腰痛
就職して一年目で腰痛を経験した。
職業柄いつかは経験するだろうな、と覚悟していたが、まさか一年目で経験するとは。
とはいえ、ぎくっ!となって痛みを覚えた訳ではないので、ぎっくり腰ではないはず。
当時、運動会前で私はプログラムで使う、平均台やマット等、重いものを出し入れする、道具係をしていたので、それで腰にきたのだと思う。
それらを運ぶために、腰に力を入れると鈍痛が走った。
しかし、この時はすぐに治った。若かったのだと思う。
その後も、冷えたり重い物を立て続けに持つと、腰に痛みが出るようになった。でも、日常生活にそれほど支障はないし、当時の私は、今より更にビビりで、病院に行くのが怖かった。
しかし、ある日、これはまずいぞ……という痛みに見舞われた。
その前日、ある研修に参加していて、その間ずっと、じゃがんだ姿勢をしていた。これが原因だと思う。それくらいしか、普段とちがう出来事がなかったのだ。
その夜、寝ていて、寝返りを打とうとしたら、ものすごい痛みが腰に走った。思わず目が覚めた。
何だ? 今の? 気のせいか?
と寝ぼけながら思い、再びいつも通り寝返りを打とうとすると、ぴきっっ!と痛みがはしる。
気のせいではない!
と思いつつ睡魔には勝てなかったので、慎重に横向きに態勢を変え再び眠りに落ちた。その夜は寝返りを打つ度、痛みで目が覚めるという状況だった。
携帯のアラームが鳴り、それを止めるために手を伸ばしただけで、ぴきーっ! とくる。
漫画みたいに、本当に「うんうん」唸りながら起き上がり、
「ひーひー」言いながら着替えた。さすがの私も病院に行ってみようかな……という気になった。
確か二日後くらいから、ゴールデンウィークに入る時期だったので、なおさら病院に行った方がいいとも思った。
それほど痛いのだから、病院に行ってから出勤すればいいのに、くそ真面目な性格だったため、痛みを堪えて出勤。仕事中は声に出して「ひーひー」言えないため、心の中で「ひーひー」言って一日を過ごした。
そして帰りに家から一番近い整形外科を受診した。
診察室のベットに横になるのも痛い。何の意地なのかわからないが、人前では「ひーひー」とも「うんうん」とも言わない私。
先生は膝を曲げさせたり、足を叩いたりして何かを確認する。最後にレントゲンを撮った。
機械の前で、言われた通りの姿勢を取ったら、ぴきーんと痛む。私の顔が歪んだのか、先生が
「その姿勢すると痛い? 痛いよねー」と言う。
それがわかるなら、早くレントゲンを撮ってくれ! と心の中で叫ぶ。
もう一度、診察室に戻り、レントゲンの結果を見て、先生が言った。
「筋肉痛だね」
え? 何て? 筋肉痛? こんなに痛いのに?
頭が混乱したまま、コルセット渡され付け方を教わった。
会計を済ませても、何だかしっくりこない。
ただの筋肉痛のために病院に行ったのか……とがっかりしたのだった。