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種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
平穏なる魔国
53/619

第53話

「美味しかった、」

「ありがとう!」

「大丈夫大丈夫。これからもまだ歩くんだ。まだ金は温存しとけよ、」

「うん…。」

「どうした?」

「私に使っていいの?」

「大丈夫だって。俺がしたいからしてるんだ!」

「…………」

なんというか難しいな。あの2人とは全く違うタイプだ。かといってもう2人とも違う。

「リリス、リリスは何処に行きたい?」

他と言えば桜咲とも違うよな。と言うか俺、こっちに来てからの方が友達多いな……。なんか悲しい…。

「武具店!」

「また何故?」

「ダメなの!?」

「いや、ダメじゃないけど……」

「実は直剣がそろそろボロボロになっちゃって。壊れちゃったら意味ないでしょ?」

「まあな。と言うか、直剣と言ったか?」

「うん!」

もう死んでしまった親父さんの形見と言える武器達が俺のアイテムボックスには入っている。その中で一斉調達した武器の中に直剣があった筈だ。

「これじゃ、ダメか?」

「えっ?」

それは淡く日緋色に輝く刀身。ホント、よくこんな希少金属を大量に渡せるよな。なんてったって俺の武器は全部日緋色金なんだから。

「?」

「リョウ、これ、もしかして日緋色金?」

「そうだ。知り合いの固有スキルらしくてな。こないだ死んだが……」

「ごめん、」

「大丈夫だ、リリスは悪くない!」

「うん……」

今思ったがリリスは滅茶苦茶繊細なのかもしれない。こんなことで落ち込んで、根は優し過ぎるのかもしれないな。

「で、どうだ? 受け取ってくれるか?」

「えっ、そんな。こんな高価な物受け取れないって、」

「大丈夫だ。そいつは物好きだったからな、これも貰い物みたいな物なんだ!」

「……。ホントに、いいの?」

「あぁ!」

「じゃ、じゃあ………。」

リリスが刀身に触れゆっくりと抱き抱える。日緋色の刀身の光は鞘に納められ隠される。流石にそんな高価な物を持ち歩くわけにはいかないからな。俺のスキルからも残念ながら偽装は消えていたしな。

「これでその剣はリリスの物だ。大事に使ってくれよ」

「うん!」

「リリス、1ヵ所だけついてきて欲しいんだがいいか?」

「いいよいいよ! 何処に行くの?」

「行ってからのお楽しみだ!」

「っ!」

「仕返しだよ!」

そう言うと俺は先に歩き出す。案内、とか言うが実は粗方町の形は調べてある。それに予想していた場所はピックアップしてある。

「ここなの?」

「そうだ、」

そこは独創的な黒レンガの建物。ガラスも多く使われており近代的な印象を受ける。

「リョウ、アクセサリー欲しいの?」

「まあな、」

カランカラン、

鈴の音と共に扉を開く。嫌な思い出が蘇る。

「………」

「………」

「良かった…」

「どうしたの?」

「少し嫌な思い出があってな。まあいい。少しついてきてくれるか?」

三階建てでまずは一階を歩く。ゆっくりと品定めしていくが、一階には中々良いものがない。

次に二階。品の種類は指輪類だ。正直、剣を操るリリスには向かない。

「んー、三階に行くか、」

「何を探してるの?」

「秘密だ、」

三階に上がるとやっと欲しいものが見つかった。それはネックレスとあともう一種類。その中で一際引かれるのがある。

黒いチェーンにレッドダイヤモンド。無駄な装飾が無くシンプルでいい。それともう一種類の方へ目を移すとパッと引かれたものがあった。

「これに決めた、」

俺はそれら2つをしっかり覚えると店を出た。

「結局何が欲しかったの?」

「知識だ……『等価錬成』」

このスキルは魔力錬成とほぼ同じ。違うのは魔力ではなく等しい価値ならばなんでもいいということ。

「ん!」

「スキルだ。リリスに似合う物が思い付かなかったから見に来たんだよ、」

「私の、ため?」

「そうだ。受け取ってくれるか?」

「も、勿論!」

「ふふ。」

「ちょ、じ、自分でつけられるから…!」

首裏へ手を回し作ったばかりのネックレスをつける。やっぱり似合うな。

「どう?」

若干頬を赤らめ俺に反応を求めるように見つめる。ヤバい、言葉で表せない。

「凄い。滅茶苦茶似合ってるじゃないか、」

「ほ、本当に!?」

「あぁ。そうだ! これ着けてみてくれないか?」

それは深紅の花の髪飾り。小さな花で強さはないが白銀の髪にはよく似合う。

「ん、分かった!」

やっぱりいい!

