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種族絶戦 ◈◈◈人の過ち◈◈◈  作者: すけ介
騎団の仕事
143/619

第143話

リアスandティナ視点

場所は変わり接近戦特化の騎士達が集まる所。そこにはリアスが槍を1本突き立てて騎士達を見回していた。

「始めよっか?」

『はい!』

だらしのない笑い。目尻を下げて私を見る姿はどう見ても騎士なんてものじゃない。

「えーと、取り敢えずは二人一組になって試合してくれる。私は余った人とするから!」

『っ!』

すると騎士達は周囲の騎士を拒絶するようにバラバラになる。私ってそこまで覇気がないのかな…。

「ねえ、言うこと聞いてよ。それとも私のこと嫌?」

『い、いえ、そんかことないっす!』

全員がハモる、なんてやっぱり連帯が取れてるね…。何はともあれ、騎士達は渋々ながらも周囲の騎士と二人一組になっていく。するとやはり余る人がいてその人は端っこの方であたふたしていた。

「じゃあ君が私とだね。行こっ?」

「は、はい!」

一瞬感じた強烈な殺気に周囲を見回すと誰もいない。その変わり全員が私から目を逸らしていた。

「じゃあ始めるよ~。どちらかが倒れるまでね♪」

『は、はいっ!』

ガキンッ!

次の瞬間、試合が始まった。

さっきまでだらしのない笑みを浮かべていた騎士も試合となると凛々しい強い顔になる。

「私達も始めよ? どうぞ?」

「は、はい。ではっ!」

相手は直剣を操る。

振り下ろした刃をスッと躱すと槍の柄の部分を鎧の上から腹に叩き付ける。そして怯んだところで後ろに回り込むと空いている左手を騎士の背中に添える。

「『掌打』」

ドンッ!

手を添えた部分に衝撃だけを叩き込むスキル。それは防御不可能な攻撃で、しかも隙だらけの背中にそんなのを喰らったら…、

「ぐぅ…」

「耐えたんだ。凄いじゃない!」

「ぅ…」

「まだまだあるよ? 次は私も使うね!」

クルッと槍を1回転。そして勢いを消さぬまま柄の部分で騎士の体を打ち上げる。流石に殺すわけにはいかないから石突きの部分を突き上げていると…、

「ぐはっ!」

「あはは…、まだまだいくよ!」

「止め‥」

落ちてくる速度そのままに鳩尾に石突きを入れられた騎士は目を見開く。そして丁度固定されているのを利用して騎士を再び打ち上げると今度は私が騎士よりも高く飛び上る。

「行くよ! 耐えてね!」

槍を大きく振りかざすと石突きの部分で騎士を叩き落とす。そしてそのまま落ちるのと共に槍を下で伸びている騎士の背に叩き付けた。

「…………」

「大丈夫?」

流石にやり過ぎちゃった…。

鎧は見るも無惨なくらい破壊されて騎士自身は白目を剥いて気絶していた。リョウならここで魔法でも使ってもう1回するかもしれないんだけど流石に可哀想だと思う…。

「………」

「んー、まだまだ掛かるかな…」

倒した騎士を抱えると私は端っこの石段へ騎士を寝かせる。そして再び槍を手に取ると試合中の騎士達の見学に向かう。

「リアスさんに負けるとこなんて見せられないだろ!」

「それはお前だけじゃねえんだよ!」

少し主旨が変わってることに苦笑いを浮かべながら歩く。特に弱いわけじゃないけど全体的に能力が低い。弱い…。

「皆頑張ってね~」

『オッス!』

ドンドン士気が上がる。時には真っ赤な血が飛び散るけれどリョウが治してくれるよね?

