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種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
初まりの町
34/619

第34話

「お二人共、準備は出来ましたか?」

「問題無い。」

「私もです。」

「そうですか。それではここで待っていてください」

今いるのは包囲網内の一角。俺と仁と騎士長とそれぞれの関係者しかいない。

「お前、やるのか?」

「そうだ。出てきて問題無いのか?」

「大丈夫だ。俺はそんなに柔じゃない。」

そんな訳あるか!身体中まだまだ傷だらけでまともに剣も握れないくせに!

「強がるな。すぐ戻ってくるからな。」

「ん!」

「少し変わったか?」

「そんなことない!」

「そうかな。まあいい。ユウリ、これが終わったらどうするんだ?」

「……。」

「騎士長が引き取るとは言っているが、どうする?」

「嫌。俺はもう嫌だ!」

「俺の所へ来るか?」

「っ、いいのか!?」

「あぁ。1人や2人変わりない。」

「ありが‥、」

「リョウ様!行きますぞ!」

「分かった。ユウリ話は後だ。じゃあな、」

今回は敵陣を暴れるわけじゃない。だから装備は昨日の袴に支給品の鎧、そして大太刀が今日の装備だ。因みに昨日作った服は普段着だ。

「久しぶりだな遼!」

「そうだな仁!」

「今日は共に戦おうぞ白狩遼!」

「おぅっ!」

ブシュッ!ブシュッ!

クロス字で切られた即席の敵陣の門を突破する。中にいる兵も少ない。目的は敵将だ!

「遠さ‥」

「死ねっ!」

ブシュッ!

勢いと共に首を飛ばすと残る奴らには魔法を放つ。

「ここかっ!」

そこには二人の武将が大将を守るようにたっている。

「ここで一番強いのは遼、お前だ。俺とグラシリクは護衛をやる。お前は大将を!」

「分かった!」

『縮地』を使い大将の目の前まで迫ると、思いっきり殴り飛ばす。それに反応した護衛には魔法による爆発を!

「行けっ!」

その声を受け吹き飛んだ大将を追い掛けた。奴は恐らく仁より強いかもしれない。けれどやるしかないんだ!

「敵将リョウよ。我は偉大なるラスベルト帝国政府軍第二部隊隊長ラスタロト。勝負!」

「はあっ!」

ガキンッ!

ラスタロトの武器も長めの直剣だ。俺の大太刀と直剣はぶつかり合い火花を散らす。

「はあっ!」

「ふっ!」

居合いの形から放った斬撃は後ろへ下がることで躱されそこから放たれた突きは俺の心臓を的確に狙う。

「おっと、」

ギリギリの所で躱せた。けれど次はどうなるか分からない。これは戦略も大事だな。

「お主の実力はそんなものか!」

カッと見開いた目には威圧感があり、俺は一瞬怯んでしまった。そしてその隙に…、

「『黒炎熱斬』!」

黒い炎が直剣に渦巻き俺を狙う。避けられる物は避け、当たるものは高密度の水壁で相殺する。その水壁に使う魔力は相当なもので、その威力を知らしめていた。

「俺だって負けるか!『断絶ノ矛』」

「なにっ!」

絶対に切り裂く斬撃はラスタロトの黒炎も切り裂き、それだけでは止まらずその直剣までも切り裂く。

「はあっ!」

その刃を止めずにラスタロトへ斬りかかる。その斬撃は咄嗟に庇った左腕を切断した。

「我も負けられぬのだ!」

即座に魔力で剣を作ると凄いスピードで斬りかかってくる。

「俺だって負けられん。守るべき仲間がいるんだ!」

「我とて、守る者達がいる!」

ガキンッ!ガキンッ!

     ガキンッ!ガキンッ!

黒炎を纏った刃は俺を焦がし、確実に斬る刃はラスタロトへ着々とダメージを与えていく。

「はぁ、はぁ、はぁ。」

「はぁ、はぁ、はぁ。」

「負けられるか!火炎魔法・核爆破!」

名前は同じだが込める魔力と威力が意味の分からない量だ。最低でも人5人分の魔力は使っている。

「はあっ!」

ーーーーー!ー!ー!ー!ー!ー!!ーーーー!!!!ーーーー!ー!!ーーー!!ーー!

