


 ここ最近、ルエル村では謎の疫病が大流行していた。

 罹った者は、体中に黒いアザのようなものが発生し‥‥三日三晩、高熱にうなされた後に死亡するという。


 ヘイゼルの治癒魔法をもってしても治すことのできない、強力な病であった。


「‥‥ヘイゼルさん」

「ルエル村が無くなったら、どうしよう‥‥」


 眼に涙を浮かべながら、オリーブは、静かにヘイゼルへと抱きかかる。村人たちはオリーブを、いつだって弱さを見せない強い娘だと褒めていたが―――それは違う。


 彼女の心は年相応の少女のように、どうしようもなく弱い。

 ただ、みんなの前では強がって‥‥弱さを見せないように振舞っているだけだ。


「ルエル村は無くならない―――絶対に、私が守って見せる」


 強く、強くオリーブを抱きしめる。

 これ以上‥‥彼女に辛い思いをさせてなるものか。


 私は村を疫病から救うため、一つの決心をした。


「聞いて、オリーブ」

「私は明日から少しの間‥‥森にこもって疫病の研究をしようと思う」

「そしていつの日か必ず、疫病を治す薬をもってここへ帰ってくる」


「少しの間お別れになるけれど‥‥私の帰りを待っていてくれる?」


「うん‥‥分かった‥‥でも、絶対帰って来てね」

「約束だよ――――!」


「ええ、約束」

「必ず‥‥薬をもって帰ってくるから」




 翌日、ヘイゼルはイルエラの森へと姿を消した。


 その日から彼女は、雨の日も風の日も一日中森を駆けずり回り‥‥時には泥だらけになりながら、色々な薬草を拾い集めた。何度も何度も実験し、何度も何度も失敗した。


 しかし、ヘイゼルは決して諦めなかった。


 帰りを待つオリーブのために、苦しむ村人たちの為に、毎日一睡もすることなく‥‥彼女は疫病を治す手段を研究し続けた。



 

 そして―――――。





「できた‥‥これなら!」




 ヘイゼルが森へ入って3ヶ月、ついに薬が完成した。



 ヘイゼルは急いで村へ駆けつけると、オリーブの家へ飛び込んだ。




「オリーブ!!待たせたわね、ついに薬が完成したわ!」

「この薬を飲めば、疫病を治癒することができる!これで‥‥ルエル村を救えるのよ!」


「――――オリーブ?」


 家の中を見渡すが、シーンと静まり返っており‥‥どこにも彼女の姿は無い。

 どこかに出かけているのだろうか?




「何してるの?」


「!」


 背後からの突然の声に、急いで振り向くヘイゼル。

 そこには、一人の少女が呆然と立ち尽くしていた。


「ミケリア‥‥」


 彼女の名はミケリア。オリーブと4つ年の離れた妹だ。


 私はオリーブとは村で一番仲が良かったが、対照的にミケリアとはあまり話をしたことが無い。

 森から来た私を敵視しているのか‥‥どうも、彼女は私のことが嫌いらしかった。声をかけて無視をされたのも、一度や二度の話ではない。


「オリーブがどこに行ったのか知らない?」

「家には居ないみたいだけど―――」






「お姉ちゃんなら、昨日死んだよ」

「一週間くらい前に、疫病にかかったんだ」



「――――――は?」


 嘘だ。


「何を言ってるの?オリーブが死ぬなんて、そんなこと‥‥」


 あんなに元気だったオリーブが、流行り病にかかる訳がない!

 あの子は今まで一度だって風邪をひいたことが無いし、私がちょっと小突いてもケラケラ笑っているほど石頭だったし、いつだって元気に森を駆け回っていた!


