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拝啓、親父殿。幼馴染が怖いです。  作者: F1チェイサー
第2章 おうじょさまのいらい
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かいしょくとほうこくかい

ギ、ギリギリセーフ……

なんとか3日に一度の更新の掟は守ってやったぜ……

 ジンとエレンが食堂に入ると、そこにはもう既に国王とエルフィーナを含むメンバー全員が集合していた。ルネも情報収集から帰還し、割り当てられた席に着席している。

 ただし、レオは頭を『強制学習マシーン・ルシファー一号』と書かれた大金鎚で床に埋め込まれ、周囲に情熱の色の薔薇を咲かせていた。

 午後もどうやらやり過ぎたらしく、再びリサによって干されていた様だ。

 ちなみに高価な天然大理石のタイルは粉々に粉砕され、その横では錯乱状態の銀の幼女が必死でレオに治療を施している。


「申し訳ございません、遅くなりました」

「遅いっスよ、ご主人様! 今まで何やってたっスか!? まさか誰も居ないのをいいことにジンの兄さんとしっぽりむぐぅ!?」


 エレンが入るなり頭を下げて謝罪をすると、エレンの席から緑の髪の妖精が飛んできて怒鳴り始めた。

 その様子は、日頃のストレスをここぞとばかりに叩きつけているようであった。

 怒鳴り散らすキャロルの口を、ジンとエレンは大慌てで塞ぎに掛る。そして、キャロルの耳元で周りに聞こえないように話を始めた。 


「キャ、キャロル、私とジンを生命の危機に晒したくなかったらそう言うことを言わないで頂戴」

「そ、そうだぞ、もし事実無根だとしてもそんなことをユウナに聞かれたら、」

「私に聞かれたら、なんです?」


 背後からの声に、ジンとエレンは錆ついたロボットの様な動作で後ろを振り返った。

 そこにはにっこり笑った、艶やかな黒髪で京人形の様に優雅な美しさを振りまくユウナさんが立っていた。

 その笑顔にジンとエレン、更には至近距離で見ることになったキャロルまでもが背中に寒気を覚えた。


「あ、あーっと、それはだなぁ?」

「何かやましいことでもあるんですか、ジン?」


 ユウナはにこにこと柔らかく笑いながら、ジンを問い詰める。その笑顔は、まるで呪いを掛けられているような、背筋の凍るほどの美しさであった。

 ジンはその笑顔の迫力に、気圧されながら弁明を試みる。


「い、いや、やましいことは全くない。エレンとはただ単に魔法の実験をしていただけだぞ?」

「そ、そうよ。魔法の構成とかいろいろ練っていて遅くなっただけよ?」

「本当ですか?」

「ほ、本当だとも」

「え、ええ」


 ユウナは鳶色の眼でジッとジンの灰青色の瞳とエレンのアメジストのような紫色の瞳を見つめ続ける。

 見つめられた二人はそれに対して、たじろぎながらも正面から見つめ返す。

 しばらくすると、ユウナはふっ、と息をついた。


「信じましょう。ジンもエレンさんも嘘をついているようには見えませんから」


 ユウナは安心したようにそう言うと、席に戻っていった。

 それを見て、ジンとエレンはホッと一息ついた。


「な、何スか、あのプレッシャーは……?」

「キャロル……後で覚えてなさい……」

「ひ、ひょえええ……」


 話しかけてきたキャロルに、エレンは絶対零度の視線と怨嗟の籠った声を投げかける。すると、キャロルはその場で体を抱えて震えだした。

 そんな彼女をしり目に、ジンとエレンは自分の名前が書かれた札が置かれた席に着く。

 ……なお、レオの席だけ何故か二人掛けで置かれた札はレオとアーリアルの二枚だったことに、レオが頭を抱えてアーリアルが小さくガッツポーズをして喜んだのは余談である。

 それを見届けると、国王が口を開いた。


「うむ、これで全員そろったようだな。それでは、会食を始めようではないか」


 王がそう言ってベルを鳴らすと、給仕が食事を運んできた。一品目のスープが全員に行きわたったところで、そろって食べ始める。

 ちなみに、ルネの前には通常の五倍の大きさのスープボウルが置かれている。

