第480話 ロボチューブ生配信です! その二十一
(軽快なBGM)
「あ、はい、あ、はい。あ、始まりましてございます。あ、どうも『ご主人様チャンネル』の黒男です。あ」
画面に白ティー黒髪おさげ、丸メガネの上からグラサンをかけたのっぽが現れた。
「皆さん、こんばんは! 助手のメル蔵です!」
画面に頭から紙袋を被った金髪巨乳メイドロボが現れた。
『始まった!』
『久しぶりww』
『メル蔵ー!』
「あ、メガメガソラソラさん、ようこそいらっしゃいました。あ、飛んで平八郎さん、今日もね、楽しんでくださいよ。あ、鳥ロボットコンテストさん、琵琶湖の風はどうですか?」
「ご主人様! 今日はなにをしますか!? デュルルルルルルル、デデン!」
「ティア表作ってみた〜」
「パフパフパフ!」
『ティア表ってなにww』
『最近はやりのアレねwww』
『なんのティア表だよww』
「メル蔵!」
「はい!」
「ティア表がなにかを説明よろしく!」
「はい! ティア表のティアとは、階層のことをさします! いろんなものを階層にわけて、ランク付けをしようというものです!」
「あ、今日はね、そのティア表をですね、みんなが作ってきましたのでね、あの、みんなでね、ぶひっ、寸評していこうかと思いますよ」
『これ、大丈夫かwww』
『こういうのって普通ファンが作るものだろw』
『公式でやるなwww』
「では、ご主人様のティア表からお願いします! デュルルルルル、デデン!」
「おっぱいティア表〜」
「パフパフパフ! なにをしていますか!?」
『知ってたww』
『いつものww』
『やったぜw』
S:メル子
A:アンテロッテ、ノエノエ、ルベール
B:アニー、マヒナ、ルビー、黒メル子
C:マッチョメイド
D:サージャ
「なんですか、この表は!?」
「あ、まず、それぞれのおっぱいのサイズを知りたい人は、297話を参照してください。では解説しましょう。まずベースにあるのがおっぱいの大きさですね。やはり、おっぱいといえば重要なのが大きさですよ。ただもちろんそれだけでは決まりません。形、張り、柔らかさ、温かさ、滑らかさ、香り、色、味、様々な要素がそこに加わります」
「やかましいですね」
「あ、数々のおっぱいを揉んできた私がですね、自信を持ってSティアにしたのが、あ、我らがメル子ですよ」
『まあ、納得だけどwww』
『味ってなんやねんww』
『Sはメル子やろなあw』
「あ、メル子のおっぱいはあらゆる面で完璧。私がそのように設定しましたから」
「ご主人様、サージャ様がDティアなのはなぜでしょうか?」
「あ、サージャ様はですね。あの、触らせてくれませんでした。あの人、意外とケチくさいんですよ。ちょっとくらいいいじゃないかと思うんですけどね」
『セクハラwww』
『恐れ多いぞww』
『マジでやめとけww』
「大きさではアン子さんと同等のルビーさんが、やや低めなのも気になりますね」
「あ、ルビーはね、大きさは申し分ないんだけどね、軟乳なのよね。すっごい柔らかいの」
「柔らかいのはいいことではないのですか?」
「あ、我々プロの間ではね、柔らかさよりも、張りを重視します。あ、張りがあるとね、いろいろと楽しいですから」
『なに言ってんだこの貧乳w』
『プロってなんだよwww』
『クソみたいな表だなww』
『出鼻から最悪だけど、大丈夫なのかよこれw』
「あ、はい、ではね、次のティア表いきましょうか。はい、メル蔵のティア表は!?」
「デュルルルルルル、デデン! メイドロボティア表〜! パフパフパフ!」
S:メル子
A:
B:
C:ルベール、ノエノエ、マッチョメイド、マリエット、黒メル子
D:アンテロッテ、サージャ
「うわ、なにこれ!?」
「もちろん、最高のメイドロボランキングですよ。見ておわかりでしょう」
『ひでぇwww』
『メル子だけ最上位かよw』
『自画自賛ww』
「他のメイドロボ達はなんでCティアなの!?」
「まあ皆さん、ご立派なメイドロボだとは思いますよ」
「ほうほう」
「ただ、私と皆さんとでは、だいぶメイドロボとしての『格』に差があるといいますか。その『差』を表現するために、このような表になってしまいました」
『なんで偉そうなんだよw』
『自信がすごいw』
『いいのかこれww』
「いや、まあ、メル子がSティアなのは別に異論はないけどさ、アン子が低過ぎでしょ」
「そうですか? 妥当だと思いますが」
「絶対私情が入ってるよ、これ。じゃあサージャ様は?」
「あの方、メイドロボらしいことをしたことがありますか!? お料理とか絶対できませんよね?」
「やめとけ、やめとけ」
『確かにそうだけどw』
『怒られるw』
『天罰下りそうwww』
「あ、はい、では次! ゲストを呼んでいますから!」
「お二人とも、どうぞ!」
「オーホホホホ! 近所に住んでるマリ助ですわー!」
「オーホホホホ! お嬢様の助手のアンキモですわー!」
「「オーホホホホ!」」
画面にグラサンをかけた金髪縦ロールの少女と、頭に紙袋を被った金髪縦ロールのメイドロボが現れた。
『マリ助きたー!』
『くそかわええwww』
『アンキモ! アンキモ! アンキモ!』
「やあやあ、二人とも。待ってたよ」
「お二人は、どんなティア表を持ってきたのですか!?」
「わたくし達が作ってきたのは、銭コア表ですのよー!」
「さすがお嬢様ですわー!」
S:マリー、アニー、美食ロボ
A:マヒナ、トーマス・エジ宗次郎、アルベルト・アインシュ太郎、ルビー
B:マッチョマスター、影山陰子、茶柱茶鈴、奥様、ニコラ・テス乱太郎
C:大相撲ロボ、ゴリラロボ
D:黒乃
「銭コアってなにさ!?」
「お金持ちランキングですのー!」
『美食ロボ、すげえw』
『月の女王より金持ってんのかよw』
『黒乃www』
「いや、おかしくない?」
「なにがですの?」
「黒男様のおつむがおかしいんですの?」
「私が最下位なんだけど? これでも社長よ?」
「めいどろぼっちでやらかして、ほとんど儲けが消えましたの」
「会社が潰れなかったのが不思議ですの」
「なぜお二人が、ご主人様の会社の収支を知っているのですか!?」
『ざまあwww』
『お貧乏様ww』
『ボロアパートにしか住めないしなww』
「はい、次いこ!」
「次のゲストはこのお二人です!」
「やあ、みんな。月からきたマヒ南左衛門だよ」
「みなさん、こんにちは。マヒ南左衛門様の助手のノエ乃進です」
画面にグラサンをかけた褐色肌の美女と、頭から紙袋を被った褐色肌のメイドロボが現れた。
『うひょー!』
『セクシーww』
『筋肉すげえw』
「いらっしゃい、二人とも。じゃあさっそくティア表を頼むよ」
「マヒ南左衛門様が作ったティア表はこちらです」
S:イベント黒乃、藍王
A:ハント博士、ルベール、マヒナ、ノエノエ、マッチョマスター、マッチョメイド、黒乃山、鏡乃山、藍ノ木藍藍
B:大相撲ロボ、ゴリラロボ、ビカール三太郎
C:アンテロッテ、チャーリー
D:黒乃、メル子、黒メル子
Z:FORT蘭丸、美食ロボ
『黒乃が多いなww』
『強さ表だろこれwww』
『FORT蘭丸w』
「ハッハッハ、やはりご主人様が最強だと証明されてしまったか」
