表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
不穏な兆し
161/619

第161話

「ふぅぅぅ…」

血の雨が降り頻る。黒い瘴気はケルベロスが死んだこともあり少しずつ晴れてはきているがその胸を締め付けるような雰囲気は拭えきれなかった。

「これだけでも回収しておかなければね…」

ケルベロスの落ちた首、そして胴体の方を回収する。無制限で収納できるアイテムボックスはこの大きな巨体を始めから無かったかのようだった。

「これもな…」

突き刺さった大太刀を回収し鞘に納める。驚異は去った。残るは聖域結界を解除してやらなきゃな…。

「リョウっ!」

「ちょ、ま、リアス…。ティナもリリスも、ま、待て!」

「リョウ、仕方のないことだと思うぞ?」

「ユウリ、お前まで…」

「ふっ、伴侶くらい大事にしろよ」

そう言って背中を見せるユウリ。ニヤリとしたその笑みは妙に憎たらしかった…。けどまあ、3人に揉みくちゃにされている今も嫌なわけじゃないな…。その時…

「んっ!」

「ど、どうしたの!?」

頭が痛い。何処かで感じた感覚だ。頭の中を掻き回されるような痛みは瞬く間に俺の意識を刈り取っていった…。


《裏背、どういうことだ?》

《3日は寝込むよ!》

目が覚めると転生の時の真っ白の部屋とは相反するような真っ黒い部屋。1つ違うのは目の前に俺と瓜二つの誰かさんが立っているということだ。

《ここは、どこだ?》

《精神世界と言うところかな? 取り敢えず座ってよ!》

裏背に進められるままソファーへ座る。そして同じようにソファーへ腰掛け手を振ると俺の目の前に紅茶とクッキーが現れた。

《これは、『等価錬成』か?》

《よく分かったね。先は長いんだし2人で御茶でもしようじゃないか》

《はぁぁ。暢気なものだな…》

黒いながらも妖美な部屋はなんとも心に語り掛けてくる。ソファーに座って紅茶を啜る裏背の姿はなんとも自分とは思えない。

《それにしても、君ならこの状況を予想出来ていたんじゃない?》

《まあ、前回もあったしな。確かその時は船でお前に力を借りた時と…、スキル改変の時だったか?》

《そうだね。まあ、君なら死なないと思っていたけどね!》

確かに死んでいない。もし俺の体が死んでいれば俺を含め裏背もこのように喋ることは出来ないからな…。

《今回ので力は何割だ?》

《4割、くらいかな。もし君がもっと寝込むのも覚悟なら7割くらいは借せるよ?》

《興味本位だが……、その場合、どれくらい寝込む?》

《1ヶ月くらいじゃないかな?》

《絶対にやらないでおく…》

《ふふっ、そう言うと思ったよ》

楽しそうに笑みを浮かべる裏背。甘そうなクッキーの香りが鼻を掠めた。

《なあ裏背、もう少し早く回復できないのか?》

《無理だと思うけどね~。まか、スキル行使が出来ない状態、即ち意識だけを回復させることは出来るけど?》

《ならいいじゃないか! 今すぐ‥》

《やっても無駄。今は脳自体がダメージを受けてるんだよ? 回復させても何も出来ないよ。せめて1日は療養しないと!》

《くっ…。なら明日、すぐに頼む!》

やれやれといった表情を浮かべる裏背。ティーカップを傾けたあと紅茶を置くと、「良いことを思い付いた」と俺へ視線を向けた。

《君って僕といるのがそこまで嫌いなのかい?》

《リアス達とお前を比べるのか?》

《………。君って僕に対して酷いね…》

《自分に対してだ。気兼ねなく接していいだろ?》

《君らしいね…》

そう言うとそれっきり会話は無くなった。裏背の趣味なのかフルーティーな紅茶は美しく澄んだ色をしていた。それに合わせられる淡いクリーム色をしたクッキーも中々のものだった。