 ……そんなものが何故王宮のキッチンに存在するのかは気になるところではあるが、ここでは割愛する。


「さて、早速だが今日の調査報告を聞かせてもらえるだろうか?」


 しばらくして、王が周囲に状況の報告を促した。

 王は周りを見回していて、この事件に関してはかなり心を砕いている様子だった。


「ルネ」


 ジンが声をかけると、ルネは王に報告を始める。

 ……なお、会食が始まって三分も経っていないのに、ルネの前のスープボールは空になっていた。


「姫様の部屋を覗いていた人物……巷ではウォッチャーと呼ばれる人物ですが、裏の情報網を当たってみても噂にその人物がいると言うだけで、詳細な情報はまだどこもつかめていません。ウォッチャーとなりえる実力者の最近の行動も調べ上げましたが、こちらも目立った収穫はございません。分かっているのは、侵入した痕跡が分からないほどその道に精通している侵入者と言うことだけです」

「そうか……冒険者の失踪に関してはどうかね?」

「こちらも、城内の調査班の調査結果以上のことはわかっておりません。消えた冒険者たちの行方、犯人、手口のいずれも不明のままです」


 ルネはライトブラウンの髪を弄りながら王に報告する。どうやら自分で報告していて納得ができない様子であった。

 その報告を聞いて王は眉をひそめ、首をかしげた。


「ふむ……冒険者の安否も気になるが、いずれも些か情報が少なすぎる気がせんか? 現状の警備で外から侵入者がこうも何度も易々と侵入できるとはとても思えんのだが……」

「しかし陛下、実際にこのような報告がなされているのです。そうなっている以上、どこかから侵入者が入り込んでいるのは確かです」


 国王の呟きにエレンが言葉を重ねる。エレンの言葉を聞いて、国王は眉を一層しかめて話を続けた。


「む……ジン殿。一つ質問なのだが、現状の警備でそのような不逞の輩が入り込む余地はあると思うか?」

「それは何とも言えませんね。私達が守っている部分は平気でしょうが、それ以外の部分はどうにもなりません。何せ、こちらは六人しか居ませんので。それに、相手がどの程度の魔法の使い手なのかも分かりません。それ如何では、ここに侵入するのも容易いかもしれませんね。一つ言えることは、現状の警備で十分かどうかは分からないというところです」


 国王の質問に、ジンは客観的な意見を並べ立てる。実際問題、ジンはこの王城に侵入し、誰にも見つからずに王の部屋にいける自信があったためである。

 しかしながら、実用レベルの魔法を使えて盗賊のスキルも持つものはそう居るものでもない。何故なら、魔法の習得には知識が必要であり、そのためには決して安くはない金額を必要とする。一方で、盗賊スキルは生活に困るほど貧窮しているものが生きていくために習得したものがほとんどであり、習得する際に捕縛されてしまうリスクも高いのだ。そして、この二つは片方が優秀であれば、もう片方は要らないというくらいの需要があるのだ。つまり、その二つを同時に習得する意義はほとんど無く、またリスクも高すぎるのだ。実際のところ、その二つのスキルを両立させるよりは、どちらか片方のスキルを特化させたほうがよっぽど効率がいいのだ。

 それらの観点から、ジンはウォッチャーが外部犯であるならば、魔法のレベルはそこまで高くは無いものと考えているのであった。

 その意見を聞いて、王は再びうなり始めた。


「……考えたくは無いが、内部犯についてはどう考える?」

「あり得なくはない、と思われます。確かに、犯人が内部の人間であるのならば侵入した痕跡が全くないことも頷ける話ではあります。しかし、いずれにせよ犯人の目的が一切不明、推測すら立たない状況なので何も言えません」

「推測が立たんとはどういうことだ?」

「まず、侵入者はこれまで何度も侵入に成功しておきながら、こちらの被害と呼べるようなものは殆ど残しておりません。家財、機密情報などは全て無事、更に侵入した場所は姫様の部屋でありながら姫様に実害は無し。しかも、ご丁寧に自分が侵入した痕跡を魔力で残すなどと言う行為に出ています。犯人には何か目的があるのでしょうが、これらの行動からはその目的が全く分からりません。快楽犯という見方も出来ますが、それにしてはおかしい点もあり良く分からないのです」

