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種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
二人の旅路
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第84話

「ふふ、」

「何笑ってんだ?」

「やけに積極的だと思って…」

「そんなことか。ずっと心配してくれた女の子にときめいただけだ!」

「もうっ! リョウったら!」

焚き火だけしかない明かりは俺達2人を照らしながらも半分隠している。そんな中をリリスはコテンともたれ掛かる。

「ん、どうしたんだ?」

「なんでもないよ。ゆっくりした時間って、いいね!」

「まあな……」

静寂が周囲を包む。良い意味での嵐を過ごした俺達はゆっくりとした静かさを満喫していた。

「私、ずっとこのままがいいよ。絶対に離れたくない……」

「俺もだ。今度は失いたくない。離れないでくれよ、」

「当たり前よ!」

自信に満ちた俺への微笑み。俺にはそれが嬉しくもあり怖くもあった。アイツ等も俺に全く同じの優しくて純情無垢な微笑みをくれたから。

「………」

「どうしたの?」

気が付くとリリスを抱き締めていた。自分の中の不安はどうしても拭うことは出来ないだろう。あれも自分の失態なのだから…。

「絶対に、離れないでくれよ?」

「う、うん。当たり前じゃない。私は生きてる間も、死んだ後もリョウと一緒にいるよ!」

「ありがと、ありがとな……」

「な、なに? どうしちゃったの?」

なんだろう。酒も飲んでないのに思考が纏まらず情緒不安定だ。

「ごめん。分からない。少し落ち着かなきゃな、」

「う、うん。大丈夫?」

「あぁ。腹に何か入れるか、『等価錬成』」

手元にある大きめの石を手に焼き肉を想像すると、茶色く良い具合に焼けた肉の塊が手の中へ現れる。わざわざ持つ必要はなかったかな…。

「凄い。これって固有スキル?」

「まあな。等価、所謂同じ価値の物から他の同じ価値の物を作るスキルだ。だからこれも少し小さくなったろ?」

「確かに!」

手の中にある肉塊は素材にした石よりも二回り程小さくなっている。が、食べるには十分な大きさだ。

「旨そう……」

「…………」

指先に魔力を纏わせて肉汁滴る肉をなぞる。魔力の刃は鋭く肉を切り裂く。

「食べるか?」

「えっ、いいの?」

本人は隠そうと抑えているが正直滅茶苦茶分かりやすい。それを必死に隠そうとする姿が妙に可愛いが…。

「あぁ。一緒に食べた方が美味しいだろ?」

「ありがと!」

スッと肉を両断すると片方をリリスへ渡そうとする。その時リリスの方へ向くと小さな口を開けて目を瞑ってる。もしかして食べさせろっ、てか?

「仕方ないなあ、」

パクっ

「美味しい。ありがと、」

「口移しの方が良かったか?」

「んっ!」

一気に恥ずかしがるリリスの顎を持つと軽くキスをする。その顔は今日1番の恥ずかしそうな顔をしていた。

「どうした?」

「食べてる時、なんて…」

「俺は気にしないぞ、」

「そういう問題じゃないのよ~」

「ふっ、早く食べないと冷めるぞ!」

真っ赤になって叫ぶリリスを宥めながらもう半分の肉をそのままかぶり付く。余談だがこっちに来て色々と身体能力が上がってるせいか肉がこれまでにないくらい簡単に噛みきれる。あと、『等価錬成』は素材に応じて錬成される物の品質も変わるらしい。

