第52話
「…………」
「…………」
2人が横並びでベンチに座る。しかしその間に会話はない。
「…………」
「…………」
なんとも気まずい。
リリスは俺に対する申し訳なさで話し掛けてこないだろう。こういう時、なんて言えばいいんだろうな。流石にリリスが話すまで待つなんてダメだろう……?
「あー、リリス?」
「なに?」
こんな状況なのに滅茶苦茶意識が違う方向へ向けられる。なんなんだよまったく!
「俺と一緒にいるのは、辛いか?」
「…………」
「辛いなら帰ってもいいんだぞ。エリスには俺から説明してやるか‥」
「そんな分けないじゃない! 私、リョウといて凄く楽しいし嬉しい。けど、けど、私のせいでリョウに迷惑がかかるのが嫌なの……」
最後には覇気も無くなり涙声になっていた。
なにやってんだろな。こんな時、慰めてやれたらいいのに……。
「…………。そんなに、嫌か?」
「っ?」
涙目でよく分からないというように俺を見上げる。そもそも、俺は……、
「俺はそもそも迷惑じゃないぞ」
「…………」
「言っちゃ悪いが、迷惑だと思っているのはリリスだけだ。俺は逆に嬉しい。それだけ近くなれたってことだからな、」
「っ!」
「俺達、友達だろ?」
「うん……」
「なら頼れよ。頼り頼られるのも友達だろ?」
「いいの? 私、頼ってばかりなのに……」
「……じゃあその分、俺もしっかり頼らせてもらうぞ!」
「っ! の、望むところだよ。完璧にこなしてあげるから!」
目尻の涙を拭うとそう言いながら立ち上がる。
その姿はいつもの強いリリスの姿だった。
「とは言っても、私、そこまでこの町のこと知らないんだけど……」
「じゃあ、2人でゆっくり回ればいいだろ? まだ昼前だしな!」
「そ、それって……」
「どうした?」
「え、えーと……」
パッと顔を背向けると、何やら顔を隠すような仕草をみせる。
「ん?」
「な、なんでもないよ!」
何か吹っ切るように叫ぶと俺の手を持ち走り始める。良かった、元気になったな。
「ふふ、」
「何笑ってるのよ!」
思わず笑みが溢れた。その無邪気な様に、その笑顔に…。
「可愛いなって、」
「じょ、冗談でしょ?」
「そんな分けないだろ。こんなこと、冗談で言うものじゃない!」
「…………」
「これで俺は満足かな!」
「ま、満足って何よ!」
「リリスが赤くまるのが見れて満足だ、」
「んー!」
「ん?」
「リョウの意地悪!」
また機嫌が悪くなってしまったな。まあ、リリスも半分冗談のつもりで怒ってるようだし大丈夫だろう。
「分かった、分かった。ごめんって、だから叩くなよ」
ポンポンと俺を叩く手を静止すると、リリスの肩を持ち目を合わせる。
「なによ!」
まだ不貞腐れているようだな。
怒ったような瞳が俺を見つめる。
「俺が言ったのは、全部本心だ!」
「えっ………」
「さあ行くぞ。もう昼近いぞ!」
「え、ちょっと待ってよ!」
戸惑うリリスを尻目に先に走っていく。
それを必死に追い掛けてくるリリスがなんとも言えず可愛い。
「酷いじゃない!」
「ゴメンゴメン、」
「謝るきあるの!」
「可愛い顔が台無しだぞ、」
「そう言う問題じゃなーい!」
公園からここまで、意外とこんなことを繰り返したせいで既に昼頃になっていた。冬にも関わらず太陽が照々と暑い。
「けどな……、」
「どうかした?」
「いや、なんでもない」
止めておこう。自分が口で認めてしまえば心まで認めてしまいそうだ。それが怖い。過去に囚われた俺はクズだな。
「お腹すかない?」
「確かに…、何処か入るか?」
「うん。リョウは食べられない物とかない?」
「大丈夫だ!」
「そう。じゃああそこに入ろうよ。パエレアって言う料理が有名なんだって!」
「ほう…」
イヤーな予感がする。パエレアった、もしかして……。
「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」
「二名です!」
どうやらこういう所は慣れているようだ。店員との会話はスムーズで瞬く間に席についていた。
「慣れてるんだな?」
「うん。私だってやるんだからね!」
「やるじゃないか。こういう所はリリスに任せようかな?」
「お任せあれ!」
「頼りにしてるよ!」
守ってばかりじゃあ守る方も守られる方も嫌になる。けれどこうやって小さなことでもいい。ちゃんとしてあげられれば嬉しくなる。俺も含めてな、
「お客様、御注文をお伺いいたします」
「えーと……、」
「パエレアのセットで!」
「承知致しました。料金は後払いになります」
そう言うと店員はトコトコと戻っていった。内装は普通のカフェみたいでこの中世という感覚が無くなってしまう。やはりこれ等も転生者の遺産と言うことか……。
「パエレアってどんな料理なんだ?」
「来てからのお楽しみよ!」
ニヤリと笑みを浮かべいかにもしてやったりという表情を浮かべる。それも背伸びしたようで可愛らしいけど!
