肌荒れ
私が一番最初に悩まされたのは手荒れだ。
もともと皮膚も弱い方だったと思う。
保育士という仕事は、やたらと手を洗う。給食の時なんて、一分間に何回手を洗ってるんだ? と疑問に思ったほど。
子どもの食事介助をしつつ、床を拭き、床を拭いたら手を洗い、また介助をする……
もう、したくない。
そして、布団やオムツといった布や紙類に触れるのも、手荒れを加速させた。
就職して三年目が一番酷かった。
親指以外の指一本につき、三枚ほどバンドエイドを貼っていた。
ざっと計算して、両手で二十六枚だ。
バンドエイドの枚数も馬鹿にならない。水に濡れたら、すぐ取れてしまう。
同じ年、私はさらに恐ろしい肌荒れにも悩まされた。
ある日急に、左目の下に無性に痒みを感じた。痒いから掻く、とはいっても目の下だし、そっと掻いていた。
一向に痒みはなくならず、考えた末、私は何故か化粧品カウンターに行っていた。アイクリームを勧められ、購入。
アイクリームを塗ってみるものの、ピリピリしたような痛みが加わりすぐ使用をやめた。
なぜ、病院に行かなかったのか、謎である。
それが十二月の出来事だったのだが、年明けさらに症状が悪化した。左目下の痒みが、だんだん広がり左目の目尻が、あかぎれのように切れた。
あれは本当にびっくりした。
顔全体がまだらに赤くなり、首にまで痒みが広がった。
切れた目尻とまだらに赤い顔は、異常だったのだろう。副園長から、すぐに病院に行け! と言われた。
結果は、まさかの花粉症。顔に花粉が付着して、痒みが出たのだろうと医師から言われた。
飲み薬と塗り薬で、瞬く間に復活した。
年月を重ねるごとに、皮膚も分厚くなったのか、手荒れや肌荒れはだんだんなくなっていった。
繊細だった自分の一部を手放したような、ちょっと寂しい気がした。