「リョウ、冗談抜きで食べてる時なんて止めてよ!」

「分かったよ。なら食べてない時ならいいか?」

「んっ!」

「冗談だ。そう言えばそろそろアイツ等も帰ってきたな、」

「えっ、どこ?」

ここの池は異常に大きい。のでここからなら霞んで見えるような位置だが確かに2人が歩いてるのが確認できる。

「あそこだ。あの岩の近くなんだが、」

「見付けた! 2人共仲良いじゃない!」

元々魔族で五感が鋭いリリスと堕天人というほぼ人外の俺。2人の笑ってる顔も然り気無く手を繋いでたいするのも見えていたりする。

「これなら手伝わなくてもいいかな?」

「手伝う?」

「優司から相談に乗ってほしいって頼まれてな。藍夏のことについて、」

「相談なんてする必要なさそうだけど…」

「まあな。しばらく待ってみれば良いだろう」

「そうだね。私達から何かしても悪い気がするし…」

「あぁ。あと、今夜アイツ等が俺達の所へ相談に来ると思うが弄りすぎてやるなよ?」

「わ、分かってるよ…」

「頼むぞ。アイツ等は俺達と違い普通の子供だ。恋愛経験なんて無いんだから真面目に受けてやれよ?」

「や、優しい……」

「リリスへは格別だ!」

「っ!」

「あっ、帰ってきたぞ。静かにしろよ、」

「う、うん…」

狼の静かな足音と2人の足音。早めに気付いた俺達はお互い優司達の話は止めて食べ掛けの肉をつまんでいる。

「た、只今帰りました!」

「ん、リョウさん起きたのですか? 大丈夫ですか?」

「ありがとう藍夏。ある程度落ち着いたよ、」

「それは良かったです!」

「ふっ、優司もリリスのこと、ありがとな」

「えっ、僕はなにも…」

「分かっている。けれどやはり俺は優司のこと何故か信用できるんだ、」

「そ、そうなんですか…、」

「あぁ。さあ、それより2人共、かなり仲良くなったんじゃないか?」

『っ!』

俺達の前に戻ってきた頃には手を離していつも通りの態度だった。気付かないとでも思ったのか?

「今夜はここのテントを使ってくれ、『等価錬成』」

パッと集まった魔力は一点へ集まりキャンプ等で使うようなテントを形作る。

「使って良いんですか?」

「あぁ。数はどれだけでもあるからな。使ってくれて構わない、」

「ありがとうございます!」

と言うことで俺とリリスは2人で少し離れた所まで歩いていく。俺はその場で荷物を置いて魔力を集める。

「『等価錬成』」

2人に作ってやったのと同じテントを錬成してその前へ焚き火をおこす。これで少しは整ったか?

「リョウ、あれは酷くない?」

「ん?」

「今日、急激に仲良くなった子達を一緒のテントに泊めるなんて…。気まずすぎない?」

「まあな。けどこれくらいは耐えられないと、恋愛だけじゃなくこの世界じゃ生きられないと思う…」

「そうなんだ…。私達は2人を待つの?」

「いや、来ればいいが来ない可能性も少なからずある。だからわざわざ待つよりも遅くまで起きてるって方がいいと思う」

「そっか。ならそれまでは2人っきりだね?」

「2人っきり、か。俺達も散歩するか?」

「えっ、いいの。リョウは大丈夫?」

「あぁ。もう傷はほぼ全治しているからな。行くか!」

「うん!」

テントを杭で固定し、荷物を最小限手に持って出発する。

「ガルッ!」

後ろを振り向くとムーンウルフ達が嬉しそうな声で飛び付いてくる。俺の復活のせいか?

「分かった分かった。これでも喰ってろ、『等価錬成』」

咄嗟に手に取った岩を肉の素材にしてムーンウルフ達へと投げ付ける。するとムーンウルフ達は器用に飛び上がりキャッチすると2匹で仲良く食べ始める。

「コイツらって戻さなければ感情でも持つと思うか?」

「分かんない。けど喜んでくれてるよね?」

「あぁ。お前達、腹減っただろ? 腹でも満たしてこい」

「ガルッ!」

ドンッ!

地面を蹴る音と共にムーンウルフ達は森林の中へと消えた。その後ろ姿は言ってしまっては悪いが可愛い子犬に見えた。まあ、犬科だし仕方ないか?

「私達も行こっか?」

「あぁ。優司達はイチャついてるだろうしムーンウルフ達は楽しんでるんだろうな。俺達も楽しもうじゃないか!」

「うん!」

笑うリリスの手を繋ぐと歩き始める。ギュッと握りしめたお互いの手がそれぞれの気持ちを体現してるようだ。

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