《なあ裏背、ここでスキルは使えるのか?》

《使えるよ。他にも魔力や邪力も行使できるけど?》

《邪力だと?》

《知らないのかい? 邪力とは昇華時に得る新たな魔力だよ!》

《黒い魔力のことか?》

《そうだね。君にはその方が分かりやすかったかな?》

黒い魔力。

改めて考えるとおかしいことだ。通常なら見えず色もない魔力が体現するなんて不可解だ。と言うことは魔力じゃないということ。

《ならその邪力とはどんな力なんだ?》

《基本的には魔力と同じかな。特殊能力として洗脳や汚染等もあるよ!》

《闇魔法みたいなものか?》

《そうだね。闇魔法よりも使いにくいけど…》

《そうか…。まあいい。ここでスキル改変したいんだが大丈夫か?》

《うーん、大丈夫だと思うよ。多分…》

《おいっ!》

《まあ、試してみればいいんじゃない?》

《そうだな。『能力工学』》

すると目の前に現れた青白いパネル。前と同じ合成、分解、調査の文字が現れる。

《成功らしいね。で、何をするの?》

《いや、本格的に整えてみようかなって!》

《そうなんだ。じゃあ僕はお邪魔かな?》

《別に問題ないが…、何か用事があるのか?》

《少し眠いな~って!》

《そうか。おやすみ。俺は続ける》

《りょ~か~い!》

紅茶を飲み終わりクッキーを食べていた裏背はコロンとソファーに寝転がる。すると自然に毛布が現れて寝転がった体に被さった。

《まあいい…。始めよう》

今回のでよく分かったが今の俺では力不足だ。無駄なスキルは消して合成できる物は全て合成する。出来る限り、この時間を使って整えねば…。俺はそう考えパネルをタップした。


《くぅぅぅ。よく寝た!》

長い間パネルを操作していた。既に固有スキルの数は14個だったのが11個。一般スキルは28個だったのが9個にまで減らせていた。

《どれくらい寝てたんだ?》

《3時間くらいかな~。と言うより何故寝ていた僕が教えてるんだろ?》

《どうでもいいだろ? それよりもお前の体に変化は?》

《これまで使っていたスキルが使えない…》

《そうか。まあ、大量に改変したからな!》

《そう…。君のことだし変な改変はしてないだろうけど…》

《凄い信用だな?》

《自分を信じないでどうするんだい?》

いつの間にか現れたティーカップを傾けながら話す裏背。同時に現れた俺の紅茶も良い香りを漂わせながら湯気をあげる。

《ま、お前は元は俺だしな…》

《今もだよ!》

《今も?》

《そう。僕は今でも君の中にいて謂わば君の一部なんだ~》

《一部、どういうことだ?》

《分からないかな~。僕は君の昇華時の力の塊で、それに君の精神の片割れが取り付いだけ!》

《ちょっと待て…。色々と聞きたいんだがお前が昇華した時の力の塊とは、どういうことだ?》

《そのままの意味だよ。君が黒い魔力を使う度、魔力をフルで使う度、昇華によっての力は全て僕の力だ。もし君が僕を完全に殺したなら僕の力は君の物だよ!》

《そうか…。けど、止めておく…》

《そっか。で、次は何?》

《俺の精神の片割れとはどういうことだ?》

精神の片割れ。

その言葉に込められた意味が本当の意味の片割れなら俺と裏背は2人で元の白狩遼となる。と言うことは既に俺は白狩遼じゃない…。

《君、この世界に来てから感情面の感覚は変わってない?》

《…………》

《自覚はしていたようだね。なら分かるかな?》

《俺は既に白狩遼じゃない…》

《分かってるじゃない。そう言うことさ!》

《…………》

《辛いだろう? それは仕方のないそとだよ。全ての転生者が経験することだからね!》

《全ての?》

《そうだよ。もし昇華しなくてもこの世界に来た瞬間、価値観と共に精神は少々分離されるからね!》

《そうか。礼を言う…》

分かっていたことだが少々辛いな。クッキーの良い香りに心を融かしながら揺れる紅茶の波紋を眺めていた。

改変後の結果です。


⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩


◈名前

・リョウ(白狩遼)

◈種族

・堕天人(聖霊混じり)

◈加護

・女神の加護『大』

◈称号

・堕ノ者

◈固有スキル

・『奪魂ノ統者』

・『智神ノ叡知』

・『終無ノ魔力』

・『絶炎ノ武具』

・『雷鳴ノ瞬撃』

・『暗人ノ秘術』

・『瘴血ノ全鎧』

・『等価錬成』

・『能力工学』

・『確率操作』

・『悪魔ノ刻』


◈一般スキル

・『属性魔法』

・『精霊魔法』

・『大太刀術』

・『刀技(斬・突・貫・打・護・特)』

・『王者ノ眼』

・『潜在覚醒』

・『能力上昇』

・『言語理解』

・『七変化』

・『縮斬剣』


◈耐性

・痛覚耐性ー伍

・諸毒耐性ー肆

・火炎耐性ー肆

・麻痺耐性ー肆

・幻覚耐性ー肆

・魔法耐性ー肆

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