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種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
暗躍の将軍
199/619

第198話

「処理完了。意外に早く終わったね」

「そうだな。あとは埋葬してやるだけだ!」

俺達が切り捨てた魔物の死体は一旦全てアイテムボックスの中へ入れた。そして壊れた自然は俺の分身と裏背、そして俺とティナで修復した。

「ここでいいよな?」

「うん。賑やかな方がいいもんね!」

その場所は屋敷の塀の中、際に立ち尽くす木だ。あの体を見れば分かる。多分、全うな生活をおくれてはなかったんだろう…。だから死んだ後くらいは俺達、人と一緒に暮らしてもいいだろう。

「じゃあ行くぞ…。聖炎魔法・聖浄火」

岩の上へ寝かせられた体全体が一気に炎に包まれる。それは岩をも一緒に焼き、粉々の灰へと変えた。

「仕方無かったからとはいえ罪もない人を殺した。お前には謝っても謝りきれない」

頭を下げそんなことを呟いたあと、俺はその場所へ炎を灯した。ユラユラと揺れる炎は燃え広がることめせずその場にただ佇んでいた。

「どうして?」

「火を操る種族だからな。こうやって炎を灯してやるのも一興だろ?」

「はぁぁ、リョウらしいね」

俺にとっての唯一の救いは炎を掛ける時、彼女の苦しそうな顔が笑みに変わっていたこと。やがて山となった灰はその場へ累積、土地の一部となることだろう。

『御冥福を御祈りします』

両手を合わせ呟くと隣では裏背が同じような頭を下げていた。一時の静寂が流れた後、俺はその場から立ち上がると皆を見回す。

「全員いるな?」

「うん。私、ティナ、リリス、ユウリ、サン、レジェ…、ん、ちゃんといるよ!」

「分かった。なら取り敢えず全員屋敷の中へ戻り適当に睡眠をとってくれ。明日、俺と裏背が仕事から帰ってくるまでな!」

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

俺が早々に終わろうと太刀を手に取るとリアスが急いで俺を遮る。不思議そうな顔をするのは裏背も同じでリアスに視線を向ける。

「どうしたんだ? 俺、変なことでも言ったか?」

「いっぱい言ってるよ! そもそも裏背って誰!?」

「あっ……」

そうだ。コイツらには昇華に関することは一切話していなかった。この中で誰か1人でも昇華を体験すれば教えようかとも思っていたんだがな…。

「それは僕から説明しよう。初めまして皆さん、僕は裏背。白狩君に1番近くて1番遠い存在だよ!」

『……………』

辺りは静寂に包まれる。裏背の言ってることも満更間違いじゃない。しかし皆が理解するにはあまりに大雑把すぎた…。

「ねえ、白狩君って…リョウのことじゃない?」

「ん? どうしてそう思う?」

1番初めに反応したのはリアス。他の皆は頭の上にハテナを浮かべたままだった。

「私とあったあの洞穴で…、リョウは私に白狩遼だって…」

絞り出すように途切れ途切れに呟くリアス。と言うか、リアスの記憶能力ってスゴいな…。あれから俺は一切自分の苗字を語っていないのに…。

「そういえばそんなことを言ってたね。君は!」

「ついの今まで忘れていた…。リアス、よく覚えていたな?」

「大事なリョウとの思い出だもん!」

胸を張って言い放つリアス。しかし自分の言ったことの意味を理解するウチにその体は小さくなっていく…。

「ふっ、まあいい。コイツは俺の魂の片割れだ。今は俺の分身を与えているだけだな!」

「そう、なんだ…。普通は驚きそうなんだけど皆落ち着いてるんだね…」

リリスはそもそも親が昇華している。ユウリは滅多なことでは驚かない。レジェも俺の特異性には諦めたようで驚かないしサンはどことなく勘づいていたようだ。

「と言うことだ。俺と裏背が帰るまでしっかり寝てるんだぞ!」

「もう、子供じゃないんだから!」

「言わなきゃついてくるだろ?」

「んー!」

まだまだ言いたそうな皆をよそに俺は空高く飛び立つ。その後を裏背が追従する。

「君と直で言葉を交わすなんて新鮮だね」

「そうだな…。しかしどうして今までこの方法を気付かなかったんだろう…」

「君が僕に敵対心を抱いていたからじゃない?」