意味の分からない轟音が鳴ると共に死を呼ぶ爆炎がラスタロトを包む。

「殺す!」

その爆炎の中からでもラスタロトはボロボロになってでも出てきた。そして向けられた刃は完全に俺を向いていた、筈なんだが…。

「なにっ!」

そこには既に俺の存在はない。霊化によって実態が無い俺には武器のダメージなど通らない。

「はあっ!」

自分が放つ斬撃と共に霊化を解く。

ガキンッ!

それでも斬撃は防がせ大きな金属音と共に相手を吹き飛ばすだけという結果になった。けれど…、

「なにっ!」

その足元には大きな穴が。それもその中からは大きなミミズが顔を覗かせ、その猛毒を今か今かと蓄えている。

「それだけじゃないぞ、」

周囲には様々な属性の穴虎がラスタロトを取り囲んでいる。その目にはどれも濃厚な殺意が宿っていて、使役者の感情をよく表している。因みに地下にはミミズの複製達が多数いて逃げ道を断っている。

「掛かれ!」

「ガオオッ!」

「!!!!!!」

「ガオオッ!」

「ガオオッ!」

「!!!!」

「ガオオッ!」

「!!!!」

「!!!!」

「ガオオッ!」

魔物の壮絶な鳴き声が聞こえる中、ラスタロトはその全てを冷静に捌いている。流石長年の強者は違うな。けれど…、『影移動』!

「なにっ!」

背中に現れた俺はそのまま刃を体深くねじ込む。そして大太刀を通して…、

「氷魔法・核爆破」

「っ!」

ーーーーーーーーーー!

氷の冷気が周囲を吹き荒れラスタロトの息の根を止める。まあ、俺の疑似生命達は全員死亡だが。

「ありがとう、戻れ。」

疑似生命達も元の魔晶へ戻すと風魔法を使い手元へ戻す。魔晶はそのままアイテムボックスにしまい、ラスタロトの死体に刺さった大太刀さ抜き去るとラスタロトの首をうつ。

「敵将、討ち取ったぞー!」

そう言い首を掲げると、既に武将達を仕留めていた二人は喜びの笑みを浮かべる。そして敵兵達は散り散りに逃げ散った。

「やったな!」

「あぁ。こいつ、強かったな。」

「俺はこいつに何度も負けた…」

やはり仁よりも強かったらしい。ホント、よくやったって感じだ。今回ばかりは自分を褒める。

「お二人共、帰りましょう。我等の町へ!」

「はい!」

「あぁ。」

あとは帰るだけ。敵将の首を騎士長に渡すと、俺達は本陣へ戻った。


「っ!」

「おっと!」

本陣の仮設の門を通ると俺を見付けたユウリは一目散に俺に飛び付いてきた。言葉はないが気持ちは分かる気がした。

「お前、無事だったか。」

無愛想な言葉。けれどユウリらしくていいだろう。俺も気を使った喋り方をされては面倒だからな。

「大丈夫だ。ユウリ、心配させたな。」

「……。」

「ありがとな、ユウリ。」

「んっ、」

その心配の気持ちに答えるようにしっかり抱き締めると、その気持ちがより伝わってくるようだ。その時、

ヒュッ!

「うっ、」

その時、風を切り裂く音と共に弓を射る音が聞こえた。そして抱き締めていた手にまだ暖かい血液があたる。俺の中では最悪の予想が出来たが信じたくなかった。

「雷魔法・核爆破!」

取り敢えず殺す!弓を放った方向へ核爆破を放ち、すぐさま突き刺さった矢を抜き去る。

「ユウリ、大丈夫か!?」

「大丈夫。俺はそんな柔じゃない…。」

「強がるな。精霊魔法・蘇生」

やはり俺のような無練習の精霊魔法の威力は低い。くっ、何故、何故、何故っ!

「そんな顔するな。俺はお前の部下。そして戦友。戦で死はつきもの。だから…、」

「そんなもの俺が覆してやる。無理ならやればいい!」

「リョウ…。」

「大丈夫。死なせはしない!」

「……。」

「魔力を!」

「リョウ…、ありがとう…。」

「っ!」

俺を抱き締めた手から力が抜けた。

俺はまた、俺はまた自分の手の中で…。

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

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