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種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
初まりの町
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第7話

「ふっ!」

月の明かりが照らす中、俺は夜の森林を疾走していた。数メートル先に火の灯りが見える。俺は木々の影に体を隠す。

「はぁぁ。あの娘には困ったものだな、」

「あぁ。俺達雑用がどれだけ駆けずり回ったことか…。」

「そして久しぶりに寝れるかって思ったら襲撃者の警戒だもんな。ふわぁぁ、疲れた。」

「親方も少しくらい味見させてくれてもいいのになぁ。」

「お前あんな趣味だったのか?」

「いやいや、、そんな意味じゃねえけど…。」

「まあいいや。交代で寝ようぜ。俺、もう無理」

「あ、ズリい」

野営地を警戒する雑用係のそんな声が聞こえる。どうやらあの商人は約束は守るようだ。

「ふぅ。少し安心だな、」

特に長い間過ごした訳じゃない。ただ、何故か助けてやりたくて守りたくて仕方がないんだ。

「リアスは?」

静かに木を登ると野営地全体を見回す。

テントが合計3つ。その内一つはさっきの男が入っていったことから雑用係のテント。そして馬車と合体している所は恐らくは商人だろう。そして残っている一つ。俺はそこへと足を運んだ。

「リアス、」

リアスは両手を鎖で縛られ杭で地面に固定されていた朝と変わったことは無く、変わったことは無かった。

「リョウ、なの?」

「あぁ。無事だな?」

「うん。ごめんね、リョウ。」

「そんなこと言うなよ。俺がしたくてしてることなんだ。リアスのせいじゃない。」

「けど…。」

「心配するなよ。金の目星はついた。商人とも約束している。」

「け、けど、私のせいで…。」

「大丈夫だ。リアスが元気出さないで俺は何故こんなことしてるんだ?」

「……。」

「な、、三日後には迎えに来る。それまで耐えてくれよ」

俺はポンポンと頭に手を乗せ、ニコリと笑う。


「おいでくださいましたか旦那。」

「商人よ、気遣い感謝する。」

「なんのなんの、私は商売に偽装は嫌いでしてね。こんな職業でも嘘は嫌いなんですよ」

「お前、いい奴だな。」

「へい、旦那こそ三日なんて早い期間で用意してくれるとは捗りますわ。」

「くれぐれも、分かっているな?」

「へい!」

俺は威圧を掛けると街へ戻る。魔法も覚えなければならないし、武器の調達や加工もしなければ。


「ふわぁ。よく寝た。」

俺は森林の木の上で目を覚ました。

おじさんから貰った魔法書も手にあるのを確認して、飛び降りた。昨日はこの本を何回も読んで完璧に理解したつもりだ。

「じゃあこれで、、」

原理はこうだ。

魔法とはスキルを持つことで所持する属性特有の力を魔力に加えることで完成する。しかしその為には色々と問題があるので詠唱をして形を整える。しかしそのせいで魔法の形は固定化され決まった技しか使えない。なら詠唱しなければいいんだ!

「炎魔法・炎鳥」

これは炎魔法の炎者乱舞を元にした魔法で、炎の鳥を作り出し指令を達成させる魔法だ。これには魔力を大量に使う。何故なら指令を覚え込ます魔力の塊とそれを維持する魔力、指令を達成する魔力と3つも魔力を構成する上にそれぞれが膨大な魔力を使う。

「キュイ、キュイッ!」

この魔法は戦闘用に作った訳でなく試作として作っただけだから、意思を持たせることしか出来ていない。けれど命の無い魔法が何故意思を持つのかというと、一時的に疑似生命として誕生させているからだ。実は命や魂は途方もない量の魔力の塊だ。それは何故か知識に入っていた。

「キュ、キュィィ~。」

炎鳥は少しずつ炎を消しながら消えてしまった。仕方ない。まだ試作段階だからだな。

「まあいい。取り敢えずは武器を強化してもらおう。」

魔法のスキルを得るにはその物の原理を理解する必要があった。しかし考えてみてくれ。俺は21世紀の日本から来たのだ。炎も水も風も土も基本的には理解しているし、自慢じゃないが本が好きだった為、詳しく語ることも出来る。と言うことで試してみると全属性を使うことが出来た。ちなみにこれらの情報は全て魔法書の基本に書いてあった。ちなみに魔法書の内容を纏めると……、

・魔法とは?

