表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天霊戦騎エインヘリアル  作者: 九澄アキラ
第08話「ワルキューレ」
34/88

第08話4/6 特訓

 翌朝、天界――。

「なんでこんなことに……」

 朝日を浴び、寝ぼけ眼で嘆息するデシレア。

 その隣にマグニとスルーズも並んでいる。

 今日から訓練を始めるとエクスに集められたのだ。

 その当のエクスはというと……。

  

「しょくーん!本日より君たちにはワルキューレの操者になるための訓練を受けてもらう!期限は帝国が攻めてくるまでの2週間!2週間で諸君らを1人前の操手に育て上げる!気合を入れていけー!」

 サングラスを掛け、竹刀を持ち、メガホンで叫んでいた。

 

「あの格好……なに?」

 見たこともない風体のエクスに、スルーズはマグニに小声で話しかける。

「さっき聞いたら、キャラ作りだって……」

「キャラ作り?」

 普段の優しげな雰囲気が無くなり、人が変わったようなエクスにマグニも戸惑う。


「まずは身体能力を測る!闘技場10周!」

「え”ぇ”~」

 内容を聞いただけでデシレアが悲鳴を上げた。

 1周200メートルの円形の闘技場を走っていく3人。

 結果はマグニが1位、全速力を保ったまま走りきった。

 2位はスルーズ、自己の体力を考えた計画的な走りだ。

「もう無理~」

 デシレアは5周でリタイアとなった。


 続いて反射神経。

 エクスの周りに3つ、小さな球体型のドローンが浮かんでいる。

「今からこのボールが君たちを攻撃する。1分間避け続けろ!」

 ドローンはマグニたちを取り囲むと、体当たりを始めた。

「うおっと!?」

「いたっ」

「あたっ!」

 マグニは持ち前の身体能力で回避するも、スルーズとデシレアは避けきれなかった。

 ドローンの表面はゴムのように柔らかいが、ぶつかればそれなりに痛い。

 

「当たっても避け続けろ!」

 エクスの激が飛び、ボールから逃げ惑い続ける3人。

 エクスは3人の身体や目線の動きを見ながら、それぞれの反射速度を測っていく。

 実戦では被弾しても戦いは続く、そして敵はこちらより多い。

 このテストは彼らの適性を測ると同時に、その状況に慣れさせるためのものだ。


「よっ、ほっ!……あだっ!?」

 マグニは反応は速いが、背後への注意が疎かだ。


「マグニ後ろ……いったっ!」

 デシレアは逆に自分や仲間が狙われている事にいち早く気付くも、身体を動かすのが間に合っていない。


「はっ!ふんっ!」

 スルーズは最初こそ被弾したが、すぐにボールの速度や予備動作を見抜いた。

 見えない位置にいるドローンもその動作音で位置を把握し、次第に少ない動きで避けるようになっていく。


「残り30秒!今度は攻撃を避けろ!」

 ボールの動きが変わり、中心から低出力の光線が発射される。

「攻撃?あっづ!?」

 テーザーがマグニの手に命中。

 熱を伴ったビリっと痺れるような痛みが走る。

「そんなのあり~!?」

 今度は飛び交う光線から逃げ惑う3人。

 マグニとデシレアが被弾の痛みで跳ね回る中、スルーズだけは先ほどより余裕をもって避けている。

 

「そこまで!」

 1分が経ち、ボールが動きを止める。

 デシレアが崩れ落ち、マグニとスルーズは肩で息をする。

 1分とはこんなにも長いものだったのか。

 3人ともがそう感じていた。


「ビームとか……反則だろ……」

「え?私、後のほうが避けやすかったよ?直線でしか飛んでこないもん」

 ビームに切り替わってから、スルーズは1度も被弾しなかった。

「マジかよ……。すげぇな姉ちゃん」

 その後も格闘、剣術、弓など様々なテストを行い、全てが終わる頃には夕方になっていた。



「よし、今日はここまで!」

「はぁ~……」

「やっと終わったぁ~!」

「づかれたぁ~」

 疲れで3人とも地面に倒れ込む。


「みんなお疲れさま~!よくがんばったね!はい、ハツラツジュース」

 服も性格もいつもの調子に戻ったエクスが持ってきたジュースをマグニは一気に飲み干す。

「……ぷはっ、うめぇー!」

「みんなの協力で良いデータが取れたよ」

「っていうか、エクスさん。さっきまでの恰好はなんだったんだよ?」

「えっ!?あぁ、あれはその……」

 エクスは恥ずかしそうに頬を掻いた。

 歯切れの悪いエクスにマグニとスルーズが首をかしげる。


「実は私、他人を育て上げるというか、指導というものをしたことがなくてね。どういう風にしたらいいかわからなくて、知ってるイメージの真似をしていたんだよ」

「そんな理由かよ……。あんなに怒鳴らなくても言うこと聞くって」

「ごめん」

「ふふっ……、エクスさんにも苦手なものがあるんですね」

 ペコリと頭を下げたエクスにスルーズが笑みを漏らす。

 3人の笑い声をデシレアは倒れたまま聞いていた。



 検査の結果、各人の適性はこのようになった。

 マグニ:体力・運動能力ともに優秀。格闘能力に秀でる。射撃が苦手。周りが見えなくなる傾向あり。

 スルーズ:あらゆる分野で優秀。発想力に富む。弓の適性あり。

 デシレア:身体能力はどれも平均以下だが、危機察知と視野の広さに優れる。

 

 地上に戻る前に、エクスはそれぞれの特性に合わせた装備案をまとめていた。

「エクスさん、ワルキューレって全部こういう感じなのか?」

 そこにマグニが話しかけてくる。

 

「と、言うと?」

「こういう……女の子っぽい見た目のしか無いのかってこと、俺が乗るのはもっとガッチリして、カッコいいのに出来ないかな?ほら俺、男だから」

「んー……」

 男がどうとかは置いておいて、今の計画では共通規格の装備違いが4機だ。

 確かに、1つくらい特化機を作っておくのもいいかもしれない。

 エクスは前向きな返事をした。



 その夜、エクスはある物を制作していた。

 いま自分はワルキューレの開発をしながら、マグニたちの訓練もしている。

 両方を満足いくものに仕上げるためには、自分の役割を肩代わりできる存在が必要だ。

 エクスは座布団ほどの大きさの機械を前に、夜通し作業を続けた。



 時を同じくして、捕虜となっているガレスはあるメッセージを受け取っていた。

「近い内にお迎えにあがります」と――。

最後までお読みいただきありがとうございます。

感想・高評価をいただけるととても励みになります。

完結できるように頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