第159話
スキル変更は後書きに記載します。
《なんとか乗り越えたみたいだね!》
《ははは…。見捨てやがって!》
《酷いんじゃない? 僕には何もできないでしょ?》
《………。それでもだ!》
《そんな無茶な…》
愚痴る裏背をよそに俺はベッドへ飛び込む。大太刀も置いた。コートも片付けてある。俺はそのまま目を閉じた。
《なあそういえば裏背、月魔の拳の意味って分かったのか?》
《んー、詳しいことは何も…。単に魔族の中で月魔って種族がいるらしいんだけどね、その種族出身ってだけくらいかな?》
《ほーう。だから月魔か…》
見た目ではリリスやエリス等と変わらないのだがやはり精密に見ると種族が違うらしい。と言っても淫魔系統であるリリスやエリスは限り無く人間に近い姿といえるだろうが…。
《それよりも君はスキルを改変しなくていいの?》
《また落ち着いた時にしてみようと思う。今やらなくてもいいだろうからな!》
《そうかな? 敵はいつ訪れるか分からないよ?》
《………。なら1つだけ作ろうか…『能力工学』》
スキルの発動と共に現れたボードには見ているだけで目眩のするような量のスキルが表示される。今回は、合成、を選んだのだが、その中でも俺の使わなさそうな『消音』をタップするとズラッとスキルが並んだ。
《これを見ていくなんて面倒だね。一括で出来ないのかな?》
《んー、試してみるか?》
同時にタップする。すると次の画面にはタップした分、即ち4つのスキルが並んだ。
《意外に出来たね…》
《そうだな。取り敢えずやってみよう》
『OK』をタップ。
すると魔力が大量に持っていかれるのと共にパネルは俺の手へと吸い込まれた。これで改変されたのかはよく分からないが、正しく出来た場合、新しいスキルは固有スキル『忍ノ力』。『暗視』・『消音』・『忍足』・『隠密』を合成したスキルだが鑑定や隠蔽、操糸や気殺も使えるなど様々な汎用性のあるスキルだ。まあこの結果も『魔ノ賢者』によるパッシブ効果の賜物だな。
《結果はどうだった?》
《成功だ。けどもう嫌だ》
その言葉と共に俺の意識は薄れていく。このスキル、本当に疲れすぎる。確かに凄いスキルだが体に与える負担も半端なものじゃないんだろう。
《おやすみ~》
《あぁ。明日、早く起こしてくれ》
それだけ伝えると俺の意識は深い闇の海へその身を投げた。
「ぅぁ…。て、おい!」
「リョウ…おはよう…」
「あ、あぁ。それにしてもどうしてここに?」
「朝から暇だったんだ…」
布団を捲りベッドから出る。部屋の机に腰掛けたユウリはいつの間に手に入れたのか初めて会った時のような黒い忍者束にロングスカートを身に纏っている。相当暇だったのか短剣の刃は煌めく程に磨かれていた。
「どうだ、改めて、俺についてくるか?」
「俺はお前の部下にして戦友だ。主に付き従うのは従者の務めだ」
「そうか。礼を言うぞ!」
「んっ…!」
閉ざされた窓を開け放つと強い陽光が部屋の中を照らす。長い間暗かった所にいたユウリはその光に思わず手で光を遮った。
「けど、お前にはもっと自由にしてほしい!」
「リョウ…」
「部下、としてだけじゃなく1人の人間として自分の自由に生きてほしいんだ!」
スラムで育ち劣悪な騎士団の中で過ごしたユウリは生まれてこの方自由と言うものを手にしたことはない。初めて会った時など伏せられた瞳には影がさし、黒く淀んでいた。
「お前が俺に自由をくれるのだとくれば、俺はお前に仕えたい…」
「それでは‥」
「俺の望み、叶えてくれるか?」
「………。分かったよ。俺も好かれたものだな…」
「リョウ…。俺はお前に助けられた」
「騎士団のことか?」
「色々とだ。お前は凍り付いた俺の心を救ってくれたろ?」
照れたように切り揃えた前髪を触るユウリ。恥ずかしいのはこっちだ。堂々とそんなこと言われたらどうすればいいんだよ…。
「ソイツは…俺の勝手だ。お前に惚れた俺のな…」
最後だけ言葉を濁しながら呟いた。俺のことを戦友と称するのであれば俺はそれを否定しない。人の心を封じるのは難しいが己の心を封じるのは実に容易いからな…。
「ふっ、バカなことを…」
短剣を腰にさし直して立ち上がったユウリはボソリと呟いて部屋を出ていく。ユウリの澄んだその表情は実に嬉しそうだった。
「少し騒がしいな~」
「だね。何かあったのかな?」
いつも通り訓練所へ行くと普段は石段に腰掛けているような騎士達が騒がしく動き回っていた。
「リョウさーんっ!」
「っ!」
「うわっ、なんですか?」
遠くから走ってくるヨルソン。それを先頭に例の騎士達があとを追ってくる。するとサッと前に出たユウリが刃を向けた。
「リョウに、なんの用だ?」
「あれっ、貴女は昨日の…。声が戻ったんですね!」
ヨルソンの後ろから出てきたのはユウ。そう言えばあの場にユウもいたんだったな。
