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4.礼儀作法の先生

アリスとセシルが12歳になった時、礼儀作法の先生が呼ばれることになった。


13歳になれば母親と一緒にお茶会に参加することが許される。

その前にお茶会で失敗することのないようにと礼儀作法を学ぶことになったのだ。


もうすでに学園に通い始めているレティシアは、学園で礼儀作法の授業を学んでいた。


レティシアのために礼儀作法の先生は呼んでもらえなかったため、

学園に入ってから初めて学ぶことばかりではあったが、

真面目なレティシアは授業でわからないことがあれば先生に聞き、

一度間違ったことは二度間違えないようにと努力していた。


そのため、どこのお茶会に出ても恥ずかしくない礼儀作法は身についていた。

義母にお茶会に連れて行かれたことは一度も無かったのだが…。



「違います。お辞儀の角度はこうです。

 腰から曲げるのです。頭だけ下げたらだらしなく見えます。」


「…。」


「あぁ、そうじゃありません。あぁ、勝手に座らない。」


先生がセシルに注意すればアリスが勝手に休んでいる。

二人とも何度言っても直らず、真面目に話を聞く態度でもなかった。


それでも週に二回、先生はあきらめずに何度も足を運んでくれていたのだが、

アリスとセシルが先に投げ出してしまった。



「お母様ぁ…あの先生、もう来なくていいです。」


「ええ、何度も同じことばかり言うし、レティばかりひいきして。」


「レティシアをひいきしている?」


「そうです。レティには怒らないのですよ、あの先生。」


「そうよ。レティは一回しかさせないのに、私たちには何十回もさせるの!」


「まぁぁ、なんてこと。すぐに辞めさせましょう!」


こうして先生はやめさせられることになったのだが、

レティシアへと手紙を送ってきた。


『あの二人が礼儀作法を覚えることなく社交界に出るのが残念です。

 せめて、あなたがあの子たちに最低限のことを教えてあげて。』


「先生…それは難しいです…。」


さすがのレティシアもそれは無理だろうとつぶやいた。

だが、傍若無人な双子がお茶会に出て恥をかくのではないかと心配になった。

お茶会に連れて行った義母が気がついて注意できればいいのだが、

あの義母が双子の面倒を見るとは思えない。

連れて行った先で放置するのが目に見えていた。


全く礼儀作法を知らないだけでなく、

いつものように出てきたお茶菓子を食べかけて捨てるかもしれない。

それが他家の主催だった場合、双子が恥をかくだけでは済まない無礼だ。


そんなことになれば領地を立て直そうとしている父に迷惑がかかるかもしれない。

最低限のことだけでも教えたほうがいいかもしれない。


仕方なく双子の妹に声をかけて覚えさせようとはしたが、

夫人に言いつけられ、すぐさまやめるように言われてしまった。


「レティが私たちに嫌がらせをしてくるの!」


「レティが頭を下げろとか言ってくるのよ!」


「まぁぁ!!妹になんてことをしているの!」


レティシアはやっぱりこうなったかと思いつつ、

先生からの頼みに応えられなかったことを残念に思うのだった。







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