 こんなの、質の悪い冗談に決まって‥‥。


「死んだよ、お姉ちゃんは」


「!!」


 頭を木槌で叩かれたように、ひどい衝撃が走る。


 嘘だ、いやだ‥‥信じたくない。


「‥‥ああ」


 全部、私のせいだ。

 私が――――私がもっと早く薬を開発できていれば。


 オリーブも一緒に森へ連れていくべきだった。

 そうすれば疫病にもかからないで、死ぬこともなかったのに‥‥。


 悲嘆の中、ヘイゼルは残酷な現実を受け止めることができず、膝らか無気力に崩れ落ちた。


「もう貴女はこの村に必要ない」

「さっさと出て行った方がいいよ」


「どういう意味‥‥?」


 ミケリアは冷酷に吐き捨てると、村のどこかへと姿を消した。


「オリーブ‥‥」


 こんな姿、彼女には見せられない。


 涙を拭いて、ヘイゼルは立ち上がる。

 この村にはまだ疫病で苦しんでいる人がたくさんいる‥‥その人たちのためにも、いつまでも下を向いている訳にはいかない!


「ごめんね―――また、会いに来るから」


ヘイゼルは、後ろ髪を引かれる思いで――オリーブの家を後にした。


 家を出ると、何やら広間の方から大勢の村人たちの歓声が聞こえてくる。

 収穫祭にはまだ早い―――こんな時期に、村人たちは一体何をしているのか。


 不審に思ったヘイゼルは村の広間へと駆け出す。



「―――!」



 そこで目にした光景は、彼女の想像を絶するものであった。


 大宴会だ。

 村人が、広間で大宴会を開いている。村のどこにも、疫病で苦しむ患者は見当たらない。


 大量の患者は、いったいどこに消えたの?

 いや、それより‥‥どうして宴会なんか開いているの!?


 ヘイゼルの頭に次々と疑問が浮かんでは消える。

 お願い誰か‥‥この状況を説明して‥‥。



「!」



 立ち尽くすヘイゼルに一人の男が気が付いた、そして‥‥。


「みんな!!見ろ!ヘイゼルだ!!ヘイゼルが戻ってきたぞ!!!」


「何ですって!?」

「よくここへ戻ってこられたわね!!」


「この嘘つき魔女め!」


 ヘイゼルに気が付くなり、村人たちは血相を変えて罵声を浴びせ始めた。

 いったい、何が起こっているのか―――ヘイゼルには全く理解ができなかった。


「みんな、どうしちゃったの‥‥?」

「疫病はもう大丈夫なの‥‥?」


「自分で蒔いた種なのに、よくそんな白々しいことが言えるな!!」


「そうよ!疫病を蔓延させて、この村を乗っ取ろうとしたくせに!」


 

 疫病を―――蔓延させた?

 村を乗っ取る?


 何を言っているの、私は疫病から村を救うために、今まで必死に‥‥!


「出ていけ!この魔女!!」

「さっさと消えて頂戴!!もう顔も見たくない!!!」


「待って‥‥」


 お願いだから―――私の話を聞いて―――。


「私、頑張って薬も作ったの‥‥」

「これがあれば‥‥もう誰も疫病に苦しまなくてもすむ―――!」


「うるせぇ!!」

「疫病の患者なんて、もうこの村には誰一人としていないんだよ!!!」


 男はヘイゼルから薬の入った小瓶を乱暴に奪い取ると、森の中心で激しく燃え盛る焚火の中へと放り込んだ。



「!!」



 私の‥‥私の希望が!

 オリーブと約束した、最後の希望だったのに!




「――――何を騒いでいるのです?」


「○○○○様!!」


 群がる村人の間を割って‥‥一人の女が現れた。



「ヘイゼルだ!ヘイゼルが戻ってきたんだよ!!」


「まぁ、あの魔女が」


 女は氷のように冷たい瞳で、ヘイゼルを見つめる。その瞬間ヘイゼルは直感した。

 この女が何者かは分からない、だけど‥‥この異常事態の全ての元凶は彼女の仕業に違いないと確信したのだ。


「何者よ、あんた」


「○○○○様に向かってなんて口の利き方をするんだ!!」

「彼女は、この村から疫病を取り除いてくれた奇跡の魔法使いなんだぞ!!」


「疫病を取り除いた‥‥?」


 まさか、数十人いた患者を、たった一人で全て治療したというの?


