愚者
「愚者」から「世界」まで全22話です。
書き始めた&完結したのが四年前なので、今読み返すと全体的に何かもう(今以上に)下手クソで恥ずかしいのですが、かといって改稿する気もあんまり起こらないのでそのまま掲載します。
おや、そこのおにいさん、鼻歌交じりにスキップなんかしちゃって、何かいい事でもあったのかい?
……え? 「いい事が〝あった〟んじゃなくて、〝起こりそう〟だから」?
へえー……ま、いいんじゃないの。
何処へ行くんだい?
……え? 「特に決めてない、気の向くままに旅をするんだ」?
そ、そうかい。
ああ、そっちをずっと行くとさ、細い道はあるけれど、すぐ近くが崖になっているんだ、気を付けな。落ちたら怪我だけじゃ済まないかもしれない。
……え? 「むしろ楽しそう」?
馬鹿言ってんじゃないよ、人が真剣に注意してやってんのに!
……え? べ、別にあたしゃ心配なんざしてないよ、あ、あんたみたいな知らないあんちゃんなんかさ!
もう行くって? ああそうかい、それじゃあね。
……え? 「おねえさん元気でね、またいつか」?
そ、そんなお世辞言ったって何も出やしないよ、馬鹿だねえ。今時の若者は口が達者だからねえ、へへっ、へへへへっ。
まああんたも元気で……って、もういやしないよ、あの無鉄砲あんちゃん。やれやれ。
気の向くままに旅かぁ。いいねえ。
ま、無事を祈ってやるとするか。