第5話
「よっと、」
少し遊んでいると簡単に出来るようになってきた。そして気付いたのは魔力の塊が物に当たると込めた魔力に比例して爆発エネルギーを発すると言うこと。だから例えば魔力の塊を飛ばすと、着弾場所中心に爆発が起こる。
「おぉ、随分上達したじゃねえか。やるなあ」
「いえ、、まだまだおじさんには及びませんよ。」
「嬉しいこと言うてくれるな。そろそろ、魔法についても説明してやろう」
おじさんはニコニコと笑うといつの間にか持ってきていた本を取り出し俺に席をすすめる。
「そもそも魔法とはスキルを持ってなきゃ使えん。それは知ってるな?」
「……。」
「知らなかったとか言わんよな?」
「すいません。知りませんでした、」
「そうか。仕方ない。じゃあ、スキルについても知らんな?」
「はい……。」
「坊主、スキル無しで出場しようとしてたのか?」
「……。」
「俺が呼び止めてよかった。あと数日だが教えてやろう。戦闘テクニックってやつを。」
おじさんは教え応えがあると闘志を燃やす。
「まずはスキルだ。」
「はい。」
「スキルと言うのはな、ずばり魔力を使う技のことだ。スキルは魂に刻まれるんだが、習得は難しいわけじゃない!」
「それは、先天性に持ってないんですか?」
「おっ、良い質問だ。スキルを先天性に持っている場合、それは強力なスキルだ。例えば同じ炎でも炎操作というスキルを持っている人がいるが、その炎操作は魔法なんかとは比べ物にならないくらい自由に操れるんだ。」
「自由に、、魔法は自由じゃないんですか?」
「あぁ。魔法は呪文と魔法名を合わせないと中々成功しない。これはどうしようもないことだな。」
そうか。魔法は魔力に何かを加える。そしてその加える物とは呪文によって発生する何かなんだろう。なら、それを呪文無しで使えたとしよう。炎操作と大差無いではないか!
「まあいい。次にスキルは魔法みたいに任意で使う物と、常に働いている物がある。そんなスキルは職人に多いんだが、皮肉なことに魔物も良く持ってるんだよな。」
「魔物!?」
「もしかして魔物さえ知らないのか?」
「はい…」
「坊主、本当に何にも知らないんだな?」
「……」
「まあいい。魔物と言うのは人と同じようにスキルを保有している野生動物のことだ。あとで狩りに行けばいい。」
「分かりました。」
「あー、なんだ。滅茶苦茶話が変わったが、魔法習得の方法を教えよう。」
「、、、」
「ズバリ、原理を理解し実践出来ることが大切だ。その為に、これだ!」
その手に分厚い魔法書が置いてあったのが見えたことから予想していたが、やはりそうだ。けど、、
「これを読んで理解すればいいんですか?」
「そうだそうだ。まあ、それは今夜でもすればいい。今から魔物狩りに行くぞ。学ぶより実戦の方がいいんだ。行くぞ!」
「えーと、、」
「どうした?」
「装備も何もないんですけど、」
「はっ?」
「買ってきます!」
「行ってこい…」
怖ぇぇ。おじさん怖い。昔、親父に悪戯して怒られた時みたいだ。俺はさっき見掛けた鍛冶屋へと急いで走っていった。
「ここら辺かな?」
人のザワザワとした雰囲気が逆にワクワクさせる。何があるか楽しみで、こんな所を歩くのも好きなんだが、そんな余裕は無い。
「お、あったあった。ここだな、」
紺色の屋根に灰色のレンガ壁。そして店先には多くの銀色の鉄剣が光を反射していた。
「お兄さん、うちの剣をご所望かい?」
そう言って店の中から出てきたのは若干背の低い褐色の肌をした女性だ。耳も尖っていて人間じゃないことは歴然だ。
「あぁ。短剣があればいいんだが、、」
「短剣かい?短剣ならこっちだい。ついてきておくれ、」
色々と強引だな。まあいい。俺は言われるがままに中へ入る。
「凄い、、」
