第21話
辺りには闘技場であった瓦礫が散乱する。
そしてうっかり自分の体に結界を張るのを忘れていて、服は焼け落ちてしまった。と言うことは裸かっ!と思うかもしれないが、今は植物魔法の繊維を組み合わせ代わりを作っている。
「危なかった。」
服が焼け落ちたんだ。と言うことはもう少し結界を張るのが遅ければ、俺の体もこれと同じように焼け落ちていたのかもしれない…。
「ふぅ。解除、」
そろそろかと思い自分に張っていた結界を解除する。そしたら解除した瞬間、熱い熱風が肌を撫ぜ植物製の服を燃やした。
「やっべ、」
咄嗟にもう一度服を生成する。今度は炎魔法で熱耐性を付与して!
「二人共大丈夫か?」
二人の服にも熱耐性を付与しながら結界を解除する。余談だがこんな○○耐性と言うのも魔法書に書かれていた魔法をベースにしていた。
「大丈夫大丈夫~…。」
明らかにボウッとして焦点が定まっていない。取り敢えずティナの肩を持ち遠くへ連れると、
「ティナ、リアスはどうしたんだ?」
「今の爆発で少しビックリしたみたい。やっぱり獣が混じってるから炎には弱いのかも…。」
「そう言うことか。少しあやしてくるわ!」
「うん。滅茶苦茶混乱してるから気を付けてね」
そしてまだ石椅子に座っているリアスを後ろから…、
「おわっ!」
「ビックリしたか?」
「う、うん。」
「音大きかったろ、大丈夫か?」
「ぜ、ぜーんぜん。」
「嘘だ。足が震えてるぞ、」
「えっ…。」
「怖かったら言えよ、」
思わず立ち上がった後ろから抱き締める。こうすると俺の頬くらいにリアスの頭がきた。
「怖くないもん!」
「強情だなあ。こうしたろ安心か?」
「だから怖くないもん!」
強めに密着するように抱き締める。もうリアスは真っ赤になって体温も上がっている。
「……♪」
「…。」
「……♪」
「リョウ、そろそろ離れない?」
「……♪」
「ねえっ?」
「…♪」
「恥ずかしいよ……。」
小さく絞り出した言葉。まあもういいだろ!
「仕方ないな。落ち着いたか?」
「そんなわけないでしょ!まだドキドキしてるよ…!」
「そうかそうか。けど、もう怖くないだろ?」
「そうだけど~!」
「さあ、リアスの恥じらいも見れたことだし、次行くか!」
「うん!」
「ねぇ、私の恥じらいって何よ恥じらいって!」
「まあまあ、」
「それはそうと、その服何?」
「これか?これは魔法での生成物だ。下にはちゃんとした服を着てるけど。」
ん?いつ着替えたかだって?
