第473話 小説家になろう!
黒「あ、どうも皆さん、黒男です」
メ「どうも皆さん、メル蔵です!」
『なにこれww』
『どこここwww』
『どうしたw』
黒「あ、今日はですね。あの、いつもとは趣向を変えまして、ある人物にインタビューをしようかと思っております」
メ「その人物とは、おっぱいロボのギガントメガ太郎先生です!」
『でたw 自己主張が強い作者www』
『なんのインタビューだよww』
『おっぱいロボってなにww』
黒「あ、実はですね。あの、メル蔵がですね、突然わがままを言い始めまして。小説家になりたいなどとほざいているんですよ」
メ「わがままではありませんよ! 本気です! だから先生にお話を聞きたいのですよ!」
黒「いや、まず、先生はプロの作家ではないからね。アマチュアだから。そんなロボに話を聞いて、得るものがあるのかなあ?」
メ「なんてことを言いますか! 先生はクソみたいなロボですが、一応賞をもらったことがあるのですよ!」
黒「え? うそ?」
メ「本当です! 先生が小学二年生の時に、作文コンクールで佳作をもらいました!」
『小学生www』
『佳作かよww』
『いや、すごいけどもwww』
メ「先生の話によると、作文を書くのがいやでいやで、親に怒られつつ泣きながら書いたものが受賞したらしいです」
黒「うーん、むしろ感情がこもってよかったのかもしれないね。いや、でも、やっぱり小学生のころの話じゃどうしようもないよ」
メ「そうですか? あとは小学生のころに描いたクソみたいな絵がコンクールで佳作を受賞したり、中学生のころに書いたクソみたいな書が書道展で佳作を受賞したりしたそうです。水泳大会でボロ負けしたり……」
『全部佳作じゃねーかwww』
『クソみたいとか言わないでww』
『吉良吉影かな?』
メ「では、そんなクソみたいな先生をお呼びしましょう! どうぞ!」
ギ「あ、どうも、おっぱいロボのギガントメガ太郎です」
メ「先生! 今日はよろしくお願いします!」
ギ「お願いします」
黒「大丈夫かな」
メ「先生! 改めまして、ようこそおいでくださいました」
ギ「いえいえ、こちらこそ」
黒「先生、お体の方は大丈夫ですか?」
ギ「まったく大丈夫ではないですけれど、まあ生きていますよ」
黒「今日は、小説の書き方について教えていただけるとか」
ギ「はい、私でよければ、なにかお話できることもあるかなと思っています」
メ「先生。実は先生が書いた小説がコンテストで受賞したことがあるのですよね?」
ギ「あ、はい。あります」
黒「ん? それは小学生のころの話でしょ?」
ギ「いえ、私が最近書いた小説がなんか受賞しまして」
メ「すごいです! どんな作品なのですか!?」
ギ「あの、ケツがでかい主人公とチチがでかいメイドロボがイチャイチャする話です」
『なんか、聞いたことあるなw』
『知ってるかもww』
『まさか?』
ギ「昨年、『うちのメイドロボがそんなにイチャイチャ百合生活してくれない』が『カクヨムコン9ラブコメ(ライトノベル)部門特別審査員賞』を受賞しました」
メ「ええ!? この作品ではないですか!」
黒「そうだったの!?」
ギ「はい、なんか受賞しました」
『すげえwww』
『まじかよww』
『こんな作品でも受賞できんのかよww』
ギ「ははは」
メ「ワロてます!」
黒「いやー、驚いたわ」
メ「はい、ここまでは前提の話です! つまり、先生はアマチュアですけれど、僅かばかりの権威があるということです! 地べたのアリンコほどの権威に基づいた話をしていただきます!」
『前提がなげえ!』
『わかったから、はよ進めてくれw』
『マジ大丈夫!?』
メ「では、先生」
ギ「はい」
メ「先生はどういった経緯で小説を書き始めたのですか?」
ギ「元々私はゲームプログラマでして、ゲーム会社でずっとゲームを作っていたんですね」
黒「はいはい、私と同じだ。プログラマではないけど」
ギ「それで体を壊しまして、会社を辞めたんですよ」
メ「あらら」
ギ「でもゲームを作るのを諦めきれずに、一人でゲーム制作を続けていました。AndroidとiPhone向けにRPGを作ってリリースしまして、数万ダウンロードはされました」
メ「すごいです! ボロ儲けでしょう!?」
ギ「いえ、赤字です」
黒「あらら」
『RPGって一人でも作れるんかwww』
『赤字かよwww』
『すごいのか、なんなのかw』
ギ「つまり、ゲーム制作に関してはプロなんですが、小説は素人という点は理解してください」
メ「その素人が、なぜいきなり小説を書き始めたのですか?」
ギ「病気が悪化して、個人でのゲーム制作が不可能なほどに体調が落ち込んでしまったからですね。ゲーム制作は、心身ともに異常な負担を強いられます。個人制作の場合、週刊連載の漫画家のようなハードさといっていいかもしれません」
黒「それはキツいですね」
ギ「なので、小説を書くことにしたんです」
メ「なぜですか?」
ギ「体がボロボロでも、小説なら書けるかなって思ったんです」
黒「それだと、作家が楽な職業みたいに聞こえてしまいますよ」
ギ「少なくとも、ゲーム制作よりは楽です。瀕死の私が、毎週投稿できるわけですから」
メ「なるほど」
『うーん』
『楽……なのか?』
『よくわからん』
