表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
二人の旅路
77/619

第77話

「冷たいですね、」

「だね~。折角来たから泳いじゃおって思ってたのに!」

女子2人も打ち解けたようで2人で笑い合ってる。と言うか、この真冬に泳ぐとか無謀じゃんか!

「無理ですよ。こんなに冷たいですし、風邪を引いてしまいます!」

「んー、リョウなら出来るかも! ねえリョウ~、どうにかならない?」

藍夏はやはり敬語なんだな~って他人事のように聞いていると、突拍子もなく俺に飛び火してくる。

「難しいな。この池全体の温度をあげることくらいなら出来るが……」

「えっ、出来るの?」

「あぁ、」

「じゃあお願い!」

「仕方ないな。複合魔法・水温操作」

操る魔力が多すぎる。核爆原理は手の中に集めるので操作しやすいが、この広大な池全体に広げるのも大変なのに複合魔法なだけありより魔力を消費する。少し頭が痛い。この魔法以上のことは出来ないな。

「温かいですね、」

「ホントだ! リョウ、ありがとっ!」

「どういたしまして、じゃあな…」

「あれ、リョウは入らないの?」

「あぁ。俺は少し休む、」

「分かった~」

頭痛のあとは若干の吐き気が俺を襲ってくる。こんな魔法、今度から絶対に使わない。戦闘中にこんなハンデは最悪だ…。

「ちょっと待ってください、リリスさんっ!」

「大丈夫大丈夫! テントで着替えちゃえばいいんだから!」

女子2人は仲良くこの広大な池を満喫しようとしている。流石に今の俺では止めることも守ることもできない。と言うことで優司を探すとどこか寂しそうに池を見ている。

「じゃあ行くよ!」

「はい!」

と言うことで2人は池に入っていったがそれでも優司は1人池を眺めていた。

「優司っ!」

「はいっ!」

名前を呼ばれビクッと震えると俺の元へと走ってくる。絵面が悪い……。

「どうしたんだ?」

「え?」

「2人に混ざってきたらいいだろ?」

「僕がですか? 無理ですよ」

「女子だけだからか?」

「いえ、それもありますけど、僕泳げないんですよ」

「あー、けど、あれを見ると藍夏は普通に泳げるぞ」

「そうなんですけど、教わるわけにもいかなくって……」

「ん、どうしてだ?」

「え、それは一応ただの幼馴染みですし…」

「好きなんだろ? アプローチはしてなかったのか?」

「はい…。実はここに来たのも久しぶりに会ったから気まずいなぁって思ってたらいつの間にか死んじゃって……」

「いつの間にか?」

「はい。目も会わせずに喋ってましたし何を言おうか必死で考えてましたから……」

「そうか。教えてくれてありがとな」

「あっ、はい!」

「それはそうと、あの2人どう思う?」

「どうって、仲いいなぁって思います」

「だよな。2人共何処がそんなに気が合うんだろうな?」

「やっぱり年が近いからじゃないですかね?」

「そうなのかな? 実年齢は2年から3年は違うんだがな……」

「本当ですかっ!」

「あぁ。お前達は今年で何歳だ?」

「12歳です。リョウさん達は何歳なんですか?」

「俺は今年で14だ。因みにリリスも14だぞ」

「僕達の2歳年上ですね、」

「そうだな。けど俺は年齢で上下がつくのは嫌いだ。だから気軽に接してくれればいいさ」

「ありがとうございます。分からないことも多いので頼らせてもらいますね、」

「あぁ。ドンドン頼ってくれよ。俺もできる限りはするさ」

「はい! あと、藍夏ちゃんとのことも……」

「ふっ、それは自分で考えるんだな。けど、どうしてもって時は言えよ。ヒントくらいはだしてやるよ、」

「ありがとうございます!」

「それはそうと、しっかり2人を見ててやってくれ、」

「ん? どうしてです?」

「お前も体験しただろ? ここには魔物と呼ばれる獣が数多く存在するんだ。と言うことはこの池にもいそうだろ?」

「は、はい。危なくないんですか?」

「危ない。が、それを気にしててはこの世界じゃ生きられないからな。もし何か魔物らしき物を見付けたら俺に知らせに来てくれ。そして悪いがそのあとこの剣をリリスまで持っていってくれるか?」

「はい!」

「まあ、現れわければいいだけのことだがな」

「ですね。遭遇しないのが1番ですからね!」

「あぁ、」

一見冷たそうな水面では楽しむ2人の水飛沫があがる。まだ俺は動けない。ズキズキとした痛みが頭を襲い下手に動くと余計に長引きそうだ。もし魔法なんて使えばどうなることか……。

