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<魔術の塔>のアリエス   作者: なぎさん
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第16話 「吸血鬼」前編

ハイファンタジーです。

女の子とサボりが大好きな、魔法使いの王子。自分の言動のせいで今日もやること増えて行く。


家畜被害で駆り出されるアリエスとキャステリオ。次の出会いは、吸血姫。


アリエスの冒険で現時点もっともライトなお話です。

TRPG、RPG好きな方、お時間ある方ぜひ。前編です。

 キャステリオと言う青年が、魔術の塔に再び現れたのは、エルフの森をアリエスが救ってから1月ほどしてのこと。


約束の魔法の指輪を“支払いに”きたと言うが。銀のハイメルに指輪を収め、深く礼を述べた後で、アークマスターの間に特別に入ることを許された。かなり特別な計らいである。


「やぁ久しぶり!綺麗少年!」

「やぁ、元気そうで何より。キミの偉業はもう、森の歴史の一部として讃えられているよ。」


2人は楽し気に会話を交わしたが、正直どちらもソワソワしてしまう点がある。


…僕、この美少年とちゅーしちゃったんだよなぁ…どう考えたらよいのだろう…そっちに解禁されるのかな僕…本当は興味あるのかな僕…んぁバカなー


…俺…私の正体をいつ明かせば良いのだろう…小鳥よ教えておくれ…タイミングが…わかんない…


「チェ、チェスをしないかい王子?」

「へ?」


こうして、アリエスは初のゲームに挑戦。

キャステラは微妙な距離の探り合いという、新たなゲームに挑戦した。


――――――――――


 扉の向こうから、ノック。

「マスター、ギルドへ出動依頼です。ツァルト北東、件の悪徳のオアシス天蓋境。家畜被害。」


アリエスはキャステリオと顔を合わせ

「家畜被害…に魔法ギルドが?」


「血を吸われ、衰弱した姿で発見。吸血生物、ですかな。さて、如何なる者を派遣したら良いでしょうかな?」


「それ僕に行けって言ってるでしょう!」

キャステリオは笑った。

「俺も行こう。家畜も獣もよく知っているし。」

「え…あ…うん頼んだキャステリオ。」

実は微妙。嬉しいような不安なような。


「ところでマスター、キャステリオ殿の指輪の効力を伺っていますかな?」

「ん?いや?まだ」


「では直接お聞きになれば宜しい。オアシスは中央のラクダ貸しの男に話を通してありますぞ。では、行ってらっしゃいませ。」


…行けと言っている。


――――――――――


 オアシスへは飛んで入った。砂漠の空を抜けたため、すぐにでも湯を浴びたい。が、まずは情報収集だ。


オアシスの一画にはラクダを貸し出す商人が集まる。悪徳の街ゆえ、価格には注意を払った方がいい。


この小さな治外法権の砂漠は、すぐ北方に広がる、キルメット火山帯の麓と言ってよい場所にある。そもそも、場違いに突然広がるこの砂漠、赤竜王のブレスによるモノとも言われるし、古代魔法の実験場とも云われる。勿論定かではない。


魔法ギルドの使いであると言うと、ラクダを貸すもの達から。次々と話が聞こえて来た。

ラクダが襲われたのは数日前、元気ないラクダを発見。死んではいない。噛み傷があった。


…大した被害ではないのではなかろうか。


所が、意外と広範囲。馬の血が吸われ。牛の血が吸われ。鶏の血が吸われ(鶏は死んだ)。

全て、夜。


3日に一度ほどのペースで、家畜は襲われ続けている。


まぁ、一応調べる程度はしてみよう。

何にせよ、一度宿へ入ろう。…砂を落としたい。


――――――――――


 宿へ入る。一応冒険者の宿だが、見るからにガラが悪い。財布に気をつけよう。


「相部屋か?別か?」

パターン通りのことを聞かれるが、やはり髭が顔を一周しているこのマスターもガラが悪い。


「…男二人だし、相部屋で。」

アリエスが答えた時、キャステリオは一瞬引きつった。


「…ふん、可愛い兄ちゃん2人か。女じゃなくても気を付けとけ。一応注意はしたからな?」

まぁ一応、宿の主人らしい気遣いは在った。


 2人は部屋に入り、荷を下ろす。

「一応だけどキャステリオ、荷に大事なものがあるなら身につけておくと良いよ。」

「ああ、貴重なものはない。ありがとうアリエス王子。」

「じゃぁ、湯に行くかい!」

「ああ…ん?………ああ、いこ……う」



――質素な石作り。湯が張ってある。此処は風呂だ。

どうという事はない、オトコ2人が風呂に入っているだけだ。こんな街に観光客はいない。現在、貸し切りだ。


キャステリオは多分に体を隠している。背を向けている。時々アリエスと顔を合わせて話す時も、湯船に体を沈め隠し気味。アリエスを見るときも…。


俺は何処を見れば良いんだろう!?アリエス王子、意外と筋肉あるんだな細いけど!きゃ!見えた!!


「ほそいねえ~!僕もよわよわな方だけど、キャステリオ、女の子みたいに綺麗!」

「そ、そう?ありがとう!」

ん?ありがとう?


アリエスは正直、女の子と入ってるみたいでドキドキした。

キャステリオは… “自分と違う”男性を少し学習した…。


――――――――――


 ラクダの群れを前に、2人は立っている。

「じゃあ、お願い」

「あぁ、任せてくれ」


「“スピーク・アニマル”」

キャステリオの“自然魔法”。数頭のラクダと頷き合っているキャステリオがなんか可愛い。


「…アリエス王子、犯人は、人間の形をしている。」

「…人間?家畜の血を吸う、人間?」


「向こうの…森の方から来ているらしい。」

「じゃあ、上空から見てみようか…」

「いや、森は全て隠すものだよ王子。中に入って行こう。大丈夫、俺が居る限り、獣は襲ってこないさ」

「うーん、羨ましいなぁエルフ」

「…なるかい?エルフに。」

「キミの“指輪”を使って? はは、考えとく。」

うん、そう言うテも、あるのか…。キャステリオは小さく呟いた。



―――暗い森。


ここでも、キャステリオの魔法は輝く。

「“小鳥たちよ、伝えよ”」

鳥たちが森の異変や恐怖を教えてくれるそうだ。


「“木々よ、道を拓け”」

キャステリオが歩き出す方へ、木々は移動して道を作る。通りすぎると元の位置へ。


―便利過ぎる!! アリエスは羨ましくなる。彼の使う魔法のほとんどは“破壊魔法”。


森の奥に、祠があるらしい。


怖いものが、出入りしている。



続く――。


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