なかまになりたそうに
一つ星冒険者の剣士の男、ドン。十六歳。
故郷の村から出てきて、冒険者見習いに登録し、早四か月が経つ。
地味な雑用を積極的に引き受け、その報酬を使って武器や防具も入手した。
真面目に仕事に取り組む姿勢は好感度も高く、やや早めに一つ星に昇格。
実戦経験がなかったものの、冒険者組合の訓練所で鍛えてもらい、
ある程度の技術は身に付いてきたぞ、とお墨付きももらえたところだ。
訓練所だけでなく、日々雑用も続けていたのでそれなりに貯金も出来た。
残るは実戦なのだが…本日からようやく体験出来そうである。
商人の護衛が不足しており、今回は幸運にもそこへ潜り込めた。
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幸運にも、というのは今回護衛する商人、顔見知りだったことである。
ドンの村にも度々訪れていて、村では入手出来ない日用品を売っていた。
そうかお前、冒険者になったんだな、人手が欲しいし良かったらどうだ、
と声がかかり、別の冒険者一行と合同ながら参加が叶ったのだった。
今回訪れるのはドンの村ではないが、同じような規模の別の村々。
何か所かで日用品を売り回り、円を描いてこの町に戻って来る予定だ。
拘束期間はおおよそ半月、食事は質素ながら商人側負担という条件。
普段巡回している道のりだが襲撃は一度もなく、危険は少ないらしい。
それでも良い経験になるだろう、ドンは喜んでこの依頼を引き受けた。
同行する冒険者一行は二つ星の五人「鋼の息吹」。男三人女二人。
星ひとつしか違わないが、先達ではある。緊張しつつドンは挨拶する。
「どっ、ドンと言います。一つ星の剣士ですっ」
「そう緊張しないでくれ。こっちもまだまだ駆け出しもいいところだ。
『鋼の息吹』代表のアッセーロだ。よろしく」
苦笑しつつ握手に応じてくれる。彼らも似たような境遇だったらしい。
今回の護衛、それなりに上手くやっていけそうだ。
◆
拍子抜けと言えるだろう。事前情報の通り盗賊や害獣の襲撃もなく、
半月の依頼の間、一度も敵に剣を振るわず元の町へ戻って来られた。
だがいい経験ではあったと思う。先達から教わる事も出来たので。
調理も教わりながら初めてやったし、夜間の見張りも初めて一緒にやった。
護衛の合間に「鋼の息吹」の五人に稽古もつけてもらった。
小剣以外の武器の使い手とは初めてだったので、非常に参考になった。
四か月間、冒険者の知り合いは増えたが、特別仲がいい相手はいない。
雑用の依頼でドンと一緒になっても、また会ったな、ぐらいのものだ。
こういう人達と組んで冒険者をやれたら良いだろうなと思う。
ただ、格下の自分から言い出すのは何か気が引けてしまう。
ドンは切り出せずにいた。
「ドン、もし良かったら」
えっ?まさか仲間に誘ってくれるのか?
アッセーロの言葉に、ドンは期待を込めたが。
「依頼も完了出来たし、これから祝杯でもあげないか?」
…違ってた。
まあ、仕方ない。こっちは一つ星だ。剣の使い方だってまだまだだった。
色々参考になりそうな話も聞きたいし、これが最後でもないよな。
そう思いながらアッセーロの誘いに応じた。
…宴の最中、仲間への誘いを受けてドンが泣き出すまで、あとわずか。
実はこのタイトル元ネタもプレイ経験がなくてですね。