・属性とは?

・炎属性とは?

・詠唱とは?

・呪文一覧

取り敢えずはこんな感じで書かれていて、それぞれの答えが事細かく記載されていた。そして正直一番役にたったのが最後の呪文一覧だ。これは俺にない発想を沢山くれた。

「うわぁ。改めて入ると人が多いな。」

まだ身分証が無いので城門を通るわけにはいかない。と言うことで塀越えをしてきたのだが、昨日と違い大通りは人で満ち溢れている。そしてその中から昨日の鍛冶屋を見つける。

「おぉ。お兄さん、今日も来てくれたのかい?」

「あぁ。少し武器を調達しに来たんだ」

「武器?昨日の短剣じゃあ駄目なのかい?」

「あれでも十分なんだが、魔力の通りがいい物が欲しいんだ。何かないか?」

「そうだねぇ。これなんてどうだい。粉ミスリルが混じってるから魔力の通りは抜群だよ。」

「値段は?」

「んー、、14000Gだよ。値段ははるがその分の能力はある筈だよ。二本必要なんだろ?二本でこの値段にしとくよ?」

「本当か!感謝する!」

「あいよ。ほれ、」

「そう言えば、ここまで値引きしてもいいのか?」

「まあね。内はほぼ無限に造れるからねえ。大丈夫なんだよ!」

「そうか。ありがとう。」

「じゃあね、」

滅茶苦茶覚悟して来たのだが娘さんの優しさで安く買えた。次は魔物狩りだ。


「ガウッ!」

「土魔法・土槍」

「ガウッ、ゥゥゥ…。」

「ふう。これで六匹目。」

土槍に貫かれた狼っぽい魔物の心臓から魔晶を取り出す。今回の魔物狩りの目的は魔晶の採集。

「あと十四匹だな。」

俺の目的は魔晶を使って自動で攻撃する疑似生命を作ること。まあ、簡単に話すとファンタジー小説等で石を投げたらそこを中心に聖霊が現れる、みたいな魔法を作ろうとしている。

魔法書に書かれていたのを元に考えると、魔法は何にでも付与できる。俺が短剣に魔法を付与するのも同じ原理だ。

さあ、それを元に考えてみよう。魔力の結晶である魔晶を指令部として炎鳥を形成する。すると消えない魔晶は周囲の魔力を吸収し、指令、維持、攻撃全てが維持されて消えない。

「炎魔法・炎鳥刻印」

炎が渦巻き魔晶の中へ吸い込まれる。

「よし、実験だ。」

魔晶の魔法を発動させる。

すると一気に周囲の魔力が無くなったかと思うと炎の翼を広げた炎鳥が鳴き声を上げる。

「成功だ!」

「キュイ、キュイ!」

「魔法なのは知っているがいいものだな。」

炎に燃え上がる頭をポンポンと叩くと、魔法を解除する。すると炎鳥は魔晶に戻り手の中へ収まった。

「そうだ!」

この炎鳥は俺の想像で作って行動パターンも俺が作った。けれど俺が作らなくても魔晶自体にそもそも行動パターンは記録されている。そう考えると指令部を作らなくてもいい分、魔力削減にもなるしより複雑な動きをさせられる。

「炎魔法・疑似生命刻印」

滅茶苦茶無理矢理名前を付けたがこれなら魔晶の記録を元に疑似生命を作り始めの命令通りに行動する。これなら!

「やっぱり狼っぽくなるのか…。」

確かに俺が思った通りの成果が出た。けど、俺のテンションが上がらないのはやっぱり好きな見た目じゃないからだ。ならやることは簡単!

「魔物狩りへ出発だ!」

好きな見た目の魔物を探しに行けばいいだけのこと。自ら戦わなくてもいいんだ。それに始めに作った炎鳥の魔晶でも戦闘をする毎に最適な動きを作り出すだろう。

ここまでして改めて思うのは、やはり魔力と言う物の万能さだな。

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