No.0002 立ちはだかる2つの巨塔
「うぅ……ん…………あれ? ここは……何処だ?」
俺はどうやらぐっすりと寝てしまったようだ。
眩しくて目がしっかり開けられないが、ここはリラクゼーションサロンではない事は間違いない。ああいうリラックスを目的とした場所は、照明を暗めにするのが基本だから。
とりあえず状況を整理しよう。
俺は深夜に黒髪美女を揉みほぐしてて、浮かれてた矢先に猛烈な睡魔に襲われて、抵抗する暇もなくそのまま寝ちまったんだよな……あぁ折角お近付きのチャンスが……
…………って待てよ?
意識が飛ぶ寸前に、あの黒髪美女は何か言ってたよな?
『貴方の事、凄く婿にしたくなっちゃった♡』だったっけ?
……冗談だよ冗談。
ったく、自分で言っておいて虚しいじゃねぇか……トホホ。
そうじゃなくて、確か……
『貴方の事、凄く気に入っちゃった♡』
うん、確かこんな感じだった。しかも舌なめずりしながら。
って事は、あの急激な睡魔はやっぱりあの黒髪美女のせいか?
あれ……あのまま寝たって事は……お店には誰も……?
「やっべぇ!! 店の売上金パクられた!?」
俺は一気に目が冴えてガバッと身体を起こした。すると……
どむんっ
「あん♪」
弾力のある2つの物体が俺の顔を阻んだ。
そしてその弾力によって、俺の頭部は弾むように再び倒された。
っていうか! 『どむんっ』ってなんだよ『どむんっ』って!?
さらにその上から施術していた時の黒髪美女の声がしたんだけど。
これはまさか……。
「おはよぅ、お兄さん♪」
まさかの下乳きたああぁぁぁ!?
という事は、この後頭部にある心地いい感触は……夢の膝枕でありますか!?
Oh……まさか人生の目標のひとつが、こんなにも早く叶うとはな……
って言ってる場合じゃねぇよ!!
「あのすみません、双丘でご尊顔が見えないのですが……」
「やだ、もう……えっちなお兄さんね」
なぜか緊張してめっちゃ丁寧になっちまったよ。
でも仕方ないだろ! プライベートで美女の知り合いなんていないんだから!
……生物学的に『女』がつく知り合いなんていないんだよ、身内を除いて。
ってほっとけ!!
「えっちとかじゃなくてですね、えっと……施術中に寝てしまって……」
なに動揺してんだよ俺は。とりあえず起きて状況を確認しないと。
とか思ってたら、先に美女さんに回答されてしまった。
「ごめんなさいお兄さん。貴方を寝かせたの、私なの」
まさかの自己申告!? だがこれで犯人は確定した!
このまま動揺したフリしてカラクリを暴いてやる!
「え? 寝かせたって……うつ伏せだったはずですけど?」
「甘い香りには気づいてたかしら? あれに強烈な催眠効果を付与してたの」
あのすっげぇいい香りがそうだったのかっ!?
……って付与? 携帯用加湿器みたいなのに薬を混ぜたのか?
そもそもそんな便利な加湿器あるのか知らんけど。
だとしてもだ、俺にそれを嗅がせて何の意味があったのか?
あるとすれば……俺しかいなかった店の売上金が目的しか考えられん。
やっぱりまず身体を起こしていろいろと確認しないとだよな。
膝枕はめっちゃ名残惜しいけど仕方ない。
「あの、まずはちゃんと向き合ってお話しさせて欲しいんですけど?」
「あら、そう? じゃぁどうぞ、起きてくださいな」
よし、上半身を起こして…………っておぃ。
目の前の双丘が落下してきぶふっ!?
「……わほ……ほへ、ほはひてほはっへふぃふぃへふか?」
「あらあら、私の胸、お嫌い?」
それ全然違うから。むしろご褒美だし。そうじゃないんだよ。
「ふひへふへほ、ひひはへひはひんへふ」
「あらやだ、ごめんなさい♪」
……なぁ父さん、母さん。
俺の人生、ここで終わりにしてもいいですか?
不定期だからと言って、更新が遅いとは限らないのです('ω')
まぁそれはさておき。
一話を短めにしてありますので、読み足りない部分もあると思います。
ですがこれも仕様ですのでご理解いただければと思います。
さて、明日は更新できるかな……?
また3話目でお会いしましょう('ω')ノシ