「私はさすらいの魔法使い‥‥先月、偶然この村に立ち寄ったのですが―――どうも皆さんが疫病で苦しんでいるようでしたので、勝手ながら治療を施させてもらいました」


「○○○○様が居なければ、今頃みんな疫病で死んじまってたよ‥‥本当にありがとう!」


「お礼なんて要りませんよ、私は当然のことをしたまでです」


 白々しい笑いを浮かべながら―――女は続ける。


「さて、ヘイゼルさん」

「貴女はどうしてルエル村に疫病を広めたのですか?」


「私は疫病を広めてなんかいない!」


「とぼけるな!!」

「お前が村に現れてから、森には凶暴な魔物があふれ出し、頻繁に村を襲うようになった!!」


「魔物や疫病を操って、この村を乗っ取ろうとしたんだろう!」

「○○○○様には、全てお見通しなんだぞ!」


「みんなを騙して‥‥本当にひどい!」


 村人たちは口々にヘイゼルを非難し、罵倒した。


「落ち着いてください、皆さん‥‥彼女の言い分も聞いてあげましょう」


 ニタリ、と女は不敵な笑みを浮かべる。



 ああ‥‥そうか。


 全て、この女の入れ知恵か。

 私の居ない間に、あること無いこと‥‥村の住人に言いふらしたのだろう。


 疫病を持ち込んだのも、きっとこいつだ。だから直ぐに治療魔法を編み出すことができたのだ。

 

 だが‥‥私がどれだけ言葉を紡ごうと、この状況は覆らない。


「弁解はしない、だけど一つだけ聞かせてほしい」

「昨日、オリーブという少女が疫病で亡くなったはずだ」


「オリーブ?ああ、あの娘ですか」


「なぜ救わなかった」


「‥‥‥私も全力を尽くしたのですが、力及ばず……」


 女は芝居がかった仕草で項垂れ、いかにも哀しそうな表情を作って見せた。


「お前が疫病で殺したくせによくそんなことが言えるな!!」

「この悪魔!」


「○○○○様から聞いたぞ‥‥お前、聖都の連中から追われているそうじゃないか」

「何でも“女神の生まれ変わり”を自称して、教会ごと町を乗っ取ろうとしたそうだな」


「!!」


 違う!

 あれはみんなが私を‥‥!


「ふん!今度は手頃なこの村を乗っ取ろうてか?!」


「黙れ!!!!」

「お前達に‥‥何が分かる!!!!」


「ひいっ!」


「皆さん、魔女を刺激してはいけません――!」

「ここは私に任せてください」


「○○○○様―――!」


 激昂するヘイゼルに怯え、村人たちは女に縋りつくように大人しくなった。


「魔女ヘイゼルよ、今すぐこの村から消え去りなさい」

「さもなくば―――この私がサマリの神々に代わって貴女に天罰を下す!」


 女は意気揚々と杖をヘイゼルの方へと向ける。


 しかし―――もはやヘイゼルに戦うほどの気力は残ってはいなかった。



「――――」


 ヘイゼルは力なく、森へと歩き出した。

 

 こんな村、言われなくても去ってやる。


「おお!やったぞ!」

「○○○○様が、魔女ヘイゼルを追い払った!!」


「貴女こそ、この村の救世主だ!!」


「ふふ、私は何もしていませんよ」

「貴方たちの勇気が―――あの忌々しい魔女“忌み魔女ヘイゼル”を打ち払ったのです」





 ―――分かっていたはずだった。


 人間は弱い生き物だ、強い風が吹けばそちらへ(なび)かずにはいられない。

 期待をしても、裏切られる。信頼をしても、最期には裏切られるのだ。


 どれだけ頑張っても、苦労しても―――いつだってただの徒労に終わる。


 結局、私の人生に報いなんて―――無かったのね。






  ~5年後―――イルエラの森・最奥~



 あの日から、私はずっと森にこもっている。

 村人たちは私を恐れて森へは入ってこなくなったし、ここでの生活はやはり静かでいいものだ。


 何も信じない、何も期待しない、誰にも依存しないし、誰にも頼らない。この4つを守るだけで‥‥もう二度と裏切りに会うことはない。



 こんな簡単なこと、もっと早く気が付けばよかったな。


 ああ、本当に―――森での生活は清々する。

 この森だけが、(ただ)れきった私の心を癒してくれる。


 そんなことを想いながら、ヘイゼルは朝の散歩へと出かけた。

 今日はいつもより日差しが強い。


 そういえば、オリーブと初めて会った朝も‥‥。



 ――――――――――。

 


