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向き不向き

作者: 竹仲法順

     *

 何にでもある。それに適合するか否か。大事なことだ。いろんな意味で。

 ボクにとって、大学での歴史研究は向いてなかった。単に歴史が好きで史学専攻などに進むと、とんでもないことになる。入ってみても、望んだものじゃなかったという。本当ならもっと早く辞めてやってもよかった。全く適合外だったからである。

     *

 本来的に、同じ人文系統の学部内で似たようなことをやっているように思われるが、日本史と日本文学はまるで違うのだし、西洋史と西洋文学、東洋史と東洋文学も本質は異なっている。多少の共通項はあったとしても、質的には違うことをしているのだ。

 大学の歴史教育は左傾、左翼だ。在学時、明らかにそういった風潮が感じられた。国の方針とはまるで異なる売国的言辞で話していた教官が多かった。未だにああいった悪質な研究のやり方はおかしいと思う。学生の個性を摘み取ってしまうからだ。

     *

 表題通り、向き不向きでも、大学時代のボクは明らかに不向きの方を感じていた。軌道修正してよかったと思っている。何かを書くことの方が向いていたからだ。研究するような感じじゃない。書き綴る方に適性があったのである。

 まあ、大学に三年半いたのだが、元々学生の質自体悪いから、何らモチベーションはなかったけどね。まるで時間の浪費だった。もっと早いうちに本来の方に路線転換しておけば、作家への道はもっと短時日の間に得られたと、心の底から思っている。それが悔やまれてならない。

     *

 今はフリーで文筆をやっているので、どこからもお声は掛からないが、別にそれでもいい。出版は大変な仕事。書籍を出すことの難しさをここ数年で知ったので、これからもネットなどで細々とやることになるだろう。別に生活には困らないのだし、自分の作品を正当に評価してもらわなくても、単に人の見る目がないだけで、それだけのことだ。これから出版でぼろ儲けなど、全く考えてない。それが本心。

 作家など、リターンをもらう仕事をすれば、大変なのである。責任があって、忙しさに追いまくられる。ネットで発表する程度なら、気楽でいい。何ら難しいことは一つとしてない。ただ、徒然に綴るだけ。それで構わない。初めて紙の書籍を出して、今年でちょうど十年になるが、現時点での結論だ。職業作家――、夢見るのは簡単でも、実際は地獄。まあ、いくら適性があっても、実態は大変さそのものなのである。

 ひとまず一筆書かせていただきました。

 ではまた。

                             (了)

 


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