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うちのメイドロボがそんなにイチャイチャ百合生活してくれない  作者: ギガントメガ太郎


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390/510

第390話 浅草場所です! その三

 一回戦取組表


 Aブロック

・第一試合 ◯黒乃山xルベール

・第二試合 ◯マッチョメイドx梅ノ木小梅

・第三試合 ◯マヒナxフォトン

・第四試合 ルビーx◯コトリン


 Bブロック

・第五試合 藍ノ木藍藍xマリー

・第六試合 メル子x黒メル子

・第七試合 サージャx黒ノ木鏡乃

・第八試合 ノエノエxアンテロッテ



『一回戦Bブロックのォ! 戦いが始まりまァす!』

『Bブロックも曲者揃い。どんな戦いが繰り広げられるのか、見ものですね』



 ・第五試合 藍ノ木藍藍xマリー


『土俵に上がりましたは、デキる女こと藍ノ木藍藍(あいのきあいらん)選手ゥ!』

『藍ノ木選手は大手ゲームパブリッシャー、ロボクロソフトの若手プロデューサーです。先ほどの試合に登場しました、プログラミングアイドルロボのコトリン選手のマスターであり、最強の横綱藍王(らんおう)関の妹でもあります。そして黒乃山が社長を務めるゲームスタジオ・クロノスが発売する新作ゲーム『めいどろぼっち』に対抗して、『おじょうさまっち』をぶつけてきました。黒乃山のライバルといえる存在です。また黒乃山の高校時代の同級生であり、どうやら過去に二人の間でなにかあったらしく、確執があるようです』

