第66話 ロボチューブ生配信です! その三
「はい! さあ、始まりました。はい! さあ、始まりました『ご主人様チャンネル』、第二回目の配信でございます」
カメラの前に、白ティー丸メガネにグラサンをかけた女が現れた。
「違います! 三回目です!」
「さあ、始まりました『ご主人様チャンネル』、三回目の配信が始まりまして始めたいと思います」
「始まりすぎです!」
『待ってたwww』
『なにこの配信』
『誰だよこれwww』
『¥5000。メル蔵早よ!』
「あ、早速のロボチャット、ありがとうございます、ポッキリチュピチュピさん。えー、飛んで平八郎さん、いつもありがとうございます。IV号装填手さん、始めまして、楽しんでね、いってくださいね」
「自己紹介をしてください!」
「あ、忘れてました。皆さん、どうもこんにちは。『ご主人様チャンネル』の黒男です。あ、今日も助手のメル蔵と一緒にね、色々と企画をやっていこうと思いますよ」
『企画楽しみ』
『早くメル蔵映せ』
『この貧乳が癖になってきたwww』
「さあではね、早速最初の企画いきますよ!」
「デュルルルルルルル、デデン!」
「ロボこそば対決〜」
「パフパフパフ!」
『いつもの効果音www』
『ロボこそばってなんだよ』
『チャーリーいないの?』
「ロボこそばはね、あれですね、お椀にそばが入っていて、食べると即、次のそばを入れてくれて食べまくるというあれですね。あ、チャーリーはテューリアン星にいってるので、今日はお休みですね」
「ゲスト紹介をしてください!」
「あ、そうだった。なんとね、今日はですね、ご主人様チャンネルに初のゲストがきますからね。交渉に交渉を重ねて、そんであの、ゲストにね、あの」
「早く紹介してください!」
『ゲスト?』
『なんでこんな配信にゲストくるのwww』
『楽しみ』
「はい、ゲストはこの方!」
「デュルルルルルル、デデン!」
「近所に住んでるマリ助〜!」
「パフパフパフ!」
「なんなんですの、この配信は?」
金髪縦ロール、青い瞳、シャルルペローの童話に出てきそうなドレスに、グラサンをかけた少女が画面に登場した。
『クソ美少女やんけ!』
『かわえーwww』
『小学生かな?』
『やばいwww可愛すぎかwww』
「どうも皆様、初めましてでございますわ。近所に住んでるマリ助ですのよ。あ、親愛なる人参さん、中学生ですわよ」
「お、すげえ。ロボこそばの企画始まったら、視聴者が一気に三百人増えた。ロボこそばすげえ」
『違うだろwww』
『アホなの?』
『マリ助のファンになりそう』
「あ、そうだ。マリ助の助手のアンキモにもきてもらってますからね。アンキモ、よろしくね」
「よろしくでございますわー」カメラの後ろから色っぽい声が響いた。
『アンキモってなんだよwww』
『アンキモだけ命名法則違くない?』
『声可愛い』
「さあさあ、早速ロボこそば対決していきますよ。あ、もうすでにロボこそば百杯用意していますからね」
紙袋を被ったメル蔵とアンキモが、カメラの前にロボこそば百杯を並べた。
『メル蔵きたー!』
『アンキモもメイドロボやんけ!』
『マリ助って小学生?』
『ロボこそば美味そう』
「はい、ルールはですね、このロボこそばをですね、先に五十杯食べた方が勝ちというルールですね。あ、一杯食べる度にメル蔵とアンキモがね、お椀に次のロボこそばを入れてくれますから、ガンガン食べますよ」
「美味しそうですわね。何杯でもいけそうですのよ」
黒男もマリ助も食べる気満々だ。
「ハズレそばの説明をしてください!」
「あ、そうだった。実はですね、このロボこそばの中にですね、ハズレの激辛ロボこそばが、あの、五杯ずつ隠れていますのでね。あ、それに耐えながら、五十杯食べきるという勝負ですね。いつ激辛がくるか、わかりません」
『また激辛www』
『展開読めた』
『はよ食え』
「さあ、じゃあいきますよ。メル蔵!」
「はい!」
「スタートの合図よろしく!」
「さん、にー、いち、スタートです!」
黒男とマリ助はスタートと同時に、一杯目のロボこそばを勢いよく口の中に流し込んだ。
「うまうまですわー!」
「ブー!!!」
黒男は口の中のロボこそばを吹き出した。
「ぎゃあ! ロボこそばが目に! 目に入りました! 目が! しみる!」
「辛いー!!!」黒男は悶絶している。
『一杯目からwww』
『だと思った』
『マリ助がんばれー』
「ぐあー! 辛い! ハァハァ。メル蔵! 次!」
「はい!」
メル蔵がお椀にロボこそばを入れた。すかさずそれを口に放り込む。
「ブー!!! 辛い!」
「ぎゃあ!」
「メル蔵!」
「はい!」
「次!」
「はい!」
「ブー!!!」
「ぎゃあ!」
『www』
『なにこれwww』
『三連続www』
「ぐぇー! 舌が! 焼ける! メル蔵! トムヤムクン!」
「どうぞ!」
「ブー!!!」
黒男はメル蔵から受け取ったトムヤムクンを吹き出した。
「ぶああああ! 喉が焼ける! ぐあああ! メル蔵! これ、これトムヤムクンじゃん!」
「トムヤムクンです!」
『自分でトムヤムクン要求しただろwww』
『なにやってんのwww』
『汚ねえwww』
「次!」「はい!」「ブー!」「ぎゃあ!」「次!」「はい!」「ブー!」「ぎゃあ!」
「ハァハァ……あかん……死にそう。でも辛いの五杯クリアしたから、あとはここから追い上げるだけ……ハァハァ」
マリ助はすでに二十杯をクリアしている。その速度はまったく落ちていない。
「ロボこそばうまうまですわよー!」
「お嬢様、次でございますわー!」
「ハァハァ、ここから追い抜いてやるからな。メル蔵! 次!」
「はい!」
「ブー!!!」
「ぎゃあ!」
黒男は激辛ロボこそばを吹き出した。
「ゴホッ! ゴホッ! 辛い! なんで? 辛いのは五杯まででしょ……メル蔵!」
「間違えて、十杯全部ご主人様の方に並べました! シャッフルも忘れました!」
『十連続激辛www』
『こりゃ死ぬでしょ』
『ざまあwww』
黒男はその後も激辛ロボこそばを食べ続けたが、十杯目で完全に動かなくなった。
「アンキモ、次ですわー!」
「お嬢様、これで五十杯目ですわよー!」
マリ助は難なく五十杯を完食した。アンキモがナプキンでマリ助の口元を拭う。
『おめでとう』
『マリ助すげぇ!』
『¥10000。マリ助のファンになりました』
『マリ助って小学生?』
「アーニャケツ拭かないさん、ロボチャットありがとうですわ。黒男さんがピクリとも動かなくなったので、今日の配信はこれで終わりにしますわ。あ、わたくし中学生ですのよ。ではご主人様チャンネル第三回、これで終了ですわ。皆様ごきげんよう」
『ごきげんよう』
『ごきげんよう』
『ごきげんよう』