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種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
二人の旅路
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第81話

「ねえ巨人さん、小さくなれない?」

「!!」

発動者であるティナが話し掛けると巨人はコクッと頷いて体が小さくなっていって全長180cmくらいの人間と同じくらいになる。けれど周囲の魔力は回復していない。と言うことは巨人の魔力密度が上がっただけ…。

「凄い。早速だけどあの3人を片付けて、」

「!!」

小さくなって親近感が湧く。この姿なら連れて歩けるかもしれない。そうすれば私達が危険な状況には助けてもらえるかもしれない。

「けけけ、何したんだ。そいつ強いと思う」

「うひひ、わしには勝てんかもしれんな、」

「にしし、関係無い。俺、女、捕まえる」

「!!!!!」

巨人の時でも十分早かったのに小さくなったことによりスピードも上がったみたい。夜、獣化したようなスピードで男達へと詰めると高純度の炎を纏う拳が鳩尾へと深く入る。これを常時発動できる巨人は私よりも強いんだよね。

「!!!!!!」

殴られたのにも関わらず笑う男を無表情で蹴り飛ばす。その時、ボキッという嫌な音がして男は血を吐いた。

「!!!!!!」

今度は追いかけずに両手を合わせゆっくりと離していく。その間には形の整った炎が渦巻いてそれを握ると太陽に煌めく不思議な形をした剣となる。

「ねえティナ、こないだよりも強くない?」

「確かに。前よりも武器の精度が上がってる気がするよ、」

煌めく刃は鋭く前のボロボロで分厚い刃とは違う。それが向けられるのが魔物でなく人なのが少し辛いけど……。

「!!!!!」

「にしし、お前、強い。女、入手、為、お前殺す!」

と言うがそもそも相手にならない。襲い掛かる刃は確かに巨人を切り裂くが魔晶が格である巨人には全くの無効。ズンズンと迫る剣は刃男の腹をグサリと貫いて体内から体を焼ききっていく。

「!!、」

トントン、と言う足音と共に振り向くともう1人の男へと刃を向ける。その表情は何を感じさせることなく、男の恐怖心を煽ってる気がする。

「けけけ、勝てないな。けど、道連れにしてやる!」

男は持っていた直剣を鋭く私達へと投擲する。この状況からは『獣化』も間に合わない。どうする?

「!、」

パッと目を開けると無表情で投げ付けられた剣を握り私達を守る巨人が。剣は巨人の炎で溶かされ既に使い物にならない。

「けけけ、終わりだな。観念する」

トントンと云う足音と共に男へ近付くと巨人はその首へと剣を近付ける。

ブシュッ!

切り飛ばされた首はコロッと地面を転がり体は前方へとドテッと倒れた。それを無表情で見届けた巨人は剣を散らし私達の前へ来る。

「どうする?」

「分からないよ?」

「!、」

「えっ、どうしたの?」

「これもリョウ兄が?」

巨人は私達の前へ膝をつき、忠誠の姿勢をとる。それはまるで私達の方が格上みたい。

「と、取り敢えずありがとうございます」

「!!、」

無表情だがコクッと頷き再び同じ姿勢へと戻る。どうやら今の巨人にはこれが限界らしい。

「ティナ、解こう」

「いいの?」

「うん。また今度、この巨人にお願いするよ。それに町には連れてけないからね、」

「そうだね。なら、」

ティナが自分よりも低い位置にある巨人の額へと触れると無言のまま少し時間がたつ。すると魔力は散って魔晶はポトンと地面へ落ちる。

「リアス、これ返すね」

「うん。そう言えばティナも持ってなかった?」

「持ってるよ。色は違うけどね、」

「そうなの?」

「うん。ティナのは蒼色だよ。きっと属性だと思うけど…」

「そっか。けど今はいいよね。行こっか?」

「うん!」

1人は骨を砕かれ瀕死、もう1人は腹を外からも中からも焼かれ死亡、最後のは首をおとされて死亡。当然の報いを受けたのだが、それも少し哀れに思いながら私は町へ入った。


「ここって町の領土だよね?」

「うん。多分ね、」

柵と柵の間にある門っぽいのを通ると、中は平原が広がりその中心の方にもう1つの城壁がたっている。平原は広く広がっていて、東側には水色の果ての無い湖が垣間見え、西側には険しい山がその頭を覗かせている。そしてここは港町。私達が北へ渡るために通る人間の大陸最後の町。

