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種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
平穏なる魔国
55/619

第55話

「美味しかった!」

「良かった。リアスも、これのこと教えてくれてありがとね!」

残っているむね肉を口へ運ぶと棒をポイッと何処かへ捨てる。すると不思議なことに灰のようになって消えてしまう。

「ねえティナ、あの棒ってどうなったの?」

「あー、あれは精霊魔法で作ったからね。ティナが解除すれば消えるんだよ!」

「そうなんだ…、魔法って凄いね」

「まあね。けど、リアスの固有スキルなんて反則的じゃないの!」

「そーだけど……」

「そう言うことだよ。スキルってバランス良く授けられるんだと思うよ。だから、」

「思い詰めても仕方ない?」

「そう。だから行こう! この森もまだまだ深そうだしね!」

「そっか。そうだね。行こっか!」

「うん!」

そろそろ月も沈み太陽が昇ってきた。まだまだ燃える焚き火に砂をかけて消してしまう。

「こんな道でも、リョウが居ないと寂しく感じるね?」

「ティナもだよ。リョウ兄1人でなんでこんなにも胸に穴が空くんだろ?」

「分かんない。分かんないよ本当に。なんでだろう?」

私達だけじゃ答えが出ない。やっぱりリョウに会わなきゃこの気持ちさえ分からなくなるから。


「はあっ!」

「グギャァァ!」

少し大きめのゴブリン。ティナよりも少し小さいくらいの体格。その為反応も早かった。

「くっ!」

「グギャァッ!」

「強いなあ。ゴブリンにしてはだけど、」

グサッ!

「グギャッ!」

右肩に鋭い突きが突き刺さる。鋭い悲鳴をあげるが巨木に磔にされ動けない。

グサッ!

「グギャ……」

「まあ、可哀想かな。じゃあね、」

2本目に突き刺した槍を抜き去るとゆっくりと心臓へ刺し込む。真っ赤な血が傷口から漏れだしてくる。

「■▧■▧■▧■▧、水魔法・波状斬水」

「っ!」

滅茶苦茶薄い水の膜がティナの前にいる魔物達を遅い粗末な首をとばす。血が飛び散り木々には紅い雨が降る。

「汚れちゃった……」

「派手にやってるね、」

「まあね。これも意外と疲れる魔法なんだよ!」

「そうなの?」

「うん! それに、まだまだいるから温存しなきゃだしね!」

「そうだよね。まだ朝だから『夜月妖』にも頼れないし……」

「そうだよ。しっかりと計画的にいかなきゃ!」

「うん! 頑張るよ!」

「信用出来ない……」

失礼だなあ。私だって考えてするくらいできるよ。残り15匹、割って私は8匹倒さなきゃ!

「はぁぁ『掌打』!」

ドンッ!

「はっ『掌打』!」

ドンッ! 

「やあっ『掌打』!」

ドンッ!

「よし! もう3匹!」

あと残っているのは5匹。その内2匹はゴブリン。簡単に倒せる筈!

「はあっ!」

「グギャッ!」

ガキンッ!

さっきのようにゴブリンはゴブリンでも強い奴がいる。今戦っているのは剣を持っていて背の高い奴。刃と刃がぶつかり金属音を鳴らす。

「押し負けないよ!」

「グギャッ!」

朝だろうと何だろうと獣人そもそもの身体能力は健在なんだよ!

ブシュッ!

「ふふふ、獣人を舐めないでね!」

「ブモォォォ!」

「ん!」

私より頭1つ分くらい大きいオークとの掴み合いになってしまう。普通に見れば私が不利。だけどオークの力も強いけど私の力だって負けてない。

「ブ、ブモォォォ!」

「あれ、得意なことで負けて戸惑ってる?」

「ブ、ブモォ」

「はあっ『掌打』!」

ドンッ!

力んでいたオークはすぐに防御に入れずまともに『掌打』を受け、膝から崩れ落ちた。

「やっ!」

グサッ!

人間にもいるけど人が戦ってる時に不意討ちしてくる。まあ、槍で一発だけどね!

「あと2匹!」

「シャァァァァァ!」

「キャァァ、」

大蛇と角の綺麗な鹿?

鹿の方は既に逃げ腰だけど……。

「シャァァァァァ!」

「ふっ!」

「シャァァァ!」

「外れた!?」

「シャァァァァァ!」

「んっ『掌打』!」

ドンッ!

