2 真っ青な空。
こうして、私の15年間の人生は幕を閉じた。
何もかも終わったと思っていた私だった。
けど―――。
それは、放課後の教室。
「友達いなかったもんね、あの人」
そう言ったのは私と一回も話したことのない人。
「…でも自殺するなんて…」
そう言ったのは私の後ろの席だった人。
「まあ…嫌いだったけど、クラスメイトだったし」
そう言ったのは何かにつけ私につっかかってきた人。
「ユリ達、最初あの人と友達だったんじゃないの?」
一人が訊く。
「うん…。でも、だんだん嫌になってきたっていうか…」
「ハブる以外に方法がなかったんだもん」
そう答えたのは、前まで『友達』だと思っていたユリと美智子だ…。
「だからってさあ、あの人の聞こえるところで悪口をいうことはなかったんじゃないの!?」
突然叫んだのは、ユリ達と比較的仲の良い人だった。
彼女が涙をこぼしている事に、私は戸惑わずにはいられなかった。
ユリ達は泣いていた。どうしてなのか、私にはわからなかった。
「…ごめんなさい、ごめんなさい…」
気が付くとたくさんの人が泣いていた。
何が本物で、何が偽物なのか。
私は分からなくなった。
それは葬儀場。
私の亡骸にすがりついて泣いているお母さん。
「まい…ごめんね…。もっとあんたのことを見ていれば、もっと愛せたのに…こんなことにならずに済んだのに…」
ナンデ、ナイテルノ?
そしてお父さんはぽつりと言った。
「あいつ、家族で海に行ったときのこと忘れちゃってたのかなあ…あいつ、貝を耳にあてて『波の音がする』って喜んでたのにな…」
何が本物で、何が偽物なのか。
目をつぶると『波の音』が蘇ってくるようだった。
そして、それは私が死んだ場所。身体を打ち付けられ、無惨な死体となったあの場所。
そこには2人の少女がいた。
「…まいちゃんに、一度でも電話くらいしてあげれば良かったな…」
「中学別々になってから一回も会ってなかったもんね…」
「まいちゃんは、確かに誰にでも良い顔したり悪いところもあったけど…良いところだってあったのに…」
2人は上を見上げた。
「痛かっただろうね…身体も、心も」
そして2人は声をあげて泣いた。
私はその光景をただ茫然と見ていた。
「まいちゃん、コアラのマーチ好きだったからあそこに供えてあげよう」
「まいちゃんが小6のとき好きだった小山君も連れてくれば良かったね」
彼女達は少しだけ笑った。
私の好きなものを知ってくれてる人は、この世にいた。
そして、それは屋上。私が最期の空を見た場所。
私は驚いた。
そこには、たくさんの花や手紙などがたむけられていた。
そこにはコアラのマーチもあった。
そして私は一枚の手紙に目を通した。
まいへ
本当にごめんなさい。
まいのこと好きになりたかった。
でもなれなかった。
モチロン、まいには良いところもあったよね。
今になって思うんだけど、まいが嫌われちゃってたのはそれなりのまいの事情があったんだと思う。
親のこと嫌いだって言ってたし、辛いこともいっぱいあったんだろうね。
私たち、まいの嫌なとこ全てを受け入れられるほど心が広くなかったんだ。
でも、まいと私は関わりがあったんだもん、死んじゃうなんてとっても悲しいよ。
まいが生まれ変わったら、たくさんの人を好きになって、みんなに愛されますように。
そうそう、美術の時間に学校に貼るポスター書いたでしょ?あれ、まいの作品が選ばれたよ。明日から廊下に貼られるからね。
ごめんね。ありがとう。
ユリ
何が本物で、何が偽物なのか。
私は今やっと分かった。
この花と、手紙、そしてコアラのマーチは本物だって。
それだけじゃない。
私が楽しかった頃の記憶も、今ある現実も全て本物。
私が皆を信じていなかったから、何も行動しなかったから、自分は独りだと思いこんでいた。
でも違った。
私は独りじゃなかった。
どうしてもっと生きてる内に行動しなかったんだろう…。どうしてもっと皆を信じなかったんだろう…。
やりきれない想いに私は久しぶりに泣いた。
私は天を仰いだ。
空は雲一つない晴天だった。
真っ青な空。
きっとこの空は最期じゃない。ポスターが飾られ続ける限り。皆が私を忘れない限り。それらが私の生きた証だから。
「ありがとう」
私は、これから本物の世界でたくさんの空を見続ける。
改行などめちゃくちゃですみません(汗)しかも初投稿の上、思いつきで書いた為何だかよくわからない話になってしまいました。皆様のご叱りや、ご感想お待ちしています。最後まで読んでくださって、ありがとうございました。




