第38話
リアス達視点です。
※数日前の時間です。
「んぅ。あれ、リョウ?」
回りを見回しても誰もいない。隣にはティナも同じように寝ていて…、
「そうだ!私達リョウを止めたくてっ!」
そうだ。朝、ギルドから重騎士が来てリョウが重傷を負ってるからって断ったんだった。そしたら中々引いてくれなくて…、
「ティナ、ティナ!」
揺すっても中々起きない。宿の部屋なのは分かるけど、いつもの騒がしさが無くて少し不気味。それにリョウだっていない。きっと行っちゃったんだ!
「ん、ぅ…、」
目を覚ました!?
けれど私じゃあるまいし、ティナがここまで長い間寝てるなんておかしい。何が…、
「大丈夫ティナ?私、リアスだよ!」
「リアス…?そうだ!リョウ兄は!?」
「いないみたい。私が起きた時には…、」
「そう。分かった!じゃあ行こ!」
「行くって何処に?」
「リョウ兄に会いに行くんだよ!」
「えー、けど…。」
「けど?」
「私達を寝かしたのって、誰だと思う?」
「っ!」
「そう。きっとリョウだと思うんだ。だから…、」
「け、けどっ!」
興奮して勢いよく立ち上がると、机の上から何かがヒラリと床に落ちた。
「なにこれ?」
それはただの白紙。半分で折ってあって中に何が書いてあるか分からない。
「ただの…、紙?」
「見てみよっと!」
私が拾って中身を見ると丁寧な字で私達へ向けた言葉が綴ってあった。
「リョウからだ…、」
「リョウ兄からっ!?」
「うん。一人で行ったんだって。それで、俺が生きてたらまた会おうだって……。」
「………。」
「………。」
「どうするの?」
「行こうよ!」
「そうだね!リョウ兄はティナ達を助けてれた!今度はティナ達の番だよ!」
「うん!」
その時、外で大勢の叫び声が聞こえた。外を見ようと窓から体を乗り出すと、人々が血の気の引いた顔で町の中心の方へ走っていく。
「どうしたんだろ?」
「分からないよ。けど、私達も早くここをでなきゃ!」
「行こう!」
「うん!」
ただこどじゃない様子に不安を覚えながら宿を出た。その時、リョウがくれた武器も忘れない。
「な、なにこれ…、」
宿を出てみると町のあちこちの何もない所に黒い扉のような物があって、その中から大勢の敵の兵士が出てくる。
「リアス、リアス!ティナ達もボウッとしてられないよ。早く逃げなきゃ!」
「そ、そうだね、」
私ったらこの光景に唖然として棒立ちしてた。
それに比べティナはてきぱきとした行動でやっぱり見た目から想像出来ないくらいしっかりしている。
ヒュッ!
「えっ!」
矢の音が聞こえ咄嗟に手で顔を守ろうとした。そしてそれが功を奏した。狙われていたのは私で、その矢は守った手で受け止められたから。そして何よりも驚きなのが…、
「痛く、ない?」
矢はリョウのくれた指輪に命中し、弾き飛ばされた。指輪が関節1つを覆うくらい大きめだったのもあるのかもしれない。けど…、
「割れちゃった…、」
流石に指輪も矢の威力には耐えられなかったようだ。当たった所を中心に真っ二つに割れてしまった。必然的にティナのも…。
「ちっ!」
矢を放った兵士が再び矢を構え私を狙う。けど、一度戦闘体勢に入れば…、
ヒュッ!
「見える!」
私は獣人。今まではそれが嫌だったけど、リョウのおかげでそれも自慢になった。なんせこんなにも素晴らしい能力なんだから。
「っ!」
弓兵は矢を斬ったことにビックリして手が止まっている。ただの女の子だとでも思ったのかな?
「はっ!」
グサッ!