的確な意見を放つ裏背。考える余地なく原因はそれだ。俺がコイツに敵対心を抱き頼ろうとしなかったのが原因である。

「そうなんだろうな。それよりもこの惨状を見てどう思う?」

「酷いね。とは言え少しおかしいかな」

「おかしい?」

「うん。魔物のランクが高過ぎる。そこまで魔力濃度も高くないのにこんな強い魔物が溢れてるなんて有り得ないよ」

「んー、そうか。やはり誰かが仕掛けたのだろうか?」

「かもね。もしそうならどうする?」

「確実に仕留める!」

「同意見だよ!」

そう言って背を向ける裏背。地上では平原の端で未だ俺の分身達が魔物達を始末していた。

「なあ裏背、アイツらもお前と同じなのか?」

「んー、少し違うかな…」

「何が違うんだ?」

「自我の有無。僕には立派な自我がある」

裏背の目線の先には大太刀を振るう分身達。俺の命令通り獣達を殺していく。

「アイツらにはないのか?」

「無いね。君の意識を機械的に複製したようなモノが宿っているだけだよ」

「そうか…。だから命令が必要なんだな?」

「そういうこと。そして僕は君に1つだけアドバイスをしたい」

「なんだ?」

「もう少し自分のスキルを見直してみたら?」

いきなりの真面目な指摘に俺は豆鉄砲を喰らったような気分になったがよくよく話を聞くと納得できた。そしてそれについて裏背に聞いたのが運の尽きだった。

「なあ、そろそろ‥」

「ダメだよ!」

何故主である俺よりも分身が強いんだ…。俺は密かな文句を心の中で呟きながら裏背のスキル講習を受けることになった。


「さあ、この数の一般スキルをどうするかだけど‥」

「待て待て。少し待ってくれ!」

裏背に促されスキルを改変しようとしたがそのスキルの数に俺は驚きを隠せなかった。そういえば忘れていた。『奪魂ノ統者』は『食物連載』を統合した果てのスキルだということを…。

「まあいい。ならどうするの? この量のスキル?」

「んーー」

「ん?」

どうせ浮かばないだろうとつまらなさそうと顔をする裏背。待てよ…。スキルを抽出することが出来ればもっと簡単に整理できるんじゃないか。

「なあ裏背、スキルを魔晶に宿すことは出来るだろうか?」

「ん! 面白いことを言うね。確かに譲渡はスキルを宿せるモノにスキルを移動させる技だから…出来るんじゃないかな!」

「ほう…。なら試してみようじゃないか!」

「ふふ、楽しみだ」

アイテムボックスから魔力を帯びた宝石を取り出す。魔晶じゃないのは単に失敗すれば勿体無いからだ。

「えーと、こう、だな…」

手の中の宝石は魔力を帯びたこともあり普通よりは魔力の通りがいい筈だ。己の中の一般スキルの1つを意識。サンにしたように移動させる。

「できちゃった?」

「分からない。ただ、失敗はしてないと思う」

一瞬邪力が渦巻きそれは宝石を中心に収まっていった。残るのは全くもって普通の宝石だった。

「まあいいっか。ドンドンいこ~」

気軽に話す裏背はドンドンと宝石へスキルを込めていく。分身である裏背の体はそれをそのまま再現したスキルが宿っていて、俺達2人がこの作業を繰り返すと二組のスキル付与の宝石ができる。まあ、そんなこんなで作業を続けて数十分後…

「やっと終わった~!」

「ふふ、これで一般スキルは終了。次は固有スキルだね!」

「はっ…」

結局俺は抗うことも出来ず固有スキルの整理を始めた。と言っても合成していくだけだから多分問題ない。多分…。

◈名前

・リョウ(白狩遼)

◈種族

・堕天人(聖霊混じり)

◈加護

・女神の加護『大』

◈称号

・堕ノ者

◈固有スキル

・『奪魂ノ統者』

・『智神ノ叡知』

・『魂能ノ匠人』

・『終無ノ魔力』

・『絶炎ノ武具』

・『雷鳴ノ瞬撃』

・『暗人ノ秘術』

・『瘴血ノ全鎧』

・『炎神ノ邪術』

・『等価錬成』

・『確率操作』


◈一般スキル

・『属性魔法』

・『精霊魔法』

・『幻覚魔法』

・『大太刀術』

・『刀技(斬・突・貫・打・護・特)』

・『潜在覚醒』

・『七変化』


◈耐性

・痛覚耐性ー漆

・諸毒耐性ー肆

・火炎耐性ー肆

・麻痺耐性ー肆

・幻覚耐性ー肆

・魔法耐性ー肆


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