『設定を盛りすぎて、読者も困惑だァ!』


 藍ノ木はピチリとした藍色のスーツに、藍色のマワシを巻いて現れた。その威容は横綱を彷彿とさせ、頭の上にまとめられた大きなお団子は、大銀杏かと錯覚させた。


『その藍ノ木選手に対するのはァ! 我らがお嬢様、マリー・マリー選手だァ!』

『体が小さい中学生ですが、運動神経は抜群。決して侮ることはできない相手です』


 金髪縦ロールにシャルルペロードレス、金色のマワシを巻いたお嬢様が、土俵の上で優雅に塩を撒いた。


「マリーさん、おじょうさまっちの企画者である貴方とは戦いたくはございませんが、これも勝負、容赦をしませんわよ」

「望むところですわー! おじょうさまっちの販売元といえど、手加減抜きで参りますわー! オーホホホホ!」


 二人は土俵の上で見合った。藍ノ木がしきり線の上で構えているのに対して、マリーは土俵際まで下がった。


『おや? ずいぶんと距離を取った立合いですね』

『なにかをやらかしそうです』


 その時、客席からざわめきが広がった。皆口々になにかを叫び、上空を見上げている。


『なんだあッ!? なにかが空を飛んでいるぞォ!?』


 お嬢様は両手両足を広げて、その飛来物を迎えた。それは金色に輝く金属製のパーツであった。


『ああッ!? 飛んできたパーツが次々にマリー選手の体に装着されていくゥ!』


 マリーに装着されたパーツは、黄金色に輝くバトルスーツとなった。


「オーホホホホ! マリー家がクサカリ・インダストリアルに特注した、お嬢様専用戦闘礼服三型『マリアンマン』でございますわー!」


 マリアンマンはガチャンガチャンと音を立てて歩き、しきり線の前に立った。


『先生ェ! これはルール的にありなんでしょうかァ!?』

『まあ、戦闘能力を備えたロボットがありなら、これもありと言いたいところではありますが……』


 審判団が土俵に上がろうと詰め寄せた。しかし藍ノ木は彼らを片手で制した。そして改めて腰を落として構えた。


『やる気だァ! 藍ノ木選手はやる気でェす!』

『マリアンマンがなんぼのもんじゃい。こちとら横綱の妹やで。かかってこんかい。と言いたそうな顔ですね』


 審判団は渋々元の位置に戻った。その途端、観客達が両者に大声援を送った。それを皮切りに二人の戦いが始まった。


『マリアンマンのマシンガン張り手だァ!』

『凄まじい連打です。しかし藍ノ木選手、それをすべて前さばきで撃墜しました』


 足からのブーストで土俵際を素早く移動するマリアンマン。背後を取り、藍ノ木の背中から襲いかかった。そのまま背中を押され、送り出しで決着かと思われたが……。


『動かなァい! 藍ノ木選手ゥ! 土俵際で耐えているゥ!』

『マリアンマンの全力ブーストでも歯が立ちません。どういう力をしているんでしょうか』


「まだまだですわー! 最終兵器『マリビーム』ですわー!」


 マリアンマンの胸の装甲が左右に開き、レンズが現れた。そのレンズが赤熱し、一本の線が照射された。それは徐々にごんぶとレーザーへと育っていった。


『危なァい! 死人がでるぞォ!』

『これはさすがに反則ですね(笑)』


 藍ノ木は流れるような動きで右手を大きく回した。その動きに沿うようにマリアンマンの体勢が流されていく。ブーストの方向を強制的に変えられたマリアンマンは、遥か彼方にぶっ飛んでいった。そして星になって消えた。


『ああッ! 藍ノ木選手の投げでマリアンマンがお星様になりましたァ!』

『決まり手「打ち上げ花火」で藍ノ木選手の勝ちです』

「お嬢様ー!」



 ・第六試合 メル子x黒メル子


『続いての試合はァ! なんとメル子選手同士の戦いだァ!』

『奇跡のマッチが実現しました。メル子選手は言わずと知れたメインヒロイン。対する黒メル子選手は、メル子選手のリビジョン違いのAIがインストールされたロボットです。ボディは変態マッドサイエンティストロボである、ニコラ・テス乱太郎が作成しました』


 二人のメル子は土俵の上で睨み合った。


「とうとう決着をつける時がきましたね。どちらが本当のメル子か勝負です」

「ぶくぶくとお乳だけ育ったメイドロボには負けませんよ」


 その言葉に顔を真っ赤にしたメル子は、ロボ盛り塩を掴むと、それを黒メル子目掛けて投げつけた。それに腹を立てた黒メル子も、お返しにロボ塩をぶちまけた。二人はお互いの顔に塩を塗り込み始めた。


『あーあー、取組前にひどい有様だァ!』

『醜い争いですね』


 なにはともあれ勝負が始まった。二人は土俵中央でぶつかり揉み合った。メル子の(アイ)カップと黒メル子のAカップも同様に揉み合った。

 徐々にではあるが、お乳の重さで勝るメル子が黒メル子を土俵際に追い込んでいった。


「ふふふ、その程度ですか。やはり貧乳では巨乳に勝てないということが、証明されてしまいましたね!」


 黒メル子の目が光った。「それは真理だと思いますよ、うふふ」


 その時、異変が起きた。観客達もなにかに気がついたかのように指をさした。


『なんだァ!? これはどういうことだァ!?』

『いつの間にか黒メル子選手のお乳が膨らんでいますね。いや、メル子選手のお乳も萎んでいます』


 その事実に気がついたメル子の顔がみるみるうちに青ざめていった。力が抜け、逆に土俵際に追い込まれた。なすすべなく土俵の外に送り出されるメル子。土を噛んで見上げるAカップメル子、見下ろす(アイ)カップ黒メル子。


「おや? どこにいきましたか? お乳で足元が見えませんね」

「……」


『勝負あったァ!』

『「乳もぎ」で黒メル子選手の勝利です』


 メル子はおぼつかない足取りで黒乃山の元へ帰ってきた。


「ううう……ご主人様……メル子は貧乳ロボになってしまいました……許してください」

「まあ……大会が終わったら返してもらいにいこうか……」



 ・第七試合 サージャx黒ノ木鏡乃


 客席が静まり返った。いや、拝んでいた。皆、手を合わせて拝んでいた。土俵に顕現した神の使いを拝まずにはいられなかった。


『とうとうでてしまいましたァ! 今大会最注目の選手ゥ!』

『ここ浅草寺のお隣、浅草神社の御神体ロボにしてメイドロボのサージャ様ですね。この方が出場してくれるとは思いもしませんでした』


佇立(ちょりっす)佇立(ちょりーっす)武夷(ぶい)武夷(ぶい)