「調子に乗るなよ、黒乃山。お前が強いのはイベント戦限定だ」
「マヒ南左衛門様の言うとおりです。普段はさほどでもありません」
「なんでやねん!」
「異議があります!」
「メル蔵、述べなさい」
「なぜ私がアン子さんより下なのですか!?」
「アン子は戦闘用メイドロボでないながらも、クサカリ・ブレードなどの高威力の武装を搭載しているからだ」
「私だって八色ブレスがあります!」
「それは温めたり冷やしたりするやつだろう」
「言いましたね!」
メル蔵は必殺のメガ粒子熊よけスプレーを放出した。ついでに目からフラッシュライトを迸らせた。
「ぐあああああ!」
「なんですのー!」
「お嬢様ー!」
「メル蔵! なにをする!」
「AIが故障しましたか!?」
部屋にスプレーが充満し、全員が悶絶した。涙と鼻水と涎を撒き散らしながら転げ回った。
『まぶしっ』
『光らすな!』
『うおおおお! 地獄絵図ww』
(しばらくお待ちください)
(穏やかなBGM)
「ハァハァ、メル蔵! なんてことをすんの!?」
「ハァハァ、これで私が強いことが証明されたでしょう!」
「ハァハァ、メル蔵もぶっ倒れてましたのー!」
「ハァハァ、自爆技ですのー!」
「メル蔵、お前は退場だ!」
「メル蔵、出ていきなさい」
「キー!」
メル蔵はカメラに背中を向けて、大股で部屋を出ていった。
『あーあー、もうめちゃくちゃだよ』
『ひどいなwww』
『¥8000。メル蔵、どんまいww』
「では、最後のゲスト! はい!」
「ウホ」
画面に頭から紙袋を被ったゴリラが現れた。
「はい、ゴリラロボです!」
「ウホ」
「ふんふん、なになに? 自分もティア表を作ってきたから、当ててみて? よっしゃ! 見せてみい!」
S:黒乃、藍ノ木藍藍
A:アインシュ太郎、トーマス・エジ宗次郎、ニコラ・テス乱太郎、隅田川博士、茶柱茶鈴
B:桃ノ木桃智、黒メル子、コトリン
C:メル子、FORT蘭丸、チャーリー、ゴリラロボ
D:マヒナ、ノエノエ、マッチョメイド、マッチョマスター
『なんだ!?』
『結構むずかしいなww』
『下の脳筋どもが怪しいwww』
「わかった! これ、知能だ! 私が一番上なのも納得だし、マヒナ達が下なのも頷けるもん!」
「黒乃山! なんだと貴様!」
「黒乃山、マヒ南左衛門様に失礼ですよ。訂正しなさい」
「どうなんだい、ゴリラロボ!?」
「ウホ」
「ふんふん、なになに? これは、悪知恵ランキング? 悪どいやつほど上? 貴様ーッ!」
『なるほどなww』
『納得したwww』
『ぷげらww』
その時、画面が大きく揺れた。壁を破壊し、何者かが部屋に乱入してきたのだ。
『うおおおお!?』
『なんだ!?』
『なんかきたwww』
それは全長三メートルの巨大なメイドロボであった。四頭身のずんぐりむっくりな体型で腕を振り回し、暴れ始めた。
『アハハハハ! このメイドマシン(171話参照)で、私の最強を証明してみせますよ! アハハハハハ!』
「こらー! メル蔵ー!」
「なんですのー!?」
「メル蔵! おとなしくしろ!」
カメラの前は戦場と化した。その正面にゴリラロボがやってきた。
「ウホ(今日の配信はこれで終わります。あ、ホワイトゴリラとブラックゴリラさん、今日はありがとうございました。あ、前倒し解散さん、今日は楽しんでもらえたでしょうか? あ、ニコラ・テス乱太郎さん、また見にきてくださいね。それではみなさん、ごきげんよう)」
『ウホwww』
『ウホホwww』
『ウホウッホw』
(激しいBGM)
負けず嫌いティア表
S:メル子




