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第1話 「どこだよここ!?」&ドラゴンとの出会い

「ん……」

俺は目をゆっくりと開ける。

(ここ、どこだ……?)

思い出せないぞ……。


(……そうだ、俺、死んだんだったっけ)

ぼんやりと思い出してきた。


(そうだ、あの後……)


「ん!?いや、ここどこ!?」

思わず叫び声が出る。


そうだ。俺、矢崎圭太やざきけいたは死んで、天国に行って、神様に会って、いろいろあって、異世界に行けることになったんだ。


「いやいやいや!おかしい!!!!」


俺は。


とんでもない規模の崖の中腹に位置する突き出た木の枝に服一枚で繋ぎ止められていたのだ。


状況をうまく理解できない俺は再度叫んだ。


「なんでだよ!?ここどこだよ!?」


***


木にぶら下がったまま、俺は冷静に記憶を探り、状況を整理する。

とりあえずこの特殊な状況は後回しである。服もしっかりと木に引っかかって固定されているし。首の部分がうまく引っかかって、絡まっているというかなんというか・・・。なんにしろ、多分落ちない。……多分。


(……そうだ、最後神様がミスった!とか言ったんだっけ?)

はっきりと思い出せてきた。


(……と、なると……。この木に引っかかっているこの状況は、神様がミスってしまったせい?)


「なるほど……。……じゃねえよ!!!!!」

こんな状況で一人でボケて突っ込めるほどには俺もやばいやつだが。


「どうしてくれんだよ神様ぁ!!!!」



さて。

……叫んでもどうしようもない。

とりあえずこの状況からの脱出が最優先だ。


とりあえず、


「ふん!」


手を、頭上の枝に持っていこうとした。


残念!届きません。


「ううん……。どうしようか……」


とりあえず手足をバタバタと動かしてみる。


「だめだ……。どうしよう……」


状況は改善されない。


はぁ、とため息をついた時だった。


ブチッ


「あ!!!」


唯一俺の体を繋ぎ止めていた首の部分が千切れて。


俺は再び死に直面することとなった。


「神様ぁぁぁぁ!!!!!」


俺が繋ぎ止められていたのは谷の底から100mほど。そんな高さから落ちたら生きていられるわけがない。


ああ、もう死ぬのか……。俺の異世界ライフ……。


頭から真っ逆さまにすごいスピードで落ちていく俺。


コンティニューないかな……。


そんな俺を、一頭のドラゴンが救った。


俺は死を観念してきつく目を瞑って衝撃に備えていたため、5秒ほど何が起きたのか理解するのに時間がかかった。


「え!?」


俺が乗っていたのは、翼を持った、赤い硬い皮膚をした全長が俺より少し大きいくらいの一頭のドラゴンだった。


『何してんだよ』


「!? ……声!?!?」


そのドラゴンは、俺を背中に乗せながら、念話で俺に話しかけてきたのだ。

しばらくの間、ドラゴンが念話で話しかけてきた状況を理解できなかった。

頭に届く声がドラゴンから発せられていたことにやっと気づいたのは7分経ったあとだった。


***


俺を乗せたドラゴンは、しばらく飛んで、やがて広大な高原に着陸した。


とりあえずお礼だ。

「あ、ありがとう!助かったよ!!」


『おう』

ドラゴンは念話で応じる。今度はドラゴンだと認識できる。

というか、改めてドラゴンをよく見るが、イメージはアニメに出てくるかっこいい系のドラゴンだ。もうそのまんま。っていかんいかん。見惚れてた。


このドラゴンのおかげで、俺はかすり傷一つ無く無事に異世界の土地に立っているのだ。

ああ、よかった。俺の異世界ライフは守られた!!

と一人喜んでいると、


『おまえ、この世界の人間じゃないな?』


「え!?」


唐突にドラゴンに問われる。


俺は少し考える。

(……どう答えればいい?分かっているから聞いているよな……。異世界人はこの世界では普通じゃないんだろうな。多分。さてさて、困ったぞ……)


またドラゴンが念話で話しかけてくる。

『黙ってなくてもいいぜ。俺には鑑定というスキルがあるからな。大体分かってるよ』


(そうなのか……。なら黙っていても仕方ないか。一応助けて貰った身だし)


「その通りだよ。僕は異世界からやってきたんだ。と言っても俺にとってはここが異世界だけどね」


『やっぱな。鑑定を使わなくてもなんとなく分かってたけどな』


……?鑑定?ま、いいや。後にしよう。

「そ、そっか」


『おうよ。俺のスキル[鑑定]は優れもんだからな』


ん?スキル?この世界にはあの「スキル」があるのか。

ちょっと詳しく聞くか。

「ごめん、スキルって何?」


『ん?知らんのか?そうか。なら、説明してやる』


あれ?少し問い方が悪かったかもしれない。無知な野郎と思われたかも。

ま、いいや。のんびりできたらそれで。


「説明、よろしくお願いします」


そのドラゴンの話によると、この世界にはアニメやラノベで出てくるスキルが存在するらしい。

「鑑定」をはじめ、「攻撃強化」や「速度強化」、「運」、「火魔法」などの魔法シリーズ、「剣」や「槍」など武器関連、さらには「小遣い稼ぎ強化」なんてものまで、多種多様にわたって存在しているようだ。