「おかしい点とは?」

「快楽犯と言うのは一般的に更なる刺激を求めるものです。であるならば、侵入場所は姫様の部屋の他に陛下の部屋、宝物庫等、侵入箇所にばらつきが生じると考えられます。だと言うのに、過去の侵入場所は全て姫様の部屋です。と言うことは姫様が狙いと言うことも考えられますが、それであるならば何故今まで姫様に全く手をつけなかったのかが分からない。以上の理由で、犯人の目的が全く分からないのです」


 険しい表情の国王に対して、エレンが現状分かっていることとおかしい点について説明をする。

 いくら調査をして新しい事実が出てきてもその度に矛盾を生み出し、そのせいで余計に犯人の目的が分からなくなってしまうのだ。

 それを聞いて、王は苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべた。


「……不快だ。こうも何も分からんとは……」

「……申し訳ございません……」

「いや、諸君らを責めているわけではない。諸君らが頑張っているのは百も承知だ。それでもそのウォッチャーとやらが尻尾を掴ませないと言うことは、それだけ相手が上手なのであろう。引き続き調査に当たってくれたまえ」

「委細承知しました、陛下」


 苦い表情と共に頭を垂れて謝罪するエレンに、王は労いの言葉をかけた。

 エレンがそれを受けて一礼をして着席すると、今度はジンに向けて言葉を発した。


「さて、次は冒険者諸君に訊きたいことがある。諸君らから見て、城内に何か問題がある点は無いかね? 遠慮することは無い、むしろ言ってもらわねば改善の余地が無いからな。そうだな、まずは兵士たちはどうであったかな?」


 王は冒険者達に兵士の様子について問いかける。国の防衛の要である兵士の大切さは、自らの経験を元によく理解しているのだ。

 その声に反応したのはレオだった。レオは眼を宙に泳がせ頬を掻き、すこぶる言いづらそうにしながら話し始めた。


「あー……兵士たちのやる気は凄かったっすよ? ただ何つーか……どいつもこいつもバカ正直で……正直、冒険者共の方が強かったっすね」


 レオの発言を受けて王は溜め息をつく。

 王も兵士達の様子をよく見ており、またレオと全くの同意見なのであった。


「う~む……諸君らから見てもそう思うのか……では、なぜそのような差が生まれると考えるかな?」

「単純に実戦経験の差かと。冒険者は魔物相手の戦闘もしますし、依頼いかんでは賊討伐や傭兵の仕事もします。その差は実際に戦場に立たないとなかなか埋められないと思います」

「しかしそのために戦争を起こすわけにもいくまい。訓練所の魔物発生装置を取り入れるにしても冒険者を超えることは難しかろう。ジン殿が鍛えるにしても全員に目が届くとは考えられん。何か良い方法は無いものか……」


 国王の発言にジンが回答し、王はそれに対して考え込む。

 現在、この国では戦争は長いこと起きておらず、戦争を経験したことがあるような兵士は皆引退してしまっている。

 魔物に関しても、その方面は冒険者ギルドが牛耳っているため騎士団に出番は無い。

 それゆえ、実戦に参加できる兵士は全員が実際の戦場を未経験であり、それが兵士たちの技量の低下を招いてしまっているのが現状である。

 どのようなことになっているかといえば、訓練所の殺されても死なない環境のせいで、落日の日本軍のような特攻戦隊になってしまっているのであった。


「何も、全員が最強を目指す必要は無いと思います。指揮官や教育係となる兵士を重点的に強化し、その兵士達に兵の調練を行わせれば、幾らかの効果は得られると思います。隊ごとにチームわけをし、紅白戦を行うのも有効かと思われます。それから、定期的に外部からも参加者を募って武芸試合を行うのも一手だと思われます。優勝者に何らかの褒賞を付ければ兵士たちの意欲も高まることでしょう」


 ジンは諸国を回っていた経験から、そのような意見を王に対してした。

 王は現状で実用的であろうと思われる意見を聞いて、満足そうに頷いた。 


「そうか。では調練は宜しく頼むぞ、冒険者諸君。それから、武芸試合に関してもこちらで原案を立てておこう。良いな、エレン」

「ええ、こちらからは治安維持等の懸念材料はありますが、特に反対意見はございませんわ。調練に関してはしばらくの間彼らに任せることにして、武芸試合に関しましては褒賞、会場、参加資格等の原案を近日中に提出いたしますわ」