「だろ?あたいの親父は凄えんだ。あたいもいつかあんな鍛冶屋になりたいんだ!」
「なれると良いな。その意気があれば出来ると思うぞ!」
「ありがとね。お兄さんも、頑張りなよ!」
「あぁ!」
そんなことを言いつつ探すのは上等な短剣二本と消耗品の短剣だ。せめて消耗の分は十本くらい欲しいかな。
「よし、これでいい。頼む」
「あいよ。9200Gだ。けど、お兄さんは見込みがあるから半額にしておくよ。」
「ありがとな。機会があれば礼をする。」
「期待せずに待っておくよ。」
「ありがとう、」
俺はその後、眼帯とナイフ携帯用のベルトを買うと城門へ向かう。おじさんとは城門前で約束してた筈だ。
「ん、眼帯か?まあいい、武器は何にしたんだ?」
「短剣です。一番使い慣れているんですよ。」
「そうなのか。まあいいか。取り敢えず行くぞ!」
「はい!」
城門を出るとそこはもう大森林。そしておじさんはズカズカと森林を進んでいく。
「はぐれるなよ。はぐれたら二度と会えないぞ」
「はい!」
おじさんが前を進み道を作ってくれている。それにおじさんの武器は直剣のようで目の前の高い野草も切り裂いてくれる。
「ここが狩り場だ。初心者冒険者達が魔物に慣れる為に来る。ここにはゴブリンの群れが住んでいる。」
「冒険者?」
「……。まあいい、冒険者とは各種族の市民団体が共同で設立した魔物討伐を生業とする者達のことだ。加入者はギルド施設から依頼を受ける。まあ、強さによってランク分けがありそれ相応の依頼しか受けられないんだ。」
「おじさんは冒険者ですか?」
「いや、、昔は冒険者だったが、今は引退した。それからはあの街で好きな仕事をしている。」
「だから魔物についても詳しいんですね!」
「まあな。行くぞ、」
「こいつがゴブリンだ。俺は手を出さないから自由にやってみろ。」
子供くらいの体格で緑色の不気味な肌に大きくギョロギョロと動く両目。キモい…。
「グギァァァッー!」
ドンッ!
「弱いな、」
ゴブリンの反応速度は人より遅く骨だって人より脆い。
「坊主、遅いぞ。それに短剣を抜かんでどうするんだ?」
「えっ、、素手でいけるなら素手でいいんじゃ?」
「馬鹿者!相手を舐めて掛かるから負けるし痛手を負うんだ。それに初めから命を取られる覚悟をしていない今の状況では坊主、お前は死んでしまうぞ!」
「っ!」
「坊主、お前は絶対にしなければならないことがあるんだろうが!?」
「っ、」
「その為に絶対に油断するな。俺はこれでも何人もの冒険者を見てきたが、真っ先に死ぬのはお前のような強く自信を持っている者だ!」
「……。」
俺は慢心していたのか?
いや、確かに慢心だな。おじさんはやはり親父みたいだ。俺のことを叱ってくれる、間違った所を導いてくれている。甘えてばかりではいけない。
「分かりました。これで、いいですか?」
「あぁ。MAXでいけ。」
能力なのかは知らないが、俺は殺すと魔力が回復する。だから殺せるなら魔力は大量に使っても良い!
「……。」
両方の短剣に爆発のエネルギーを斬るエネルギーに変えた魔力をコーティングする。魔力をコーティングした短剣は白く発光し、見えないが威圧感を感じる。
「グギァァァッ!」
「っ!」
「グギァァァッ!」
「っ!」
「グギァッ!グギァァァ……」
石突きで顔面を強打すると、もう片方の刃で喉元を掻き切る。そしてその間に始めの短剣でもう一匹を突き刺すと抉りながら引き抜く。
「最後だ!」
残っていたもう一匹を姿勢を変えないまま蹴り飛ばすと、追い掛けて眉間へ突き刺した。
「上出来だ。初めから殺す気ならもっと実力は上がるだろう。それにスキルも判明していないんだ。強くなるぞ!」
「ありがとうございます!」
「それはそうと、もう一つだけ襲撃しないか?」
「はい!」




