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種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
運命の収束点
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第95話

コンコンッ、

「あっ、帰ってきたんだ!」

扉を開けると笑いながらお喋りをする2人。やはり女子同士ってのもあり、気が合うんだろうな。

「ただいま。藍夏も…、うん、大丈夫だな」

「ん?」

《そりゃ分からないよね~》

「うわっ!」

「どうしたの?」

「どうしたんですか?」

「い、いやなんでもない…」

まるでポンッと音をたてるように目の前へ現れた裏背。裏背が見えるのは俺だけだから、完璧に今のは変な奴だよな~。

「ん?」

「いや、だからなんでもないって。虫だよ、虫。ちょっと驚いただけだ!」

「そ、そう……。うん、分かった」

それを隣でニシシと眺める奴が1人。本当に仕留めてやりたいよ。

《ただいま~》

《死んでなかったのかよ!》

《ふふっ、死ぬわけないじゃないか。君が生きているのに、》

《…………》

《と言うことで話を続けてくれていいよ。僕は君の悩みと云うのを見ててあげるからさ!》

《ちっ!》

イタズラに笑うコイツが嫌いだ。何故コイツがこんなにも俺と逆の性格なのだろう。元々は1つである筈なのに……。

「そ、そう言えばリョウさんは外で何してたんですか?」

「んー、ソラスシア、所謂海を見てた。ある人と一所にな、」

「ある人ですか?」

「あぁ。リリスは知っているだろう。この部屋の裏の人だ。あの強面の…」

「あー、釘バットを持ってた人?」

「そんな人がいるんですか?」

「そう。ソイツが1人で眺めてたから隣で俺もな。正直感情深いよな…」

「その人は何してたんですか?」

「嫁と話してたって言ってた…」

「………」

「………」

「だから俺は後悔しないように守るんだ。また目の前で誰かが死ぬなんてゴメンだからなっ!」

「………」

「………」

「優司にも言っておかなきゃな。藍夏も、互いに失いたくないだろ?」

「はい…」

「あっ、ゴメンな。最近どうも調子が狂っててな、変な話になってた。今日は先に寝るわ!」

「は、はい!」

「おやすみ~」

変な空気の中寝るのは逃げているのと同じなのかもしれない。しかし伝えられずにはいられなかった。自分が失って感じた喪失感をこの初な後輩達にも味合わせたくないから。


次の日の昼間、

今日は昨日の約束通り優司に魔法を教えていた。今日だけはリリスも来てもらっていない。

「なあ優司、最近藍夏とはどうなんだ?」

「んー、そう言えば何も接近してませんでした…」

「そうか。アイツ、心配してたぞ?」

「ん、何をですか?」

「お前、アイツが俺の所に相談しに来てたのは知ってるだろ?」

「はい」

「そこで、お前に嫌われたんじゃないかってなっ!」

「っ!」

「気付いてなかったようだな。少しくらいかまってやれよ?」

「は、はい…」

「まあ、この話はまた今度だ。話をそらして悪かったな。魔法の続きといこうか?」

「はい!」

手元の水を一口。

そろそろ陽もてっぺんまで登って、腹の虫が蠢き始めていた。

「優司、始めたすぐで悪いんだが飯にしないか? 今日1日はみっちり教えてやるしよ!」

「そうですね。そういえば僕、朝から何も食べ多ませんでした…」

「よく腹減らないな~?」

「何かに夢中になってると意外と大丈夫ですよ!?」

「まあ、分からなくもないがな…。取り敢えずは飯だ『等価錬成』」

魔力が集まる先は机の上。そしてそこに現れたのは真っ白な皿に盛られた新鮮な刺身達。それはどれも見知ったものばかりで、鮮やかな赤色をしたマグロに艶やかな橙色をしたサーモン。全て数少ない友達の家で食べたものなんだがな…。

「これってスキルなんですよね?」

「そうだ。と言うか優司お前に見せたことってあったか?」

「ん-、覚えてません。けど藍夏ちゃんが教えてくれました!」

「ふっ、お前達普通に仲良いじゃないか!」

話しているとわかる。今回と昨夜の件で感じたが、藍夏も優司もお互いの話をしている時は凄く嬉しそうだ。それに優司はこういうが突出して何もなかったわけじゃなさそうだな。一安心だ!