「うむ。他に何か気が付いた点は無いかな?」


 王はそう言いながら周囲を見回した。その間に、オードブルの乗った皿が目の前に運ばれてくる。

 やはり約一名分だけ、超特大の皿に五人分の量が盛り付けてある。


「あれっ、何かこの料理いつもと違うよー?」


 すると、王の隣から少し気の抜けた声が上がった。

 王は自分が想像していた質問からあまりにかけ離れた内容に、思わず脱力する。


「……フィーナ、今は会議中なのだから少し……」

「でも、いつもの料理長ならこんな風にはしないよ? こんなに方向性を変えるなんて、何かあったのかなぁ?」


 くりくりとした琥珀色の眼で、エルフィーナは料理をじーっと見ながらそう言う。


「確かに違うが……まあ良い、今は食事の時だ。食事の味について語るのも良かろう」


 王はそう言うと、目の前に置かれた料理を見た。

 それは生魚の表面を炙ったものを、様々な野菜と共にマリネにしたものだった。なお、モントバンには生魚を食べる習慣が無い。それ故に、目の前の料理は彼らにとってかなり風変わりな料理に見えるのだ。

 王はその一切れを口に運ぶ。


「うむ……美味であるし、今までにない味だな」


 王は感心した様子でそう言って頷くと、次の一切れを口に運ぶ。どうやらこの料理は王の舌を満足させるに十分だったようである。

 そんな中、ジンは料理を咀嚼しながら額に手を当てて俯いていた。


「……ジン? どうかしたのかしら?」

「そりゃそうだよな……料理人が違うもの……ユウナ、これ作ったのお前だろ?」


 エレンが声をかけると、ジンはため息混じりにそう答えた。

 すると、声を掛けられたユウナの表情がぱぁっと明るくなった。


「あ、分かってくれましたか?」

「そりゃ十年以上喰って一番なじみのある味だからな。違いがあるとすれば、あの時よりも更に美味くなったってところだな」

「それは良かった、修行してきた甲斐があります♪」


 ジンの評価に、ユウナは笑顔を浮かべて嬉しそうにそう答えた。ジンに褒められたことがとても満足だったようである。

 その光景を見て、レオとリサはニヤニヤと笑みを浮かべた。


「流石は旦那ぁ、良く分かるこって」

「ホントよねえ。そこはかとなく愛を感じるわぁ~」

「お 前 達 は 一 体 何 を 言 っ て い る ん だ」

「おお、こわいこわい」

「おお、こわいこわい」


 ジンを煽るように、二人は大げさな口調でそう口にした。

 それを受けて、ジンはぎろりとその二人をにらみつけながら拳を握り締める。

 そんな怒りをあらわにするジンに、二人は思わず殴りたくなるようなウザい笑みを浮かべて更に煽った。


「……貴様ら後で覚えてやがれよ……」


 二人の一言に、ジンはこめかみに青筋を浮かべながらドスの効いた声を響かせるのであった。 


「へー、これゆーさまが作ったんだ。おいしーよ、これ」

「うふふ、お口にあったようでなによりです」


 その横では、ほにゃっとした笑みを浮かべるエルフィーナがユウナの料理をぱくぱくと食べる。

 エルフィーナもその料理を気に入ったようで、上品ながらも次々に口に運んで行った。


「ふーん……これ、ユウナが作ったのか……それじゃあ遠慮なく言えるね、ユウナこれおかわり」

「コース料理でお代りを頼む奴があるか、バカモン!」


 通常の五倍量あったはずの料理をあっさり平らげたルネがおかわりを頼むと、ジンがその常識外れの一言に対してツッコんだ。

 それを受けて、ルネはふくれっ面をしながら青と緑のオッドアイでジンにジト目を向けた。


「えー、良いじゃないか……わかった、わかったよ、おとなしくしてるからその手に持ったナイフを降ろしてください、お願いします」


 が、ジンが無言でナイフを投げるポーズを取ったので、ルネは急いで頭を下げ、おかわりを取り消した。

 その頭を下げているホビットの隣では、長いブロンドヘアーを三つ編みにしたエルフの女性が料理を食べながら唸っていた。


「むむむ……この料理には白ワインが欲しいのです……」

「この後仕事だからな、そこんとこ分かってるよな、ルーチェ?」


 ワイングラスを持つ仕草をするルーチェに灰青色の眼でジト目をくれるジン。

 それに対して、ルーチェは首を横に振った。


「いえ、飲んでも酔っ払わなければ「“凍れ(フリーズ)”」ひゃあん!? わ、分かったのです、分かりましたから背中に氷を張り付けるのはやめるのですぅ!」


 この期に及んで何とか酒を飲もうとするルーチェにジンは問答無用で制裁を加え、それに対してルーチェは背中の氷の冷たさに長い耳をビクンと跳ね上げて豊満な体をくねらせた。

