表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

ここはなにかが欠けている

なかまになりたそうに

作者: 浮月重月
掲載日:2026/08/06

一つ星冒険者の剣士の男、ドン。十六歳。


故郷の村から出てきて、冒険者見習いに登録し、早四か月が経つ。

地味な雑用を積極的に引き受け、その報酬を使って武器や防具も入手した。

真面目に仕事に取り組む姿勢は好感度も高く、やや早めに一つ星に昇格。

実戦経験がなかったものの、冒険者組合の訓練所で鍛えてもらい、

ある程度の技術は身に付いてきたぞ、とお墨付きももらえたところだ。


訓練所だけでなく、日々雑用も続けていたのでそれなりに貯金も出来た。

残るは実戦なのだが…本日からようやく体験出来そうである。

商人の護衛が不足しており、今回は幸運にもそこへ潜り込めた。



幸運にも、というのは今回護衛する商人、顔見知りだったことである。

ドンの村にも度々訪れていて、村では入手出来ない日用品を売っていた。

そうかお前、冒険者になったんだな、人手が欲しいし良かったらどうだ、

と声がかかり、別の冒険者一行と合同ながら参加が叶ったのだった。


今回訪れるのはドンの村ではないが、同じような規模の別の村々。

何か所かで日用品を売り回り、円を描いてこの町に戻って来る予定だ。

拘束期間はおおよそ半月、食事は質素ながら商人側負担という条件。

普段巡回している道のりだが襲撃は一度もなく、危険は少ないらしい。

それでも良い経験になるだろう、ドンは喜んでこの依頼を引き受けた。


同行する冒険者一行は二つ星の五人「鋼の息吹」。男三人女二人。

星ひとつしか違わないが、先達ではある。緊張しつつドンは挨拶する。


「どっ、ドンと言います。一つ星の剣士ですっ」


「そう緊張しないでくれ。こっちもまだまだ駆け出しもいいところだ。

 『鋼の息吹』代表のアッセーロだ。よろしく」


苦笑しつつ握手に応じてくれる。彼らも似たような境遇だったらしい。

今回の護衛、それなりに上手くやっていけそうだ。



拍子抜けと言えるだろう。事前情報の通り盗賊や害獣の襲撃もなく、

半月の依頼の間、一度も敵に剣を振るわず元の町へ戻って来られた。


だがいい経験ではあったと思う。先達から教わる事も出来たので。

調理も教わりながら初めてやったし、夜間の見張りも初めて一緒にやった。

護衛の合間に「鋼の息吹」の五人に稽古もつけてもらった。

小剣以外の武器の使い手とは初めてだったので、非常に参考になった。


四か月間、冒険者の知り合いは増えたが、特別仲がいい相手はいない。

雑用の依頼でドンと一緒になっても、また会ったな、ぐらいのものだ。

こういう人達と組んで冒険者をやれたら良いだろうなと思う。

ただ、格下の自分から言い出すのは何か気が引けてしまう。

ドンは切り出せずにいた。


「ドン、もし良かったら」


えっ?まさか仲間に誘ってくれるのか?

アッセーロの言葉に、ドンは期待を込めたが。


「依頼も完了出来たし、これから祝杯でもあげないか?」


…違ってた。

まあ、仕方ない。こっちは一つ星だ。剣の使い方だってまだまだだった。

色々参考になりそうな話も聞きたいし、これが最後でもないよな。

そう思いながらアッセーロの誘いに応じた。




…宴の最中、仲間への誘いを受けてドンが泣き出すまで、あとわずか。

実はこのタイトル元ネタもプレイ経験がなくてですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