流石に切っ先の細い槍ではダメージを与えられない。けれど幸い『掌打』は命中し体は吹き飛んでいく。

「シャ、シャァァ……」

「じゃあね、」

グサッ!

ビクッと体を震わせたけど、目の光が消えグッタリと体は横たわる。

「リアス、終わった?」

「早いね。今終わったところだよ」

「ティナは魔法だからね。一斉に殺すなんて簡単だよ」

「そっか。まあいいや、行こう!」

「うん!」

そろそろ陽の光が強くなってきた。

それはもう森林を抜けるのが近いということ。そうなれば完全に私達には分からない未知の世界になる。やっと抜けられるって嬉しいけど不安でもある。

「ねえティナ。私、凄く嫌な予感がする……」

「奇遇だね。ティナもだよ、」

周囲の物音も気配も瞬く間に消えていく。そしてそれと同時に私は動けなくなるような鋭い威圧感に襲われる。

「ねえ、あれ何?」

「さあ。魔物ってことは確かだよね……」

それは綺麗な緑色の大きな鳥。その目はギラギラと私達を見据えていてどうやら私達を狙ってるみたい。

「キヤァァァァァ!」

「勝てる?」

「無理だと思う…、」

「だよね。逃げる?」

「逃げない。逃げても無駄だから、」

「じゃあ、やろっか!?」

「うん!」

「キヤァァァァァァァァッ!」

その声と共に戦闘の火蓋は切って落とされた。


「キヤァァァァァ!」

「う、動けない……」

「リアス! ■▧■▧■▧、土魔法・鋭土槍」

「あ、ありがとう……」

私じゃあ耐えられない強風に私は恐怖を感じていた。そんな中でも鋭い意思で魔法が使える、ティナは本当に強いよ。

「リアス、しっかりしてよ! 敵に怯んじゃダメ!」

「ご、ごめん……」

「リア、ス! 飛ぶよ!」

ドカーーンッ!

風の刃が私達を打つ。そんな不意討ちでもしっかりと察知して私に教えるとこまでして……。

「ティナ、ありがと。行くね!」

「リアス! いい加減にして! 落ち着いてよ、リアスは今動揺してる。そんなんじゃやられちゃうよ!」

「………」

「一回下がるよ。このままじゃやられちゃう!」

巻き上げられた砂煙の中を私達は必死に走る。気付かれてるのは分かってるけど今はどうしようもない。リョウだったらどうするだろう?

「………」

「リアス、ここら辺で隠れるよ!」

「うん………」

大きな羽ばたく音がして強い風が私達を襲う。きっと探してるんだと思う。木の影に隠れた私達は巨鳥の死角だから……、

「リアス、戦える? 怖くない?」

「……大丈夫、」

「分かった。信じるよ、」

「うん!」

再び私達は木の影から躍り出る。羽ばたく風が私達を襲うがそれに怯んでちゃ勝てない!

「精霊魔法・縛植手」

ヒュッ!

弓のような鋭い音と共に植物の蔦が巨鳥の体を縛る。そしてその蔦には毒があり体を蝕む筈!

「リアス! 今だよ!」

「うんっ『獣化』!」

スキルを使い身体能力が底上げされる。そしてそんな身体能力を乗せ巨鳥へと全速力で走る!

「終わりだぁ!」

一本の槍に全力の力とスピードを乗せて突っ込む!

「キヤァァァァァァァァッ!」

「えっ!」

気付いた時には私は近くの木へ叩き付けられ肩の部分からは真っ赤な血が流れ出ていく。痛みなんて感じない、ほんの一瞬だったから……。

「リアス!」

ティナの叫びも聞こえるけど、それより先に私は魔法で吹き飛ばされる。そしてまた叩き付けられちゃった。

「あ……、」

私の胸元からポロリと真っ赤な魔晶が手元へ落ちた。それにはしっかりとした魔法が刻まれている。

「リョウ、いなくても守ってくれるんだね」

真っ赤な魔晶を手に今あるだけの魔力を叩き込む。するとそれと同時に私さえ分かるくらい周囲の魔力が無くなった。

ボウゥゥゥゥッ!

真っ赤な炎が周囲を包んでその真ん中からは大きな巨体が姿を現す。

「凄い……」

「!!!!!!!!!!」

それは炎の鎧を纏う巨人だった。

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