 まぁ、どうでもいっか。



 軽い足取りで森の中を歩くヘイゼル。

 強い日差しに圧倒され、そろそろ帰ろうかと思い始めた時‥‥視界に飛び込んできた、とある異物に気が付く。


「―――あれは」


 間違いない。

 人だ。木の傍で人が倒れている。しかも身には、ルエル村の伝統衣装をまとっているではないか。


 信じがたいことに、村の人間が森へ入ってきたのだ。



「―――」


 私には関係ない。

 ヘイゼルは早々に立ち去ろうとするが―――。


「ヘイゼル‥‥」


「!」


 地面に突っ伏したまま、村人はヘイゼルを呼び止めた。


「この声‥‥!」


 ヘイゼルは急いで、うつ伏せに倒れこむ人間をひっくり返し、ローブで隠された顔を覗き込む。


「アンタは―――」


 この姉譲りの美しい瑠璃色の髪は‥‥間違いない。

 木の傍で倒れていたのは、オリーブの妹ミケリアであった。


 ヘイゼルは彼女を担いで、少し速足で帰宅した。



 ~ヘイゼルの家~



 とりあえず、疲労を回復する効果のある薬草を調合して飲ませて、ベッドで寝かせてみた。


「―――」


 倒れていたのが他の村人ならば、私はきっとあのまま見捨てていただろう。

 しかし…ミケリアはオリーブのただ一人の妹だ。


 彼女を悲しませないためにも、絶対に見捨てるわけにはいかなかった。



 いや―――それも違うか。

 きっと私はミケリアに、かつての自分を重ねてしまっているのだろう。


 血まみれになりながらも、私を逃がしてくれた偉大な姉。

 私も彼女のようになりたいと‥‥偽善でミケリアに手を差し伸べたのだ。



「―――はぁ」


 あの村にはもう関わらないと決めていたのに‥‥。



「――――どうして助けたの?」


 ベッドに横たわり―――目を閉じたまま、ミケリアはヘイゼルへと尋ねた。


「ただの気まぐれよ」

「動けるようになったんなら、さっさと帰りなさい」


「冷たいのね」

「お姉ちゃんにはあれだけ優しかったのに」


「――――」

「オリーブの仇を打ちに、ここまで来たの?」


 村の連中は皆あの女に騙されて、私が疫病を広めたと信じ込んでいる。

 ミケリアにとって、疫病に殺されたオリーブは、言い換えれば私に殺されたようなものだ。


「まさか、私が貴女に勝てるはずないもの」


「じゃあ一体、何のために森へ‥‥」


「今日は、貴女と話をしに来たの」


 ミケリアはゆっくりと眼を開け、オリーブと瓜二つの美しい瞳でヘイゼルの瞳をじっと見つめる。


「貴女が知ってるオリーブお姉ちゃんのこと、貴女が歩んできた今までの人生について――――聞かせてほしい」


 ミケリアの予想外の発言に思わず耳を疑う。

 オリーブについてはともかく、私の人生だって?