それは魔法書に書かれていた簡単な魔法だ。魔法書には魔力操作やそれを魔法に変える能力が乏しい人の為に、比較的簡単な魔法も属性関係無く掲載されていた。そして面白そうだから覚えていたのだが、まさかこんな所で役立つとは…。
「へぇー、魔法でそんなことも出来るんだ。」
「まあな。土魔法と水魔法だったと思う。」
「それって、エルフしか出来ないと思ってた…。」
「まあ、これは転生者の特権だな!」
「転生者の?」
「あぁ。俺達転生者がいた世界では正直この世界よりも滅茶苦茶技術が進んでいる。だから、魔法の原理なんかも手に取るように分かる。」
「っ!?」
「それって、魔法の無詠唱も…?」
「転生者の特権だな。魔法を分子レベルで理解できるから、魔力という物を通し再現できる。だから俺も四大属性とその派生版は基本的に全部使えるぞ。」
「反則だ~!」
「リョウ兄だけズルい~!」
「まあ、仕方ないだろ。また時間のある時に教えてやるよ。」
「えっ、いいの!」
「あぁ。お安いご用だ!」
「やった!ありがと!」
分かりやすい奴だ。本当に…。
「さあ。あとは服でも買いにいこう。買うって言ってまだ買ってなかったからな。」
「やった!」
「覚えててくれたんだ!」
「当然だ。行くぞ!」
「ここら辺かな?」
「どうだろ、けどそれっぽい店はあるよな。」
装飾品、化粧品、宝石類、ファッション系の物が立ち上る通りを歩きながら呟く。
「ねえ、あそこら辺じゃない?」
指差す方向にはマネキンっぽいのに服が着せてある物が立っている店だ。やはりこんな場所でも日本と同じ商法が使われているんだな。
「ここだここだ。ねえ入ろう?」
「あぁ。二人で入るといい。俺は待ってる。」
「えー!リョウが選んでよ!」
「仕方ないなぁ…。」
こんなことを言うが、取り敢えず俺が服屋に入ったなんてここ何年の間には無い。服なんてばあちゃんが買ってきてくれたし、それが気に入らない物でもなかったから…。
手を引かれ歩くと、中にはテレビで見るような様々な色、形、模様、大きさの服がオシャレに並べられていて、来る者を魅力する。
「いっぱいある…。」
圧倒されている。やはり奴隷という境遇はこのような贅沢は許されないようだ。
「二人共、圧倒されてないか?」
「だ、大丈夫だよ。ね、ねえ?」
「う、うん。いっぱいあるなって思って…。」
それを圧倒されてるって言うんだよ!思わず心の中でツッコミを入れたが、どうしようもないな。俺も若干圧倒されてるし…。
「いらっしゃいませお客様。何かお悩みですか?」
「はい。実は‥」
色々と作り話等を織り混ぜながら話す。
内容はこう。二人は親戚の子で買い物に来てる。けれど中々自分で服を買わないから困っている、と言う内容だ。まあまあ嘘だらけだが仕方ない。仕方ない……。
「そうですか。それでは私がお客様に合う物をご提案致しましょうか?」
「どうする二人共?」
『是非!』
「それでは先に右側のお客様、私に付いてきてください!」
「は、はい。」
若干緊張気味だな。まああの店員のノリも大概対処に困るのは確かだよな…。
「ねえリョウ兄。いいの?」
「大丈夫だ。お互い助け合いだろ?」
「まあ、ね。」
「だから気にすんな。朝奢ってくれたろ?」
「うん。」
「……。」
「……。」
「ねぇリョウ。これとこれ、どっちがいいかな?」
あの店員の腕は良かったようだ。納得した表情を浮かべリアスは二枚の服を両手に戻ってきた。
「なら両方買えばいいんじゃないか?」
「えっ!!」
「だから両方だよ。気になったんなら買えばいい。正直まだ余裕はあるからな、」
「けど、悪いよ。両方だなんて…、」
「いいじゃないか。どうする?」
「じゃあ、お言葉に甘えて!」
「そうこなくっちゃ!で、ティナは?」
「ティナは~。こっちにする!」
実はティナも既に選んでもらって、二着に絞り混んでいた。
「もう1つはいいのか?」
「うん!その代わり1つだけお願いを聞いてほしいんだ!」
「お願い?」
「うん。アクセサリーが欲しいんだけど…、いいかな?」
「大丈夫だ。じゃあリアスはここで二着。ティナはもう一ヶ所でアクセサリー1つでいいな?」
「大丈夫だよ!」
「ティナもそれでいいよ!」
二人が納得したのを感じると会計へ向かった。
「ここだね!」
アクセサリーショップとでも言うべき店は、服屋から数分もかからない所に位置していた。そしてその建物はガラス張りのどちらかと言うと近代的で珍しい建物に思えた。
「珍しいな。」
「そうだよね~。ガラスがこんなに使われてるなんて…。」
「ティナはこんな建物好きだけどなぁ」
まあ確かに、嫌いじゃないよな。
町が、人が、品が近くて。それに光を反射するガラスは俺の目に綺麗に映った。




