気付かぬふりをしていた事
私には「確定させたくなくて気付かぬふり」をしていることがある。
5年くらい前から春になると目の周りが痒くて、くしゃみが出る。
気付けばスーッと水のようにサラサラとした鼻水が垂れたかと思えば鼻が詰まって寝苦しかったりする。
きっと花粉症なんだろう。
スギとかヒノキの…
でも耳鼻科に行って、アレルギー検査をして、
「花粉症ですね」
と、確定されるのが嫌で病院には行きたくない。
なんでだろ?
痔の疑いがある時は迷わず肛門科に駆け込むことができるのに…。
病院がキライってわけじゃない。
肛門科で「イボ痔ですね」と言われるのはよくて、耳鼻科で「花粉症ですね」はなんか嫌だ。
毎年の花粉シーズンで「今年は昨年の〇倍の花粉が飛ぶそうです」なんて情報と共に流れるスギの木の映像。
風に揺れながら黄色い花粉を大放出するスギを見ては「病院に行かずにこのスギの山に行って思いっきり深呼吸してやろうかな」なんて思ってしまう。
きっとスギ花粉に対する負け惜しみで病院に行きたくないだけ…
どこと戦ってるんだか、と自分でもバカだなーなんて思う。
素直に病院に行けば快適に春を過ごせるというのに…
花粉症の他に「自分の老化っぷり」にも気付かぬふりをしている。
何気なく見た鏡に映る自分の顔。
ほうれい線
目の下のクマ
シミ
毛穴のたるみ…
そんなものは前からあって馴染のものだから今更ダメージなんて受けない。
でも…
この間、自分の鼻の中にキラリと光るものを発見した。
なんだこれは!?
何度も鏡に顔を近づけて確認すると…
うそだろ、おい。
は、鼻毛に白髪がまじってる!?
さすがに鼻毛に白髪なんて…
白い毛ゴミかなんかを吸い込んでとどまっているだけだろう。
きっとそうだ! なんてバクバクする心を鎮めつつ、毛抜きを探し出してキラリと光るものを取り出そうとしたら「痛っ」となり絶望した。
キラリと光る白い物体は正真正銘、白くなった鼻毛。
こやつは私の鼻の中で毛根から栄養を吸収し、すくすくと成長していたのだ。
鼻毛に白髪、いと悲し。
よくよく見ると眉頭にもキラリと光るものが…
もしや? こやつも白髪か? などと思いながら毛抜きでえいやっと引っこ抜くと毛穴から滲む血。
血が滲むほど立派な毛根を持っているとは、というよりもここまで成長するほどに私は自分の顔を観察していなかったのか…。
40歳になって20代の子を見ては「あー、若いな」とか高校生を見ては「この子たちから見たら私は親世代か…」なんて思っていても心のどこかで思っていた。
「自分は若く見える方だろ」と。
誰かと答え合わせしたわけではないけど、自分の若見えに根拠のない自信があったのだ。
でも、自分がそう思っているだけで客観的にみるとそうじゃない。
この前、理学療法士監修のジムの開店イベントで無料の姿勢測定をしてもらった。
160cm、68kg、ウエスト回り94cm。
若見えに自信があっても、思いっきりメタボ体型の私。
もちろん会社で受診する健康診断では体重部分で毎年「要注意」となっている。
姿勢測定…腹は出ているけれど姿勢は良い方だろうなんて思いながら撮影された自分の立ち姿を見て愕然とした。
想像していた以上に体全体が重力に負けてだるんと垂れ下がっているし、なにより全体的に丸い。
わかっちゃいた肥満体形だってことは、でもこれほどまでに…
撮影された画像には若さなんて感じないお世辞にも「お姉さん」とは呼んでもらえないだろう「おばさん」の姿があった。
その画像をもとに姿勢について説明を受けたが自分の真の姿を知って頭の中が真っ白になり何も入ってこない。
書類を見せられてもなぜか小さい文字にピントが合わずぼやけている。
健康診断じゃ、両目1.5だったのに。
って、もしや老眼…
どんなに気付かぬふりをしていても現実を叩きつけられる日が必ず来る…
来年の春は耳鼻科に行こうかな。
その前にメタボ体型からの脱却を!
そう心に決めた40歳、夏の話でした。