「そんなこと聞いてどうするの?」


「いいから、聞かせて」

「話してくれるまで、一生ここを動かないから」


 それはちょっと嫌だ。


「長くなるけど、いいんでしょうね?」


「別に‥‥いい」

「早く始めて」


「―――」


 全く、姉と違ってなぜここまで不愛想なのか。

 まるで私みたいだ―――なんて、馬鹿なことを想いながら、ヘイゼルはオリーブとの出会い、そして今までの自分の歩みについて‥‥丁寧にミケリアへと語り聞かせた。




「――――そう」


 話を聞き終えると、ミケリアはただ一言、そう呟いた。外はもう日が暮れて真っ暗だった―――我ながら、相当長い時間話し込んでいたらしい。


「――――もう夜も遅いわ」

「今夜は泊っていきなさい」


「‥‥」


 沈黙を了承の合図とみなして‥‥ヘイゼルは寝支度の準備をしようと、ベッドの傍の席を立つ。


 しかし、ベッドに横たわるミケリアに背を向けた刹那。





 ―――――ドスッ。



「!?」


 突如として、体中に鋭い痛みが走る。



「――――ッ!?」


 振り返るとミケリアが、隠し持っていたナイフで‥‥私の脇腹を突き刺していた。

 じわりと服に血が滲み、ぽたぽたと床に血が滴り落ちる。


「くッ――――!」


 ミケリアはナイフを勢いよく私の体から引き抜くと、血に濡れたナイフを握りしめたまま、床へ崩れ落ちた。


「何で‥‥」

「分からない、分からないよ‥‥」


「こいつはお姉ちゃんの仇なのに!殺さないといけないのにどうして‥‥」

「どうして‥‥お姉ちゃんみたいに優しいんだよ‥‥!」


 ぼろぼろに涙をこぼしながら、ミケリアは叫ぶ。


 彼女の心の中では今、大きな葛藤が起こっていた。




~~~~~3日前~~~~~~~~~





「ねぇ、そこの貴女」

「貴女―――オリーブちゃんの妹よね?」


「‥‥そうですけど」


「お姉ちゃんに、また会いたい?」


「――どういう意味ですか」


「私は治癒の魔法に長けた魔法使い、死んだ人間を生き返らせることだって可能なの」


「!?」

「まさか―――!」


「そう、貴女が望むなら‥‥オリーブちゃんを生き返らせてあげてもいいわ」

「ただし、条件付きだけどね」


「お願いします―――!」

「お姉ちゃんが戻ってきてくれるなら私、何でもします!」


「ふふ、お姉ちゃんと違って物分かりが良くて助かるわ」


「じゃあ――――はい、これ」


「これは‥‥ナイフ?」


「これで忌み魔女を殺しなさい」


「!!」


「そうすれば、貴女はまたお姉ちゃんと一緒に暮らすことができる」

「幸せだったあの頃に戻れるのよ―――?」


「‥‥」


「分かりました、○○○○様‥‥必ず、この手で忌み魔女を殺して見せます」




~~~~~~~~~~~~~~




「お姉ちゃんが疫病を治療してもらえなかったのはきっと、○○○○様からこのナイフを受け取らなかったから‥‥」

「たとえ自分が死ぬことになろうとも、ヘイゼルを殺すという選択だけは‥‥彼女は決して受け入れなかった!」


「なのに私は―――お姉ちゃんが命がけで守った命を‥‥今、この手で殺そうとしてる」

「こんなことをして、お姉ちゃんが生き返ったとしても‥‥喜ぶはずなんて無いのに―――!」



「―――ミケリア――」



「ああ‥‥私って本当に馬鹿だ」


 泣きじゃくりながら‥‥彼女は手に持ったナイフの切っ先を、自らの喉元へ向ける。



「待って、ミケリア‥‥!」


 今すぐ殴ってでも、ミケリアを止めてやらなければ。


 けれど体が、痺れて言うことを聞かない‥‥!

 ナイフの切っ先に毒でも塗っていたのか…!?


 ふざけないで‥‥アンタが死んだところで何も変わらないでしょうが‥‥!




「ごめんねヘイゼル、私もう疲れちゃった‥‥」



「ミケリア―――!!」


 動け、動け‥‥!

 今動かないと、ミケリアが―――!!



