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種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
平穏なる魔国
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第42話

ハッキリしはい意識のまま歩いていると、人らしき者に襲い掛かる魔物を見付ける。正直、見殺しにしても良かったが、良心が許さず間に割って入った。その後、魔物を倒したのはいいものの傷口からの多量の出血のせいか意識がとんでしまった。


目の覚ますと、目の前に紅い瞳の女性。紺色の角があり、人でないことは目に見えて分かった。

「礼を言う……。」

「妾もじゃ。御主には命を助けてもらったのじゃ。これくらいは御安いご用じゃ!」

見掛けた人はこの人だったか。まあいい。長居してはいけないな。

「借りは、返してもらった。そらじゃあ、失礼する」

意識はまだハッキリしないが気絶前よりはマシだ。傷もこの人のおかげか処置されている。

「無謀じゃ。御主、今日1日くらいは休んでまいれ!」

「そういう、わけには、いかない。」

引き留めてくれるのは嬉しいが、まだ人に触れられる俺ではない。取り敢えずもう少しは1人で……。

「何故じゃ。取り敢えず座れ。妾にも説明せよ!」

扉の前へ立つと俺を通させないつもりらしい。

「分かった分かった。そう興奮するな、」

一応宥めると寝かせてくれていたベッドへ腰を下ろす。それを確認した女性も座っていた椅子に腰を下ろした。

「そうじゃな。取り敢えず御主は誰じゃ?妾を助けてくれたその力は獣人や人間の力ではないぞ。」

「その前に、お前から名乗るべきじゃないか?」

相手は正体不明の女。俺からすれば油断出来ない敵となりえる。

「そ、そうか。妾はここを北に行った所にあるヤミラスの領主じゃ!」

「その領主が何故ここにいるのです?」

「今妾の町の家畜共が強大な魔力源に怯え体調を崩しておるのだ。しかし突然起こったこと故、対応が追い付かぬ。それで町1番の妾が魔物なら討伐出来るようにと出てきたのだ。恐らくは魔物ではなかろうがな。」

あっ。多分それ俺のことだ。強大な魔力源とは昨日俺が空を飛んでた時間からさっき魔力を抑えた時間までのことだろう。これは言って良いことなのか……?

「魔物ではない?」

「そうじゃ。妾が探すため辿っていた魔力源が突如消えてしまった。このような強大な魔力を持ちそれをすぐさま消す等、魔族か聖霊くらいにしか出来ぬ。」

「そうですか………。頑張ってくださいね!」

笑みを浮かべ手を振ると扉に手をかける。すると背中から肩を叩いてくる者がいる。

「次はお主の番ではないか?」

「えっ?」

「妾が名乗ったのじゃ。次は御主が名乗る番であろう?」

「そ、そうか。そうですね。私は元人間のリョウ。色々と込み合った事情がありますが…。」

「そうじゃったのか。良ければ教えてはくれぬか?」

「私は捨てたのです。あそこへ全て置いてきました……。」

「分かったのじゃ。これ以上は詮索せん。けれど頼み事を一つ、聞いてはくれんか?」

「頼み事?」

「そうじゃ。元々分かっていたことじゃがその魔力源、妾1人では手に終えぬ。どうか力を貸してはくれぬか?」

「俺が?何故です?」

「お願いじゃ。妾はヤミラスでは1番なのじゃ。その妾でさえ勝てぬ。頼れる者はおらぬのじゃ!」

「相手によります…、」

「礼を言うぞ!」

と言っても断ろうとは思わない。助けたとはいえ、俺のしたことは単なる気紛れ。しかしこの女性のしてくれたことは俺に対する親切心からだ。断れない…。

「それはそうと、名前を聞いても?」

「そう言えば名乗ってなかったのう。妾の名はエリス・ハーディングじゃ。よろしくのう。」

「よろしくお願いしますハーディングさん。」

「御主は命の恩人じゃ、敬語なんぞ良い。妾も敬語は嫌いなんじゃ。」

「そう、か。分かった。これでいいか?」

「そうじゃ、それでいいんじゃ。あと妾はエリスで良いぞ!」

「分かったエリス。よろしくな!」


「御主はまだ動くでない。まだ傷は塞がってないであろう!?」

「そ、そうだが…。」

夕飯の時間になり何か捕ろうかと立ち上がると駆け付けたエリスに押し留められてしまう。流石に何もしないわけにはいかないだろう?