「けど、気持ちいい所だね!」

「うん。静かで、平和で、何より血の匂いがしないしね!」

「うん。立ち込めた魔力も感じない。ここは透き通ってる気がするよ、」

「そうだね~。この湖の先にリョウがいるんだよね?」

「きっと、きっといるよ。リョウ兄……」

「ティナ、行こう! 早く渡っちゃおうよ!」

「う、うん。けど聞いてみなきゃ、」

「そうだね。えーと、そこの人~~!」

たまたま通りかかった少年がいたので手を振り話し掛ける。私、こう見えてもちゃんと自分の容姿は理解してるつもり。リョウは言い過ぎだと思うけど……。

「は、はい!」

「お姉さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

膝を曲げ目線を合わせながら話す。手は膝に置いて槍のような物騒な物はティナに預けて。

「は、はい…」

「お姉さん達、港に行きたいんだけどどうすれば船に乗れるかな?」

「えーと、それならギルドで申請してもらえますよ、」

「ふふ、分かったわ。また会えるといいね、ありがとう」

この連続は完璧、と教わった。奴隷であった私は獣人であるのもあり早く売れる為、出来るだけ最高の仕草と言葉遣いを教わった。商人も品が売れるということで喜んで教えてくれたし!

「は、はい~」

少年は顔を若干赤く、ポカーンと口を開けて手を振る。それにしてもギルドで申請、か。やっぱり簡単にはいかないみたいね。

「ここが城門……」

「そうみたい。あの検問ってどうすればいいんだろ?」

「ギルドカードでいいんじゃない?」

「そうかなぁ……」

少し不安。2人で話してるうちに列は引いたから前を見る余裕もないし、城門の左右に武装した憲兵が立っている。

「そこの者、止まれ!」

「はい…」

「身分証を見せてもらおう。ギルドカードがかればそれでも構わぬ!」

「これで、大丈夫ですか?」

完全フルプレートの鎧を着た憲兵は槍を片手に目の部分を開けてギルドカードを確認する。

「確認した。通ってもよい、」

「はい…。憲兵さん、ギルドは何処にありますか?」

「ちょ、リアス!」

「いいじゃない!」

「ギルドなら大通りに位置する噴水周辺にある」

「ありがとうございます、」

「お前達、武器の刃には布でも巻いておけ」

「は、はい。ありがとうございます」

最後に助言をしてくれた。と言うことはやっぱり優しい人なんだと思う。私は助言に従い包帯代わりに買った布を槍の刃に巻いて背中に背負う。ティナは刃を使わないので弓は手に、矢筒は背中に背負う。

「綺麗…、」

「リョウ兄と、見たかった……」

「また来ようよ。いつでも来れるよ、」

「うん……」

高く水飛沫をあげる噴水が美しい。私達の方へ飛んでくるちょっとした水も気持ちいいくらい。

「あれかな?」

「入ってみよっか?」

「うん。行こう!」

カランカラン、

中は解放感があって外の日射しが丁度良い感じ。冒険者達の質も悪くなくて、こんな私達に絡んでくる人もいない。これが酒場付きならどつなってたことか……。

「すいません。船に乗りたいんですが…」

「はい。畏まりました。それではギルドカードの提示をお願いします」

「これでいいですか?」

「はい、確認しました。それでは料金、1300Gになります」

「えーと、これを売ればそれくらいになりませんか?」

鞄から取り出したのは血塗れの色々の牙。私達はもしもの時のために売却用の素材だけ採集していた。だから私の鞄には大量の白い牙が詰まってた。

「はい。了解しました。この素材の売却料7800Gから料金1300Gを引き6500Gになります。お受け取りください」

「はい。えーと、港は何処にありますか?」

町の最北端にございます。こちらのチケットをお持ちください」

「はい。ありがとうございました」

おつりの6500Gとチケットを受け取ると私達は港へ向かう。これでまた1つ、リョウに近付けた。待っててね…!

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