じこしょーかい
ど、どうしよう……。
《あぁ……とりあえず入……ろっか……?》
トライアルにそういわれたけど……。
ボクのまえにはもうなにもない。
けむりがすごくて、なにもみえないけど……。
それでもゆっくりすすんでいった。
《だんだん煙が晴れてきたね……》
うん……。
トライアルがそういうと。くらいけど……。
だんだんまわりがみえるようになってきて。
って、あれ?ボクのまえに、なにか……。
《あれは……!?》
……トリさんだ!?
《……骨だけの3本足のカラス……》
でも……なにもしゃべってくれない……。
《そりゃ、もう骨だからね……ん?》
こっちから、はなしかけてみるね。《……》
「えっと……だいじょうぶ……?」
《……っ!! ちょっと待っ──》
「……オマエにはこれが大丈夫にみえるのカァァァァァァァァ!?」
「びくっ!」《しゃ……しゃべった!?》
ど……どうしようぅ……。
カラスさん、おこってる……。
《あわわ……》
「オマエ、自分ガァッ……。
何やったカァ……分カァっているのカァ!?」
《──いや、あのカラスさんが!
入ってきてって、いったから!
ぼくたちは入ってきたんだ!
言い返してやろうよ!》
え? でもボクたちが、わるいんじゃ──
《いいから、いいから! GO!》
うん……。
なんか、へんなきがするけど……。
ボクは、カラスさんにいいかえしてみる。
「だって……はいってきてって……」
「入ってくるときに全部吹き飛ばすやつがあるカァァァァァァァ!!」
うぅぅぅ……こわいよぉ……。
《扉だけ吹き飛ばすつもりだったんですって……。
いってもムダかな……やっぱり……》
ボクはこわくて、ひっしになって。
あたまを、てでおさえた。
いつのまにかボクは……すごくふるえてた。
《……ねえ、やっぱり謝ろうか……》
うん。やっぱり、わるいことしたらあやまらないと……。
ボクたちは、カラスさんに。
『おばけやしき、ふっとばしちゃってごめんなさい』って。
あやまることにした。
でも。ボクたちよりはやく。
「……あー。怒鳴って悪カァったな……」
……カラスさんのほうが、さきにあやまった。
カラスさんはわるくないのに……。
ボクもあやまりたいけど……。
どうしたらいいのかな……?
《……まずは自己紹介してみたらどうかな?》
じこしょーかい……。
《そう。ほら名前をあのカラスさんにいってあげて?》
……なまえ……?
《……ちょっと待って……?
まさか自分の名前覚えてないの……?》
うん。
《……嘘でしょ? じゃあ……仕方ないか。
君の名前は……『ヤシキ』》
ヤシキ?
《そう。
今日から君は『ヤシキ』だよ》
それがボクのなまえ……。
《緊急事態だからね。仮の名前だけど……》
わかった!
トライアルの、いってることは むずかしいこともあるけど……。
ボクのなまえは『ヤシキ』なんだ。
ボクはカラスさんに、じこしょーかいする。
「……あ、あの……?」
カラスさんはさっきまで、したをむいてたけど。
ボクが、はなしかけるとこっちをみてくれた。
《じゃあ、そのままがんばって名前を言って!》
うん。
「ボク……ヤシキ……」
「ヤシキ……?」
カラスさんは、ふしぎそうに くびをかたむけてる……。
《まだ、分かってもらえてないみたいだね……。
もう一回名前を言ってみて!》
「う……ん、ヤシキ……」
「そいつは……なかなか珍しい名前だな」
《よし!分かってもらえたみたいだね!》
「うん……」
なんとか、じこしょーかい できてよかった……。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
えーと……。こ、この後の展開にご期待ください!