ギ「この『楽』というのが、ポイントでして。小説は『誰でも』『楽に』『書ける』ものなんです」
黒「けっこう大胆に言い切りますね」
ギ「はい、それが小説という媒体のいいところです。誰でも楽に書いて始められる。だからこそ、小説を書く人が世の中に五万といるんです。それが日本のエンタメの下支えになっています。エンタメを支えているのは、作家の皆さんだと自負してください。しかし、これがゲームではそうはいきません。ゲーム制作には専門的な知識が必要です。数年勉強してようやく入り口に立てる、というレベルの技術を身につけなければいけないんです。絵もそうです。絵も数年練習して、ようやく人に見せられるレベルになるでしょう。音楽なんかもそうですね」
『確かにそうかも』
『ゲームとか、どうやったら作れるのかまったくわからんしな』
『ワイ、絵を練習してるけど、ずっとヘタクソww』
ギ「でも、小説は違うんです。小説を書きたい!と心の中で思ったのなら、もう書けるんですよ。なぜなら、小説を書くための練習は義務教育で終えているわけですから。実際私は小説を書こうと思った三日後には、この作品の第一話を投稿していました」
メ「早いですね!」
黒「プロットとか、たった三日で作れるものなんですか?」
ギ「プロットなんて書いたことないです」
メ「プロットを書いたことがない!?」
ギ「ついでに言うなら、あらゆるプロット、設定は書きながら決めていきます。書き出しでオチが決まっていることは、まずありません」
『すげえwww』
『それはいいことなのかwww』
『いきあたりばったりww』
ギ「とはいえ、『経験』があったことは、補足しておかなければなりません」
黒「なんの経験ですか?」
ギ「シナリオ制作に関する経験ですね。個人ゲーム制作時代において、小説数冊分のシナリオを書きましたから。当然その経験は小説に活かされています」
メ「いや、先生! 話が違うではないですか! 小説のド素人というのが前提の話ではないのですか!?」
『確かにwww』
『これ素人っていうか?』
『ゲームシナリオと小説は、違うと言えば違うけど』
ギ「ポイントは『経験』にあります。私の場合は、ゲームシナリオの経験が小説に活かされました。なんの経験が活かされるかは、人によって違います。スポーツの経験だったり、バイトの経験だったり、旅の経験だったり、恋の経験だったり、あらゆる経験が小説に活かされます。小説ほど、経験がダイレクトに反映されるエンタメはないでしょう。
『作家は経験したことしか書けない』という言葉があります。言葉どおりに受け取れば、この言葉は破綻しています。異世界にいった人はいないのですから、異世界モノは誰にも書けないことになるでしょう。しかし、この言葉には重大な意味が含まれています。これは、作家の喉元に突きつけられた剣なんです。
作家は人生の中で多くの物語を書きます。経験したこと以上の物語を書きます。つまり、経験に基づいた少しのお話と、経験に基づかない大多数のお話に分けられるのです。そして、経験に基づかない話は、経験に基づく話を土台にしてその上に乗っているのです。土台は大きいほどたくさん上に乗ります。だからこそ、経験を大切にしてください。小説において、経験は貴重な財産なんです」
『なるほどなあ……』
『経験って大事よね』
『ちょっと感動したわ』
黒「先生……」
メ「あの、先生……」
ギ「はい?」
メ「ずっとおっぱいを見ながら偉そうに話をするのを、やめてもらってもいいですか?」
ギ「いえ、見ていませんよ。誘っているのかと思ってつい」
『おっぱいロボww』
『クソみたいなロボットだなwww』
『今の話、全部忘れたわwww』
メ「では、次のテーマにいきましょう」
黒「先生、お話はどうやって考えますか? この作品は四百話以上ありますが、ネタは尽きないですか?」
ギ「お話は特に考えていないですね」
メ「考えていないとは?」
ギ「勝手にキャラクターが動くというやつですね。なので私がやることは、場を用意して、そこにキャラクターを置いてやる。そして、その背中をちょんとつついてやる。そしたら、みんなが勝手に動き出すんです。それを文字にするだけです」
メ「ちょっとなにを言っているのかわかりませんね」
ギ「有名な話がありまして。『ドカベン』を描いた水島新司先生の逸話です。岩鬼が三振するネームを描いたのに、実際にペン入れをしたらホームランを打っていた、というものです。作者の意思を、勝手にキャラクターが上回ってきたんです」
メ「とんでもない逸話ですね!」
ギ「はい。これは究極形ですが、目指すべきはこれです。私は常に、キャラクター達と頭の中で会話をしています。いつもです。頭の中でキャラクターを育ててください。仲良くなってください。そうすれば、勝手に動き出すんです」
『むっずw』
『常人には無理だろこれw』
『やべー話やんけwww』
メ「それで先生!」
ギ「はいはい」
メ「私、小説を書いてきたのですよ!」
ギ「ほほう」
黒「ええ!? いつの間に?」
メ「読んで寸評してもらえますか!?」
ギ「いいですとも。どれどれ」
刺股転生〜追放されたSランク悪役令嬢のおっさん(35)が辺境でのんびりダンジョン配信。俺だけ無限レベルアップでハーレムハーレム!〜
ババババババ!ドドドンドドドン!