右手に構える槍が弓兵の鎧を貫いて腹部を貫いた。獣人である私は人間の子と比べて身体能力は比べ物にならない。ホント、ただの兵士って魔物より弱い。
「リアス、少しやる?」
「そうだね。ティナって、殺したりするの大丈夫?」
「うん。今までのこと考えたら殺す方が簡単かもね!」
「だね!行くよ!」
「うん!」
「キリがないね。」
「うん…。魔力は余ってるけど疲れてきちゃう…。」
「そろそろ本気出しちゃおっか?」
「だね。ティナも行くよ!」
「『獣化』」
リョウに鑑定してもらって気付いた獣人である私の固有スキル。獣人としての本領を完全に発揮する為のスキル。
「掛かってきなよ。倒してあげる!」
私達獣人の体は人間と大差ない状態と、獣人って分かるような状態がある。そして『獣化』を使うともっと分かりやすく獣になる。因みに私は狐だよ。
「君達、ここから先は通さないから!」
実はこの『獣化』を使ったのは初めてで、こんなになった自分も始めてみる。まず驚いたのが全身に生えた狐色の毛並み。自分で言うのもなんだけど、滅茶苦茶綺麗。それに耳も少し大きくなって周囲の音も聞きやすくなった。それと一番驚いたのが尻尾が滅茶苦茶大きくなったこと。身長の3分の4くらいはあると思う。
「やろう!舐めんなよ!」
兵士達はまだ分からないみたい。私は獣人で貴方達では勝ち目のないことに…。
「仕方ないなぁ『掌打』!」
ドンッ!
鈍い音と共に私が触れた兵士は吹き飛んだ。軽く説明するとこの『掌打』は相手に触れるだけで衝撃を与えられるスキル。それも魔力の量によって威力の振り幅が広い。
「まだまだ来ていいんだよ?私はまだ大丈夫だから!」
チラッとティナを見ると精霊魔法を使った植物の猛攻が兵士達を襲ってる。あれじゃあ私の相手の方がマシかな…。
「はあっ!」
軽く走って兵士の前へ行くと、槍を支えに飛び蹴りを喰らわす。やっぱりこんな状態になったからか力が強くなってる。
「ば、化け物だぁ!!!」
とうとう逃亡し始めた。当然逃がす気はないけどね!
「はっ!」
あの兵士達のせいで壊れた瓦礫を投げ付ける。自分の壊した物で死ぬってのも可哀想だけど、それくらいのことをしたと思うし、情けは無用かな!
「っ!」
後頭部に命中しそのまま兵士は倒れる。そしてそれを何回も何回も繰り返し兵士達を仕留めていく。当然外れた物もあったけど……。
「リアス終わったの?」
「うん。ティナも?」
「終わったよ。あとはあの眺めてる人くらい。」
実は私達が暴れてるのをずっと眺めてる人がいる。それはこの兵士達の上司であろう人物だ。
「どうする?」
「逃げられないよ。」
その時には私達の方へ歩いてきていて、その手には大きな大剣が握られている。
「お主らは強い。しかしわしには勝てん。どうか降伏してはくれんか?」
その人は私達にそう話し掛け交渉を持ちかける。それど始めから答えは決まっていて…、
「嫌です!」
そうやって返答するのが先か、槍を放つのかが先かは分からなかったけど、分かったのはそのギリギリの槍をしっかりと防いでみせたこと。
「っ!」
「だから勝てんと言うたのに。」
その人はゆっくりとした動きで剣を構えると、勢いよく剣を地面へ突き立てる。それと共に地面は揺れて…、
バンッ!
その人がいる所以外の地面を大きな爆発が襲った。威力はそれほどないけど、吹き飛ばされてしまう。
「あっ!」
私が再び見た時にはその人は居なくて…、
「こっちじゃ。」
見上げると私の上から手が伸びて頭を地面に叩き付けられてしまった。それでも十分痛かったけど、その後に来た攻撃は想像を絶する物だった。
「精霊魔法・イフリート」
その人はなんと精霊魔法を使って私に止めをさそうとする。けれどその時、私はいいことを思い付いた。
「『夜月妖』」
私の二つ目の固有スキル。
夜月の照る時にだけ身体能力が上がって、少しの未来視が出来るようになる。
「まだ行けるよ!」