「俺が魔法で治したんだ。それはそうと、この騒ぎはなんなんだ?」
「それは私からお話しますわ!」
白い鎧を煌めかせながら歩いてきたクリス。純白の鎧は前会った時とは違った神聖な美しさを放っていた。
「クリスさん…。教えてください」
「はい。単刀直入に言います。今朝、シアミドル南部、ソラル平原にてランクSのケルベロスが確認されました。私達憲兵団はディアブロ様の命により精鋭を選びケルベロス討伐へ出向く所です」
「そうですか…。ではお‥」
「今回の討伐隊の司令官に貴方を命じます!」
「はっ?」
俺を見据える目が大真面目だと語っている。そしてその事についてはヨルソン達も承知なようでクリスの後ろに並びながら片膝をついていた。
「それでは直ちに向かってください。ヨルソン、ユウ、フォール、メア、レイ、この5名を自由に使ってくださいね」
「はぁぁ。俺達に拒否権は?」
「するのですか?」
「………。分かったよ。お前達、行くぞ!」
『はっ!』
「ふふ、ありがとうございます」
クリスが笑みを浮かべた時には俺達の姿はなかった。白く吹き過ぎる風が残るクリスの手へ雪を落とした。
「ここがソラル平原か…」
「以前はもっと美しい所だったのですが…」
そこには明らかに暗い気配に満ちた平原が広がっていた。とは言っても生える草花は萎れて池の水は暗く濁っていた。
「お前達、各2名ずつでコンビを組んでくれ。リアスとリリス。ティナとユウリ。ヨルソンとユウ。フォールとメアだ。レイは…」
「僕らと一緒…はダメですか?」
「……いいだろう。レイもいいな?」
「はい…」
コンビを組ませたのは死人を出さないため。しかし俺だけは別だ。俺は死なないからな…。
「さあ行くぞ!」
その顔は暗い。ランクSの魔物に挑むのだから当然なのかもしれない。先頭に立つレイとヨルソン、ユウリ以外はリアス達を含めその瞳の中には少しだが不安が宿っていた。
「リョウ、ティナは俺が守る。お前はどうするんだ?」
「俺は死なない。だから誰かと組む必要はないんだ!」
「そう、か。けれどいくらお前と云えど相手はランクSの魔物だ。危険じゃないのか?」
「なんだ、心配してくれるのか?」
「お前を、即ち主を案じるのは従者として当たり前だ!」
「お前こそ従者の鏡だな。けど、無理すんなよ!」
「…………」
顔を伏せて「解せない」というようは表情を浮かべたユウリ。苦笑を浮かべ肩を叩こうとしたその瞬間…
ドカーーーーンッ!
「ガアアウウウウウウウウウウッ!」
黒い瘴気を撒き散らしたソレは赤い瞳を俺達へ鋭く向ける。心臓を鷲掴みにするような強い威圧感と叫び声と共に黒いベールを纏った悪魔は現れた。
◈名前
・リョウ(白狩遼)
◈種族
・堕天人(聖霊混じり)
◈加護
・女神の加護『大』
◈称号
・堕ノ者
◈固有スキル
・『生魂支配』
・『等価錬成』
・『永久炉』
・『奪者ノ頂点』
・『絶炎ノ矛』
・『魔ノ賢者』
・『能力工学』
・『雷鳴ノ瞬撃』
・『万物幾倍』
・『確定殖生』
・『忍ノ道』
◈一般スキル
・『上位魔法』
・『精霊魔法(微全)』
・『四大魔法』
・『言語理解』
・『パッシブ(身体強化、
肉体再生、)』
・『戦技(全)』
・『武器術(全)』
・『状態変化(水系・霊系・炎系)』
・『刀技・斬』
・『居合い』
・『明鏡止水』
・『毒鎧』
・『硬化』
・『吸血』
・『無月覚醒』
・『鮮血覚醒』
・『粘水』
・『鋭鱗操作』
・『強酸』
・『破壊者』
・『空腹』
・『食欲』
・『嗅覚』
・『烈棍衝』
・『火炎剣』
・『縮斬剣』
◈耐性
・痛覚耐性ー伍
・諸毒耐性ー肆
・火炎耐性ー肆
・麻痺耐性ー肆
・幻覚耐性ー肆
・魔法耐性ー肆
⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩⇩
◈名前
・リョウ(白狩遼)
◈種族
・堕天人(聖霊混じり)
◈加護
・女神の加護『大』
◈称号
・堕ノ者
◈固有スキル
・『生魂支配』
・『等価錬成』
・『永久炉』
・『奪者ノ頂点』
・『絶炎ノ矛』
・『魔ノ賢者』
・『能力工学』
・『雷鳴ノ瞬撃』
・『万物幾倍』
・『確定殖生』
◈一般スキル
・『上位魔法』
・『精霊魔法(微全)』
・『四大魔法』
・『言語理解』
・『パッシブ(身体強化、
肉体再生、)』
・『戦技(全)』
・『武器術(全)』
・『状態変化(水系・霊系・炎系)』
・『刀技・斬』
・『居合い』
・『明鏡止水』
・『暗視』
・『消音』
・『毒鎧』
・『硬化』
・『吸血』
・『無月覚醒』
・『鮮血覚醒』
・『粘水』
・『鋭鱗操作』
・『強酸』
・『破壊者』
・『空腹』
・『食欲』
・『嗅覚』
・『烈棍衝』
・『火炎剣』
・『縮斬剣』
・『隠密』
・『忍足』
◈耐性
・痛覚耐性ー伍
・諸毒耐性ー肆
・火炎耐性ー肆
・麻痺耐性ー肆
・幻覚耐性ー肆
・魔法耐性ー肆