リリスって意外に紅色が似合うのかな?

「どう?」

「最高! 可愛いじゃないか、」

「え、そんなこと……」

「あるさ。それはプレゼントだ。貰ってくれ、」

「あ、ありがとう。私、リョウにお世話になってばかり……」

「そうだな。まあ、それくらいでいいんじゃないか?」

「…………」

「さっ、そんなのも全て吹き飛ばそう。さあ行くぞ!」

「え、な、何!」

確かに超急展開だと思う。けど、どうしても見て欲しいものがあった。そろそろ陽も傾き夕方も近付いていたから!

「行くぞ!」

「な、何するの!」

俺は戸惑うリリスの腰へ手を回すとおもいっきり飛び上がる。そして魔力を巡らせ翼を生やすとそのまま空高くまで上昇した。

「どうだ?」

「飛んでる、の?」

「あぁ。これのことは秘密だぞ」

力強く空をはばたく黒い翼はエリスさえ知らない。しかしどうしてもこの風景を見て欲しかった。自分が住む町の美しさを……。

「あれがヤミラス?」

「そうだ。小さな争いはあっても平和な町……」

町のあちこちには明かりが灯り人の生活感ある町だ。それは温かい灯火の光。冷酷な石火矢の光じゃない。

「どうしたの?」

「…………」

「む、無理ならいいよ。私なんかまだ聞けないよね……」

「いや、話すよ。俺も隠してるのは疲れた……」

「ん?」

「俺がいた町は戦火に巻かれた。俺の故郷はもうないんだ……」

「……。じゃあ、ここを新しい故郷にすればいいじゃない!」

「っ!」

「ここで暮らさない? 少ししたら出ていくとか行ってたけど、一緒に暮らそうよ!」

「それは、出来ないな……」

「どうしてよ!?」

「約束したんだ。俺は約束は違えてはいけないと思う。それを果たすまでは休めないんだ」

「そっか………。ごめんね、ひき止めちゃって、」

「気にする必要はない。リリスは悪くないからな、」

「…………」

「さあ、そろそろ戻ろうか。夜遅くなるわけにはいかないだろ?」

「そうだね。流石に夜になったら怒られるかもしれないから……」

「よし! 振り落とされるなよ!?」

「うん!」

帰りはスピードも上げるぞ!

黒い翼は夕焼けと共に去っていった。


「今日はありがと!」

「礼を言いたいのはこっちだ。今日はありがとな、」

「ふふ。また明日!」

「あぁ、じゃあな」

客間へ戻った所で別れると、俺は扉を閉めた。そして入れ違いにメイドさんが入ってくる。

「リョウ様、お部屋に案内させて頂きます」

「えっ……、あ、そうか。お願いします」

「はい。こちらへ、」

メイドさんに従い客間を出ていく。思いっきり部屋として帰ってきたが、ここは一応客間だったな。

「遠いんですか?」

「いえ…、他の方々のお部屋の隣になります」

「えっ………、」

「こちらになります。どうぞお入り下さい」

扉を開けた先にはある程度の家具が揃えられた清潔な部屋が。と言うか、ここにある家具って全て上等品だよな……。

「凄いな。これだけ綺麗な所に泊まれるとは……」

「左様ですか。わたくし達も張り切りがいがあります」

「頑張ってくださいね、」

「ありがとうございます」

丁寧にお辞儀をしたメイドさんは鍵を置いて部屋を出ていった。

「ふぅ。楽しかったな、」

やはりこんな日は楽しい。そして思い出すよな。窓から見える月が濡れたように鮮やかだった。

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