ヒュー!ドンドンドン!
その青い目の男は(右目は青く左目は赤い)右手に持った刺股を振り回した。
「お前ら...死にたくなかったらどくんだな。」
ババババ!わー!ドンドンドン!
狂気の暗黒使徒と呼ばれたサクリファイスは超越者としてのパワーを解放させた。
「レベル864スキル発動...「ダークインフェルノ」。」
漆黒の炎がサクリファイスの左手から迸った!ジュワアアアアアアアア!
あたり一面を焼き尽くした昏き炎はモンスターを一瞬で炭に変えた。
「あれはレベル100の高レベルモンスター!レベル100の高レベルモンスターを一瞬で炭に変えるなんてAランク冒険者でも無理だぞ。」
「俺をそんな奴らと一緒にするな。」
サクリファイスは疼く左手を押さえながら言った。その時ダンジョンの奥から金髪の巨乳少女が走ってきたようだ。
「サクリファイス様ー!」
メ「どうでしょうか!?」
『ぶほッwww』
『やべえw』
『即デビューだろこれ……』
黒「ぷっ」
メ「今、笑いましたか!?」
黒「いやいや」
メ「先生! どうですか!? 小説家になれますか!?」
ギ「いいですね。いくつかの部分を直せばなれますよ」
メ「本当ですか!? どこでしょうか!?」
ギ「まず、段落の頭は字下げしてください」
メ「字下げ!?」
ギ「逆にセリフの鉤括弧は字下げしないでくださいね。あと、括弧の終わりの句点はいりません」
メ「なるほど!」
ギ「感嘆符と疑問符は全角文字でお願いします。!ではなく!です。そのあとに空白を入れるのも忘れずに。三点リーダは……このように二個単位で使います」
メ「メモ! メモを取りませんと!」
ギ「鉤括弧の中に同じ鉤括弧は使いません。『』を使うようにしてください」
メ「すごい! 勉強になります!」
ギ「35などの数字は三十五のように漢数字にするか、35のように全角数字にするとよいかもしれません」
メ「ハァハァ、そんなプロしか知らないテクニックを教えてもらってもいいのですか!?」
ギ「構いませんよ」
『基本テクだろwww』
『なんでロボのくせにそんなんも知らないのww』
『落ち着けw』
ギ「校正したものが、こちらです」
矢と炎が飛び交い、炸裂した。その青と赤の目を持つ男は、右手に構えた二股の槍を振り回した。
「お前ら……死にたくなかったらどくんだな」
男に向かって矢が降り注ぐ。逃げ惑う冒険者達。狂気の暗黒使徒と呼ばれたサクリファイスは、超越者としての力を解放させた。
「レベル864スキル発動……『ダークインフェルノ』」
漆黒の炎がサクリファイスの左手から迸った。昏き炎はあたり一面を煮えたぎる溶岩に変え、怪物を一瞬で消し炭にした。
「あれはレベル100の高レベルモンスター! 奴を一瞬で炭に変えるなんて、Aランク冒険者でも無理だぞ」
「ふん、一緒にされては困る」
サクリファイスは疼く左手を押さえながら言った。その時、ダンジョンの奥からIカップの金髪爆乳メイドロボが走ってきた。
「サクリファイス様ー!」
メ「すごいです! 一気に小説っぽくなりました! 他になにか、いいところはありますか!?」
ギ「もちろんありますとも。最後に出てきた金髪巨乳は最高ですよ」
メ「やりました! 褒められました! ご主人様!」
黒「よかったね……」
メ「では、これでインタビューを終わります。ギガントメガ太郎先生! 今日はありがとうございました!」
黒「ありがとうございました」
ギ「こちらこそ、ありがとうございました。お二人とお話できて楽しかったです」
メ「では、全国の小説家を目指す方々に向けてアドバイスをお願いします!」
ギ「おっぱい」
黒「おっぱい」
メ「ありがとうございます! 今日の配信は以上となります! 皆さん、さようなら!」
『おっぱいw』
『おっぱいw』
『おっぱいぱいwww』