「どしたの、2人共?」

バタバタと音をたてて岸に近付くと顔と手だけを出して不思議そんな顔をする。俺からすればそんなリリスの方が心配なんたが……。

「いや、何でもないよ。遊んでいればいいよ、」

「んー、分かった~。リョウも来ればいいんだよ~」

「あぁ。落ち着けば行かせてもらうよ、」

と言っても俺は恐らく無理。今のこの状況で、動くこともままならない今の状況で泳ぎなんて絶対に無理。危険だ……。

「リョウさん、どうして伝えなかったんですか?」

「楽しく遊んでるのに水を指すようなことは言えないだろ?」

「確かに……」

「だから俺は静かにここで見ていることにするよ。優司も行ってくればいい。少し注意してな、」

「は、はい…」

トコトコと優司が歩いていくと共に俺は残る右手へと少しずつ魔力を込める。何もなければ散らせばいいし何かあれば一気に使えばいいだけのことだ。

「お前達も頼む、」

「ガウッ!」

「ガウッ!」

「何かあれば教えてくれ。そして俺に知らせた後は即刻仕留めろ!」

「ガウッ!」

「ガウッ!」

「行けっ!」

バイトハウンド達を森の中へ放つとこの池の周囲を警戒させる。俺が自分で動けない今、俺の目となり足となり手となるコイツらが必須だ。

「リョウさんっ!」

その声は必死そのもの。急に放たれた言葉に俺は追い付けず池の方向を振り返る。するとそこには大きく膨らむ水面。そしてその中からは気味悪く輝く2つの目玉がある。このことから魚型だと分かるがなにより不運なことにその周辺には文字通り何も装備していない2人が……。

「優司、リリスへ投げろ!」

「はい!」

ヒュッと日緋色に輝く剣が空を舞う。そしてそれはリリスがしっかりと掴む。

「闇魔法・央圧殺!」

右手に溜めた魔力が解放され顔を出した魔物の片目を潰す。しかし片手で、しかも量も少ない魔力では到底殺すことはできず片目を潰し一瞬怯ませることしかできない。

「リョウ、充分だよ!」

「ふっ、」

その時には既にリリスは水中から出て紅く輝く剣を構えている。

「!!!!!!」

「そんな技じゃ当たらないよ!

 ■▧■▧■▧■▧、土魔法・墜石棒」

感情を感じさせない目で睨まれたリリスは怯むことなく魔法を放つ。しかし…、

「なにっ!」

魔法はガキンッという音と共に弾かれ驚いたリリスは尾びれで水の中へと叩き付けられた。

「!!!!!!」

「藍夏、戻れ!」

「リョウさんっ!」

「戻ってこい!」

魔物の体から魔力が溢れ水面が波打つ。その中を藍夏はリリスの方へと泳ぐがそれを強い口調で制し立ち上がる。

「!!!!!!」

「ぐ…、ぅ……」

ズキンッなんてレベルじゃない痛みが頭だけでなく身体中を襲う。魔力の反動は半端じゃないな……。

「!!!!!!」

「待ってろよ……、リリス!」

痛みと云う流れから逆らうように身体中に魔力を巡らせ翼を出現させる。この翼が痛みの根元に思える程、翼を出すことが痛く感じる。

「!!!!!」

「『雷鳴ノ瞬撃』!」

翼を出した上スキルの併用。あとで体に掛かる負担が怖いな……。

ガキンッ!

大太刀と鱗が大きな音をたててぶつかる。そしてその威力は双方に掛かり俺は池に墜ちる。そして魔物自体も遠く吹き飛ばされる。

「リリスっ!」

水中に身体中を怪我して血を漂わすリリスを発見した。痛みの中、リリスを抱き抱えると水面へと浮上する。

「リョ、リョウ……?」

「あぁ。もう大丈夫だ。ごめんな、助けてやれなくて」

「いいよ。ちゃんと迎えに来てくれたから、」

「ふっ、一先ずは岸で待ってろよ」

リリスを岸へ下ろすと駆け付けた藍夏に肩をかり俺を見上げる。

「無理しないでね、」

「どうかな。『絶炎ノ炎』」

俺を渦巻く黒い炎が大太刀へ収束されていく。

「!!!!!!」

「はっ!」

1発。

大太刀の斬撃1つで切り殺された魔物は大きな音と共に水面へ墜ちていく。そして戦闘が終わったことで消えた俺の翼。俺はそのまま水面へと墜ちていった。

「リョウっ!」

心配の叫び声が聞こえるが俺が意識を分けることは出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