 それには過去に酔っ払ったルーチェに辛酸を舐めさせられた恨みが多分に込められていることは全く否定できない。 


「……ったく、どいつもこいつも……」


 ジンは非常識な面々に悪態をつきながら隣を見た。

 隣の二人掛けの椅子には銀髪の男が座っている。その銀髪の男、レオの膝の上にはいつも通り銀髪金眼の幼女、もとい神が居座っていた。


「あ~ん……」

「……そらよ」


 口をあけて待ち構えるアーリアルに、レオは仏頂面で魚のマリネを食べさせる。

 アーリアルはニコニコと笑顔を浮かべてそれを食べた。


「……うむ、美味い。レオ、次はあのトマトが欲しい」


 アーリアルは口の中身の物を飲み込むと、まるでそれが当然のことであるかのようにレオに次を要求する。その様子はどこと無く楽しげで、料理の味よりもその行為を楽しんでいるようであった。

 そんな世界の主神にあらざる姿を見せるアーリアルに、レオは深々とため息をついた。


「……お前よぉ、いつの間に俺の膝の上に来たんだ? それから、当然のごとく俺に食べさせてもらうのはどう言うことだ?」

「良いではないか、いつものことであろう。ほれ、レオ。お前も食え。はい、あ~ん……」

「はぁ……はむっ」


 満面の無邪気な笑みで差し出されたフォークを、レオは諦め半分で口に含む。

 レオの口の中には、新鮮な魚の味と酢の酸味の絶妙なハーモニーが広がった。


「どうだ、美味いか?」

「……まあ、うめぇな。どうでも良いけどよ、口の周りぐらい拭けよな。ソースでべたべたじゃねえか」 


 そう言いながら、レオはアーリアルの口の周りにナプキンを押し当てて拭った。

 そんな子ども扱いの行為も、アーリアルは嬉しそうに受け入れた。


「んっ……すまんな。お返しにレオの口は我が拭いてやろう!」

「いや、俺は別にむぎゅ!」


 そのお返しに、アーリアルはレオの口をナプキンでごしごしと力を込めて拭った。その結果、レオの口の周りは擦られたことによって真っ赤になってしまった。

 アーリアルのその行為は純然たる善意によるものなので、レオは何も言えなかった。


「ね、エレン。れおぽん、おとーさまみたいでしょ?」

「ふふっ、本当ね。きっと将来良い父親になるでしょうね、レオは」


 その様子を見て、エルフィーナとエレンは微笑ましいものを見る目でそう言った。


「……だってよ、とっつぁん」

「……誰がとっつぁんだ、誰が」


 呟くようなジンの一言に、レオは口の周りを赤くしたまま仏頂面で答えるのだった。

 その後、報告会を兼ねた会食はつつがなく終了した。






「……うう……あれっぽっちじゃ全然足りないよ……」


 ……五人前のフルコースを平らげたと言うのに餓死しそうな声を上げるルネを除いて。


感想見るとどのキャラもおおむね好評な様子。

個人的にはジン以外だとメインの中ではルネが一番動かしやすい。

……全体だとエレンだけど。この人ジンと絡ませやすいんですもの。ユウナも一緒に動いてくれるし。

とは言え、この次に絶対に出したかったキャラが出てくるからそっちの方が動いてくれるかも。

……色々と問題のあるキャラだからうまく動いてくれるといいけど。



それにしても……うぐぅ、話が進まん!!!

この章の終りまでのプロットは全て出来上がっているのに……これじゃ1章終了するのに何話かかることやら……

ちなみに今のところ全7章位を予定。

……全章終わるころには何話になっていることやら。

100話は確実に超えるだろうなぁ……完結まで頑張らんと……


そんな遠大な目標達成の原動力となるのは読者のお言葉!!


と、言うわけで皆様ご意見ご感想ぷりーず。

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