 寄せられる祈りにダブルピースで応える巫女の姿は、戦い前のものとは思えなかった。

 その様子をキラキラ光る丸メガネで見つめる少女が一人。


「わぁ! わぁ! すごい! 巫女巫女メイドロボだ! すごい!」


『黒ノ木四姉妹の四女、鏡乃(みらの)選手でェす!』

『まさかの尼崎から新幹線に乗っての出場です。いったいどうやって大会にエントリーしたのでしょうか』


「おー、黒ピッピの妹ちゃんの、(みら)ピッピだね〜。そっくりだね〜、マジうけるwww」

「すごい! かわいい! サージャちゃんっていくつなの!?」


『うわああああッ! サージャ様をちゃん呼ばわりだあッ!』

『中学生らしいといえばそうですが。恐れを知らぬ戦いぶりに期待しましょう』


 大騒ぎをしながら試合が始まった。鏡乃はへっぴり腰でヨタヨタとサージャに組み付いた。


『先生ェ! どのような試合展開を予想しますかァ!』

『鏡乃選手は中学生とはいえ、マッチョメイド選手、黒乃山に次ぐ長身を誇っています。体格的には申し分ないでしょう。しかし相手はロボット界の頂点に君臨する巫女。その程度の体格差は……』


 サージャはさば折りを仕掛けられていた。身長差ゆえ、その両足は宙に浮き、踏ん張ることもできずになすがままにされていた。


「すごい! かわいい! 柔らかい! いい匂い!」

「マジ堕歩様(さげぽよ)〜! 離さないと天罰が……ぐええ」


 巫女は鏡乃の腕の中で昇天した。


『あー! サージャ様、ノックアウトだァ!』

『サージャ様はとても偉いロボットではありますが、別に戦闘用ではありませんのでそんなに強くありません。これは盲点でしたね。「さば折り」で鏡乃選手の勝利です』



 ・第八試合 ノエノエxアンテロッテ


『一回戦の最終試合がやってきましたァ! 登場するのは前大会優勝者のノエノエ選手でェす!』

『仕上がっていますね。圧倒的迫力を備えています。ノエノエ選手は月の女王マヒナ選手のメイドロボ部隊「MHN29」のメンバーで、その中でも戦闘を得意とする一人です(182話参照)』


 ノエノエはピンクのナース服ベースのメイド服の上から、ピンクのマワシを巻いて土俵に上がった。

 反対側から現れたのは金髪縦ロール、シャルルペローメイド服の上から金色のマワシを巻いたメイドロボだ。


『対するは、おなじみアンテロッテ選手でェす!』

『アンテロッテ選手は運動性能も体格も申し分ないロボットではありますが、ノエノエ選手と比べるとどうしても非力な印象があります。この差をどう埋めるのか、注目しましょう……おや?』


 その時、客席からざわめきが広がった。皆口々になにかを叫び、上空を見上げている。


『なんだあッ!? なにかが空を飛んでいるぞォ!?』


 アンテロッテは両手両足を広げて、その飛来物を迎えた。それは金色に輝く金属製のパーツであった。


『ああッ!? 飛んできたパーツが次々にアンテロッテ選手の体に装着されていくゥ!』


 アンテロッテに装着されたパーツは、黄金色に輝くバトルスーツとなった。

 

「オーホホホホ! マリー家がクサカリ・インダストリアルに特注した、お嬢様専用戦闘礼服四型『アンアンマン』でございますわー!」


『まただあァ!』

『被せてきましたね』


 しかし、ノエノエの戦闘力には遠く及ばす、あっさりお星様にされてしまったアンアンマン。決まり手『Wish upon a Star』でノエノエの勝ちとなった。


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