「侮るでない!妾とて夕飯くらい用意出来る!」

本当か?相当慌てているようだがまあいい。食材くらいは提供させてもらおう。

「ほらっ、」

「御主、これはなんじゃ?」

「ここに住む魔物だ。名前は知らんが今日の昼に仕留めたからまだ食べられると思う。」

「そ、そうか。礼を言うぞ!」

そう言いながら鳥を掴んだはいいものの、処理の仕方が分からないのかそこから動かない。

「首を落として臓物を取るんだ。」

「あ、おりがとう、リョウ。」

あまり何も言わない。こう見ていると、俺が子供の時の親父そっくりだ。何をしていいか分からずあたふたして、逆にこっちが冷静になる。

「………。」

「これでいいのか?」

「大丈夫だ。後は焼くだけだ、」

大体は出来ている。まあ、やってもらってるんだし文句は言うもんじゃないな。それにそろそろ体の自由も利いてきた。

「出来たぞリョウ。これでいいのか?」

「上出来だ。あとはこれでもつければ上手いんじゃないか?」

取り出したのは塩コショウ。この小屋にも流石に調味料は無かったらしく、味付けは出来なかった。

「これはなんじゃ?」

「塩コショウという調味料だ。旨いぞ!」

「そうかそうか、なら妾も!」

何故か昼間より旨く感じる。俺は決して塩派じゃないのだが、何故だろう。少し暖かみを感じれた気がした。


「満腹じゃぁ。」

「俺もだ。そろそろ眠くなってきたな……。」

「そうじゃなぁ。」

「俺はそろそろ出るわ。エリスは中で寝ればいい。」

「御主はどうするのじゃ?」

「俺は外で寝る、」

「そ、そんな。怪我人を外で寝させる訳にはいかぬ。妾が外に出よう!」

「それはダメだ。女性を外で寝させる訳にはいかないだろ!」

「………。」

「………。」

「妾は良いぞ。」

「俺にその後なんと答えろと?」

「じゃな。妾はこちらで寝る。御主はそこを使え!」

「分かった。じゃあ明日、」

ハッキリ言ってまだ抵抗はある。リアスやティナとはあったがまだ知って間もない人だぞ!緊張してならない!

「………。」

「寝たか?」

息遣いは静かで寝ているように聞こえる。

俺はベッドを出ると、対称的な場所にあるエリスのベッドへと近付く。

「…………。」

「礼は言う。俺が喰らった毒もエリスのおかげで薄れた。お前の言動から推測するに今からお前が言いたいことは理解している。だから改めて言おう。じゃあな、」

振り返り扉に右手をかけると、はためく裾を掴まれる。

「ん!」

「エリス?」

「妾に御主を見殺しにせいと言うのか!?命の恩人を見捨てる程妾は腐ってはおらぬ!」

「………。」

「明日、御主をヤミラスへ招く。拒否はさせぬぞ!」

「………。」

「分かっておるのか!御主の正体は今のところ不明と言えるのじゃ!」

「ありがとな…、」

「っ!!!」

ボソッと呟いた言葉はエリスに聞こえたようで、びっくりしたような表情を浮かべる。

「今日の所は戻る。招かれてしまったしな…。」

「許さぬ!妾の近くにおれ!」

「はっ!?」

「だから妾の近くへおれ!妾の後ろにいよ!」

「っ……。」

「zzZ、zzZ、zzZ。」

早いな、もう寝たのか!

まあいい。俺はこの人の背中側に寝転がると、目を閉じる。

「…………。」

色々とツッコミどころがあるが仕方ない。エリスはこう見えてかなりの手練れだ。動いたらすぐにバレる。それに、あまり無下にはできんしな。

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