人間はもちろん、動物や植物など、生きているもの全てがスキルを持つことができるらしい。

スキルは習得するものがほとんどで、厳しい修行に耐えて初めてスキルが現れるものなんだとか。但し、スキルの中には、生まれつきなどの例外もあるらしい。その例外が目の前にいるドラゴンなどだ。

そもそもドラゴンをはじめ、ガルーダやユニコーン、ケルベウス、フェンリルなど、よく物語で伝説の生き物として語られる存在がこの世界にはいるようで、そのような生物は生まれた時からとんでもないスキルをいくつも持っているらしい。

先ほど話に出てきた「鑑定」も、人間が習得するには何十年もの年月をかけ、やっと習得できるようなスキルのようだ。伝説の生き物の皆さんは生まれつきらしい。

……と、ここまでの内容をわかりやすく教えてくれた。

ちなみに、鑑定というスキルは、見たいと思ったものや生物についてに情報が見られるらしい。使いこなすうちに、見える情報量も増えるらしい。人間が完璧に使いこなすには何年かかるんだろう・・・。でも、使いこなせると、悪人や指名手配人、迷子なども簡単に探せるというから、とても便利だ。


って……あれ?え?ん?待てよ?「ドラゴン」って名前と一緒に「ガルーダ」やら「ユニコーン」やらなんかすごい名前がポンポン出てきたぞ!?


「え、じゃあ君って物凄い存在なんじゃ」


『なんだよ君って気持ち悪りぃ。っていうかドラゴンって分かった時点でドラゴンの名にビビれよな。今更何だよ。』


「……それもそうだ」


『だろ?』


「じゃあなんでそんな凄い君が俺を……?」


『だから君って呼び方気持ち悪いって。あと、お前も大概すごい存在だからな?』


「え、なにがヤバいのと聞きたいけど、確かに君って呼ぶのはなんか変か。えー……。じゃあどうしよう」


『勝手にしろ。俺はお前がどこに行くにしろついて行く気だしな』


「え!?なんで!?」

もう何度目かもわからない「え」を発し、とりあえず聞く。


『だってお前についてくとなんか面白そうだし』


「面白そうって……ドラゴンなんだよね?そんな勝手でいいの?」


『大体普通俺らドラゴンは人間の前には出てこないもんなんだよ。だからそもそもお前と普通に会話してる時点でおかしいんだよ。だから別にいいんだよ』


「そうなんだ……」

なんかよくわからなかったけど、分かったことにしとこ。


「……あれ?普通に念話と言葉による会話が成立してるぞ……?ていうか日本語はしっかり通じるんだな」


『今どうでもいいだろ。早く名を決めてくれよ』


「わ、分かった」


俺はこのドラゴンにつけるあだ名を全力で思案する。

あまりに変だとアニメや漫画通りにいくならブレスを吐かれて死ぬ。


数分後、


「え、えーっと……、【リュー】でいい?」


『お前、正気か?リューって龍だろ?名前そのまんまだろ。真面目に考えろ。火吐くぞ』


「えー・・・。分かったよ」

(ちょっとしたあだ名だろ!?何をそこまでこだわるんだ……)


さらに数分後、

「え、えーっと……、ネーミングセンスがないのは大いに認める。【リュー】しか思いつかん。すまん」


『もういい。リューと呼んでくれ。君と呼ばれるよりはいいや。これからよろしく』


「分かったよ。リュー。っていうか、本気でついて来るの?俺自身半分忘れてたけど俺のんびり旅がしたいんだけど。助けてもらったのはありがたいけど、一緒に行くと騒ぎになりそうじゃん。ドラゴンが現れたらパニックだよ。騒ぎになるとのんびりできないでしょ?リューと一緒に旅するのも面白そうだけどさぁ」

(っていうか……ドラゴンに新学期挨拶のようにこれからよろしくとか言われた人いんのかなぁ……)


『俺はドラゴンの中でも特殊個体でな』


そういうと、リューはスルスルっと小さくなった。


「え? ええ!?」


そして、俺の服の内側に入ってきた。そして、お腹側を登ってくる。やがて、俺の喉仏の近くで顔を出した。


「ええええ!?」


『どうだ?これで』


「そんなことできるんだ!」

(痛ぇよ。翼が当たって結構痛いよ。)

感心して褒めるが、実は胸にゴツゴツした翼が当たって結構痛い。でも、なんか可愛い。


『どうだ。騒ぎになるか?』


「いや、大丈夫。騒ぎにはならない。でも、リューもカバンに入ったほうが居心地はいいんじゃ……」

(そうしてくれると俺もありがたいんだけど……。)


『……そうだな。そっちの方が景色とかは見やすいかもな。』


「だろ!?じゃあ、さっさとカバンを用意しよう!」

(良かったー!痛くなくて済む!って、リューがついてくるのは俺の中でも決定事項になってるな……。まあ、いいか。1人よりは……な)


そうして、リューという仲間(?)ができた。


読んでくださりありがとうございます。

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