「それにしても、私、自分のステータスって知らないんだよね……」
「そう、なのか?」
「うん。騎士団の中じゃあステータスよりも技術だから……」
「そうか……。ちょっと待ってろよ、」
「えっ?」
懐からギルドカードを取り出すと魔力を流し自分のステータスを表示する。内容は……、
◈名前ーーーーーーーーーーーー
・リョウ(白狩遼)
◈種族
・堕天人
◈加護
・女神の加護『大』
◈称号
・堕ノ者
◈固有スキル
・『生魂支配』
・『等価錬成』
・『永久炉』
・『奪者ノ頂点』
・『絶炎ノ矛』
・『魔ノ賢者』
・『能力工学』
◈一般スキル
・『闇魔法』
・『精霊魔法(微全)』
・『四大魔法』
・『言語理解』
・『パッシブ(身体強化、
肉体再生、)』
・『戦技(全)』
・『武器術(全)』
・『状態変化(水系・霊系・)』
◈耐性
・痛覚耐性ー伍
・諸毒耐性ー肆
・火炎耐性ー肆
・麻痺耐性ー肆
・幻覚耐性ー肆
・魔法耐性ー肆
ーーーーーーーーーーーーー
こんな感じでチート化が進んでいた。まず種族が意味分からんことになっていた。そして次に固有スキルまでも……。
まあいい、今欲しいのは鑑定できるスキルだから!
「これだな、」
なんとなくだが分かる。この『能力工学』と『魔ノ賢者』を使えば鑑定できる。
「じゃあ…、『能力工学』、『魔ノ賢者』」
ほう。流石だな。騎士団で鍛えられているだけあってスキル系には武器類が多い。
「ねえ、どうしたの?」
「リリスのスキルを鑑定してみた。意外と凄いなと思って、」
「ちょ、何勝手にしてるの! 私にも教えなさいよ!」
「分かった分かった、少し待ってろ、」
メモ帳に鑑定した内容を一気に書き出していく。下手をすれば俺なんかより武術面は高いかもしれないな。
◈名前ーーーーーーーーー
・リリス・ハーディング
◈種族
・魔族(淫魔andバフォメット)
◈加護
・なし
◈称号
・領主息女
◈固有スキル
・『並列思考』
・『二次詠唱破棄』
・『精神支配』
◈一般スキル
・『炎魔法』
・『直剣術』
・『大槍術』
・『盾術』
・『破刃』
・『衝打』
・『縮地』
◈耐性
・精神耐性ー伍
・魔法耐性ー参
・痛覚耐性ー肆
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「凄いだろ?」
「凄い……」
「まあ、俺もよく分からないからまた調べとくよ。明日にでも教えてやる」
「いいの!?」
「あぁ。俺も気になるしな、」
「ありがとう!」
その時、トコトコと一定な足音と共に料理が運ばれてきた。
「やっぱパエリアか、」
完璧見た目はパエリア。
俺は熱々のスペイン料理を楽しめた。正直にいうと、食べたことなかったし良かった……。