「喧嘩してたわけじゃないですからね!」

「そうか。まあ、藍夏のほうも心配してただけで、怒ってる様子はなかったからな」

「………」

「どうしたんだ?」

「僕、どうすれば良いですかね?」

「どうすれば、て、どう云う意味だ?」

「正直、どうすればいいか分からないんです。当然藍夏ちゃんには心配なままでいてほしくないです。かと言って僕はどうすればいいか…」

「ふっ、意外に心配性なんだな」

「で、ですけど…」

「お前自身は何が嬉しい? 例えばお前は藍夏が何をしてくれたら嬉しいんだ?」

「そ、それは…、一緒にいられれば嬉しいですよ…」

「そうか…。ならそれで良いんじゃないか?」

「っ!」

「相談して教えられたことをしていては結局は俺の方式になる。だからアドバイスはするが明確のことは何も言わない。最初に言っただろ?」

「そうでしたね。なら僕は自分なりの方法で藍夏ちゃんを喜ばしてみせますよ!」

「やってみるといい。1度や2度の失敗なんてどうってことないんだ…」

そう。目の前に相手がいる限り失敗のんて些細なことだ。俺のように愚かにも失わない限り…。

「そういえばリョウさん。醤油って作れますか?」

「あ、あぁ。すまん『等価錬成』」

「ありがとうございます。やっぱり醤油は欠かせませんよな!」

「だな! そろそろ食べ始めよう。ついつい話し込んでしまったな…」

少しとはいえ放置していた刺身の表面は乾燥して光沢を失いかけていた。しかしそれも口にいれた途端感じなくなる。

「美味しい…」

久しぶりの刺身は想像を絶する旨さだった。こうして優司の恋愛相談は幕を閉じた。


「くわぁぁ。今日はありがとうございました」

「こちらこそ新しい観点からの質問は勉強になった。ありがとう」

「はい!」

「俺はそろそろ部屋に戻るわ! 藍夏にも戻るよう伝えるよ」

「はい、ありがとうございます!」

「じゃあまた明日、」

部屋をでると俺は一息。魔法って、人に教えるとなると一気に難しくなるよなぁ。

コンコンッ

「あ、リョウ終わったの?」

「まあな。藍夏は?」

「もう戻るってついさっき出て行ったよ!」

「そうか。今日は疲れた~」

「お疲れ様。リョウはもうゆっくりしといていいよ。あとは私がするから!」

「あぁ。ありがとう。少し休むとしよう」

ドバっとベッドに倒れると両手を広げ大ノ字に寝転がる。フカフカの布団の感触が心地いい。疲れた体にとって唯一の救世主だな!

「今日は何を教えてきたの?」

「全属性の魔法の成り立ち~」

「えっ!」

「ん、何か可笑しなことを言ったか?」

「ねえリョウ、全属性を教えるって意味ないんじゃないの?」

「そうか? 全属性を教えればレパートリーが増えるだろ?」

「いやいや、そう云う問題じゃなくてそもそも全属性なんて使えないじゃない!」

「えっ!?」

「えっ!?」

「ん?」

「もしかしてリョウは全属性を操れたりするの?」

「あぁ」

「えぇぇぇ~!」

そこまで驚くことかな。単に現代知識に頼っただけなんだがな…。

「驚きすぎだろ?」

「全然! 全属性なんて、凄いよ、凄すぎるよ!」

「ん~、教えてやろうか?」

「いいの?」

「当然だ!」

「やったぁぁぁ~!」

興奮で飛びついてくるリリスを受けとめながら思う。やっぱりこんなにも驚くものなんだろうか?

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