第36話 早朝ロケランです!
(皆さん〜、おはようございます〜。リポーターの黒ノ木黒乃です。ただいまの時刻午前五時、早朝です)
黒乃は自分の布団からモゾモゾ這い出ると、カーテンを少し開けて部屋を明るくした。
「それでは今から、メル子に早朝ロケランを仕掛けたいと思います」
押し入れを音が出ないようにゆっくりと開けた。その奥に隠しておいたロケットランチャーを取り出す。大工ロボのドカ三郎に依頼して作ってもらったものだ。一旦ロケランを床に置き、メル子の布団までゆっくりと近づく。
「まずは寝ているメル子を観察しましょう。ああ、ああ。もうめちゃくちゃ可愛い寝顔です。見てください、この美少女っぷりを。私が頑張ってメイドロボのカスタマイズページで設定しました」
メル子はスースーと寝息を立てている。
「やばい。可愛すぎてずっと見てられる。寝顔だけでご飯三杯いけるわ。ハァハァ、チューしたい。あー、チューしたい。よし、するか。イカンイカン、リポートをしなくては」
黒乃はメル子のほっぺを指でつついた。
「柔らかいです。ただ柔らかいだけではなく、押し込めば押し込むほどムニッと押し返してきます。例えるなら天使が作ったおまんじゅう……」
その時、メル子がかすかに動いた。
「しー! しずかに!」
「うーん、むにゃむにゃ。もう食べられませんよ〜」
「ロボ寝言です! 皆さん聞きましたか? ベタなロボ寝言が出ました。なんの夢を見ているのでしょうか。おまんじゅうでしょうか」
黒乃はメル子の足の方へ移動した。布団をまくり上げて足を露出させた。
「はい、出ました。可愛いあんよです。指が五本あります。ちっちゃいですねー」
メル子は両足をモゾモゾと動かしこすり合わせた。
「動いてます動いてます。足が寒いのでしょうか。筆でくすぐってみましょう」
筆の先でメル子の足の裏をこちょこちょとくすぐった。
「ほーれほれほれ。どないやー」
「ウヒ、ウヒヒ。ダメですよ、ご主人様〜。メル子の足で頭を洗わないでください〜」
「なんだその楽しそうなプレイは」
黒乃はメル子の足に顔を近づけた。
「足の匂いを嗅いでみます。クンクン。無臭ですね、残念。イデッ!」
突然メル子の足が動き、黒乃の顔面を蹴飛ばした。
「イデデデ。ご主人様になんてことするんだ、このメイドは」
また頭の方に戻り布団をめくると、上半身があらわになった。メル子は普段赤ジャージを着て寝ている。その赤チャージの胸元が規則正しく上下していた。
「でっか。デデデ、でっか。さすがIカップ。仰向けに寝ていてもこの盛り上がり。信じられません。え? 仰向けでも横に垂れないのは作り物の証拠? ふんふん……ロボットだから人工物に決まってるだろうが!!!」
「ふごっ!? フニャフニャ」
「しー! しー! しずかに……危ない危ない。起こすところでした」
メル子が動かなくなるのをしばらく待った。
「それにしてもでかい。でかいしいい匂いする。このまま一緒の布団で眠りたい。よし、寝るか。イカンイカン、ロケラン撃たないと」
黒乃は床に置いてあったロケランを肩に担いだ。
「それでは、そろそろぶっ放したいと思います。皆さん準備はよろしいですね。3……2……1……ファイヤー!」
ロケランが爆音と共に炸裂し、強烈な光と衝撃を放った。周囲には火薬の匂いと煙が充満した。メル子は大慌てで飛び起きた。
「ゲホッゲホッ! 何事ですか!?」
「テッテレー! メル子さん、おはようございます! 早朝ロケランです!」
「えー? なになになんですか? これ番組ですか? もうしんじらんなーい」
「早朝ロケラン、大成功です! それでは皆さん、また来週!」
(皆さん、おはようございます。現在午前五時、早朝です。私はリポーターの黒ノ木メル子です。よろしくお願いします)
メル子は自分の布団から起き上がると、テキパキと布団をたたみ、押し入れをガラッと開けた。