「ねえ君達、このままトーナメント形式で勝ち残った子にはご褒美をあげる!」

『っ!』

ご褒美って言っても最後、私に勝てたらだけどね。血走った目で剣を振るう姿。本当に面白い。

「誰が残るのかな~」

最後に私と殺り合う人のことを思い浮かべながら私は刃をなぞった。


「えーと、ティナです。魔法戦を任されたのでよろしく!」

『はい!』

やっぱり魔法を扱う人達だから女の人が多い。男の人もいるにはいるけどその人達は剣も使うからリリスの方にいる。

「えーとじゃあ、皆で一斉に()()()()魔法を私に放ってくれる?」

『っ!』

「どうしたの?」

「い、いいんですか?」

「大丈夫! これ見てくれる?」

わざと魔力が漏れやすい魔力球を作り出す。するとその魔力量と密度に驚いた騎士達の目に鋭い意思が芽生えた。

「わ、分かりました。それでは…■▨■▨■‥」

「■▨■▨■▨■▨■▨‥」

「■▨■▨■▨■▨‥」

「■▨■▨■▨■▨■▨■▨■▨‥」

それぞれが詠唱を始める。やっぱり無詠唱を使いこなす人はいない。けれど省略できる人はいるみたいだね。

「火魔法・炎散矢」

「水魔法・轟呑波」

「風魔法・刃切風」

「土魔法・地槍貫」

それぞれの魔法が迫り来る。けどやはり四大魔法ばかりで精霊魔法を使い人もいなければ上位魔法を扱う人もいない。

「精霊魔法・壁樹林」

サッと手を振り上げるのと共に形成される壁樹の林。これは、花が己を外敵から守るのに作り出す木々でそれを術者が再現している。そしてそれが林として形成されると言うことはある程度の攻撃は防げる。

ドカーーンッ、

ドカッーン、ドカンッ、ドカーーンッ!

「ど、どうして?」

「魔法を舐めちゃダメだよ。もっと練度を高めなきゃね!」

『はい…』

自分達の本気の魔法がいとも簡単に防がれたことに騎士達は少なからず肩を落とす。けど自分の実力を理解するのが大事なんだからここで挫折するのはよくないと思う。

「じゃあ早速魔法操作の練習からいくよ!?」

『はい…』

「じゃあまずは得意属性で属性球を作ってくれる?」

「属性球? どうしてですか?」

「いいからいいから! やってみて?」

「は、はい…」

半信半疑というような表情で返事をした騎士は詠唱を始め得意なのであろう、火の属性球を作り出した。

「じゃあもう1つ!」

「はい…」

再び詠唱を始めると属性球が2つに増えた。

「もう1つ!」

「はい…」

そして属性球が3つに。

「もう1つ!」

「はい…」

4つに。

「もう1つ!」

「はい…」

5つに。

「もう1つ!」

「は、い…」

6つに。少し辛そうになってきたね。

「もう1つ!」

「はぃ…」

7つ。額に汗が浮かび上がる。あと1つかな?

「もう1つ!」

「は…」

「消えちゃったね?」

詠唱を始めようとするとそっちに気をとられてその前に作り出した属性球が瞬く間に魔力の粒子となって消え入った。

「………」

「ねえ皆、魔法に大事なのはなんだと思う?」

『………』

「分かんない、か…。魔法に大事なのは技術と集中だよ!」

「技術と」

「集中?」

「うん。魔法は作り出す技術と維持する集中が必要なんだよ。だからそれの為には…」

『それの為には?』

「属性球の同時生成を練習しよっか!」

『…はい』

勘づいていたのか騎士達は驚きもせずに杖を構える。どれくらいできるか、見てみなきゃね!

「■▨■▨■▨■▨■▨‥」

「■▨■▨■▨■▨■▨■▨‥」

「■▨■▨■▨■▨‥」

「■▨■▨■▨■▨■▨■▨‥」

詠唱を始める騎士達。魔力を言葉と共に発するのが上手い人と下手な人がいて、魔力の量が多い人と少ない人がいる。それにより変動する魔法の威力を考えると統一させた方がいいかましれない。

「■▨■▨、風魔法・風球」

「■▨■▨■▨■▨、水魔法・水球」

「■▨、土魔法・土球」

「■▨■▨■▨、火魔法・炎球」

作り出された属性球は次々に増えていく。その流れに少し嬉しくなったんだけどその直後、

「んっ!」

ドカーーーッン!

咄嗟に魔力壁を張ったけど圧力を相殺しきれなかった。きっと誰かの属性球がぶつかって連鎖爆発でもしたんだと思う。もう少し広い所で練習させれば良かった…。

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