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桜舞う季節に君と

久しぶりの更新。

予定では、この回で終わる予定でしたが、まだ続きます。


今日、彼をついに呼び出した。

呼び出した手前、逃げる事は出来ないが、とても逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。


「もう、私達別れましょう…」


私の言葉を聞いた彼は、眼鏡の下の黒目を大きくしていた。

そんな彼の姿に、私はただ見とれていた。



あれは、一年前の事だった。

大学からバイト先に向かう途中、校舎の通路で彼を見つけた。


桜の花弁が舞う中、彼は、白いベンチに座って分厚い本を読んでいた。

その眼差しは、何故だか分からないが、心惹かれるものであった。



「みさきー!!」


後ろから抱き付いてくる馴れ馴れしい男。


「ちょっと、離れてよ…」

顔も見ないが、声だけで誰か認識が出来る。

突然、現れた男の肩を勢いよく鞄で押し返す。


「おいおい、冷たくない?仮にも、元彼でしょ?」

そんな私の対応に目の前の男は不服そうだ。


「だから、何なのよ!元彼だろうが、馴れ馴れしくしないで!」

優しくすると、付け上がるのが分かっているので、言葉を強くする。


「おっと、冷たいな。まぁ、そういう連れない所が好きなんだけど…」

男は、押された時に崩れた髪を直しながら言った。


「本当に気持ち悪いからやめて!」


目の前の男が本当に気持ち悪い。

なんで、こんな男と付き合っていたのか分からない。


「でも、お前って見た目に反して、潔癖だよな…」


「だから、私の事はほっといて!」


相手をするのも疲れ、その場を離れた。


「みつきの奴、何を見ていたんだ? あっ…アイツは」


黒縁のメガネを掛けたつまらない男。

いつも、決まった席に座り、分厚い本を読んでいる。


そんな地味な男を何故見ていた?

疑問に思いながら、通り過ぎていった。


みつきは、それからというものの、読書をする彼が気になってしょうがなかった。

何故だか、それは彼女にも分からなかった。


ただただ、彼の姿を目で追っていたのだ。


毎日、見ていたからか彼の事が少しずつ分かっていった。


彼の名前。

彼の専攻。

彼の好きな本。

彼の好きな飲み物。

彼の交友関係。


どれもが、みつきにとって新鮮だった。


彼の名前は、古河ふるかわ ひじり

彼は、日本史を専攻していて、愛読書は歴史書。

そして、読書をしている時に飲むものは某メーカーのブラックコーヒー。

彼は、特別に仲の良い友人はおらず、一人でよく過ごしている。


そんな彼とは正反対だった。

日本の歴史にも興味はないし、本も読まない。

コーヒーは苦手で、紅茶が大好き。

また、一人が苦手で友達は多い。


なんで、こんなにも彼が気になるのか。

本当に不思議だった。


そんなある日、廊下を歩いていると声を掛けられた。


「ねぇ、君。君だよ、君」

後ろを振り向くと、古河聖が立っていた。


「な、何?」


「君に話があるんだ。少しだけ、時間いい?」


「いいわよ」

次の講義まで時間があるので、二人で中庭に出る。


向かう先は、毎日彼が座っている白いベンチ。


「こんな所まで呼び出してごめんね!ねぇ、座って」

彼に座るように要求され、静かに座る。


そして、彼は驚きの一言を私に言い放った。

「君、歴史に興味あるのかい?」



さぁ、無事に完結するのか(笑)

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