「それでは今から、ご主人様に早朝ブラスターを仕掛けたいと思います」
押し入れに隠しておいたプラズマブラスターを取り出す。大工ロボのドカ三郎に依頼して作ってもらったものだ。一旦ブラスターを床に置き、プラグをコンセントに差し込んだ。
「まずは、寝ているご主人様を観察しましょう。ああ、口を大きく開けていますね。だからいつも喉を痛めるのです。でも意外と可愛い寝顔ですね」
黒乃はガーガーといびきをかいている。
「皆さん、イメージはないかもしれませんが、ご主人様は丸メガネを外して大人しくしていると、意外と美人さんです。ここで指を口に差し込んでみます。はい、見てください。私の指を赤ちゃんみたいにチュパチュパしていますね。可愛いです。おっぱいをしゃぶっている夢でも見ているのでしょうか。変態ですね」
メル子は黒乃のほっぺをグイっとつねった。
「柔らかいです。引っ張れば引っ張るほどよく伸びます。例えるなら、地獄の閻魔様がこねたお餅……」
その時、黒乃がフゴフゴ言いながら寝返りをうった。
「しー! おしずかに!」
「うーん、むにゃむにゃ。もう食べられないよ〜」
「ぷぷー! 皆さん、聞きましたか? このような漫画みたいな寝言を言うのは、この世でご主人様だけでしょう。お餅の夢でも見ているのでしょうか」
メル子は黒乃の足の方へ移動した。布団をまくり上げて足を露出させた。
「はい、出ました、ご主人様のあんよです。私よりだいぶ大きくて指が長いですねー。手入れをまったくしていないので、親指の爪が割れています」
黒乃は両足をモゾモゾと動かしこすり合わせた。
「動いています動いています。足が寒いのでしょうか。こんにゃくをくっつけてみましょう」
黒乃の足の裏にこんにゃくを貼り付けた。
「ほらほらほら。どうですか、ご主人様〜」
「ウヒャヒャ、グヒャヒャ。メル子のおっぱい踏ん付けるの楽しい〜」
「なんですか、そのドSプレイは」
メル子は黒乃の足に顔を近づけた。
「足の匂いを嗅いでみます。クンクン。うーむ、なんともいえない匂いがします。うーん、もう一度……クンクン。なんでしょう、クンクン。これは……クンクン。なるほど……クンクン」
突然、黒乃の足が動きメル子の顔面を蹴飛ばした。
「アダッ。ついつい十分間も匂いを嗅いでしまいました」
また頭の方に戻り布団をめくると、上半身があらわになった。黒乃は白ティーにパンツ一枚という、とんでもない格好で寝ている。その白ティーの胸元が規則正しく上下していた。
「見てください。私はこれを黒ノ木大平原と呼んでいます。見渡す限りなにもありません。ここをうろついたら遭難確実です! そうコーラを飲んだら、ゲップが出るってことくらい確実なんです!!」
「ふごっ!? フニャフニャ」
「しー! しー! しずかに……危ない危ない。起こすところでした」
黒乃が動かなくなるのをしばらく待った。
「それにしても平らです。でもなにかいい香りがします。このまま布団に潜り込んで寝てしまいましょうか。いけないいけない。ブラスターを撃たないと」
メル子は床に置いてあったプラズマブラスターを肩に担いだ。
「それでは、そろそろぶっ放したいと思います。皆さん、準備はよろしいですね。トレス……ドス……ウノ……ファイヤー!」
プラズマブラスターが起動すると、部屋のあちこちに光球が出現し、放電現象が始まった。その放電が次第に束になり、黒乃へ向けて収束する。大きな音とともに電撃が流れ、黒乃をまるこげにした。
「ぎゅわわわわ! なんだなんだ、宇宙戦争か!?」
「テッテレー! ご主人様、おはようございます! 早朝ブラスターです!」
「えー? なになになんなの? これ番組? もうしんじらんなーい」
「早朝ブラスター、大成功です! それでは皆さん、また来週!」