「ヘイゼル‥‥貴女はきっと、自分だけの幸せを見つけてね」



 そう言い遺すと、彼女は自らの手で―――その美しい喉笛を切り裂いた。



「あ――――ああ――――」


 バタリ、とミケリアは力なく倒れこむ。


 先ほどまで話していた彼女はもう、動かない。


 たったいま、ヘイゼルの目の前で自ら命を絶ったのだ。




「―――どうして」


 どうして、この世界にはこんなにも哀しい出来事が溢れているのか。


「‥‥許さない」


 ああ。


 許さない。

 決して許しはしない。


 ルエル村の連中も。


 彼らを(たぶら)かし、村の支配権をまんまと手に入れた魔性の女“ソルシエ”も!!


 決して許しはしない‥‥!!


 どれだけ時がかかろうとも必ず復讐してやる。

 この呪われた力を以てして、いつの日か必ず。

 

 この森ごと、全てを焼き尽くしてやる――――!!!!




 そして‥‥140年の年月をかけ、私は広大なイルエラの森全てを焼き尽くす魔法を開発した。

 全ては悪魔のような本性を隠し、現代まで生き続ける魔性の怪物。ソルシエへと復讐するために。





「―――――これが忌み魔女の伝承の全て」

「後の世の人間が創った都合の良い話とは違う、本当の話」


「どうして‥‥それを先に言わなかったんだよ」

「事情を説明していたら、僕達はここまで争わなくて済んだかもしれないのに‥‥」


「はっ、忌み魔女の戯言を、一体どこの誰が信じるというの?」

「ここではいつでも、誰かの不安のはけ口になる絶対悪が必要なのよ―――!」


「どれだけ言葉を紡ごうと、無駄なこと‥‥魔女はみんなに忌まれ、疎まれ、蔑まれるだけ」

「呪われた子として生き続けるか、さっさと死んで楽になるか‥‥忌み魔女に救いなんて、最初からなかったの」


 ヘイゼルは自らの運命を呪うかのように、恨めしく―――全てを諦めたような重く暗い声色で呟いた。


「お喋りはもういいでしょう?さぁ、早く私を殺‥‥」



「じゃあ―――この森から逃げちゃえばいいよ」



「!?」


 少年は淡々と、ただただ真っ直ぐに胸の内を告げる。


「この森の外には想像もつかないほど大きな世界が広がっている‥‥」

「そこにはきっと、キミが幸せになれるような居場所だってあるはずだ」


「居場所?」

「私は忌み魔女なのよ‥‥?!」


「だから?」


「!」


「森の外の世界に比べたら忌み魔女なんて、小さな小さな悩みさ」

「この森がすべてじゃない―――君を愛してくれる人だってきっといる‥‥絶望するのは、世界中を見て回ってからでも遅くは無いんじゃないか?」


「外の世界‥‥」


 また小さいころみたいに、自由に外の世界を羽ばたけたら‥‥どんなにいいことか。

 でもそれは忌み魔女である私にとって、あまりに贅沢過ぎる願いだ‥‥叶うはずが無い!


「余計なお世話よ!」

「私はここまでいい!生きていたって仕方ないの‥‥!」


「じゃあ、僕もここまででいい」


 少年はそう呟くと、ヘイゼルの横にちょこんと座り込んだ。

 辺りにはもう焔が広がっている‥‥早く魔女にとどめを刺さなければ、彼も焔に巻き込まれて死ぬのは目に見えていた。


「ッ!」

「くだらない同情なら―――!!」


「同情なんかじゃない」


「!?」


「同情なんてしない‥‥僕は君に惹かれた」


「ただ、それだけだ」


「‥‥!!」


「僕の仲間になってほしい、ヘイゼル」

「居場所がないなら‥‥僕が作ってやるからさ」


 焔に照らされた二人の横顔は、ただ真っ直ぐに―――互いの瞳を見つめていた。


「お前‥‥‥‥」


 彼の瞳に、嘘は無い。同情や哀れみの類いなんてもっての外だ。

 ただこの少年は、彼女の生きざまを聞き、純粋に‥‥どうしようもなく、惹かれてしまったのだ。


 嘘と欺瞞だらけの人間の中に、まだこんなに暖かな眼差しを私に向けてくれる人がいたなんて―――。



 ああ、お姉ちゃん。


 私は、ようやく―――。







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