日本語文法について
日本語文法を知識として知らない、ということについて解説します。
昭和の時代に英語を学習した人(だいたい40代以上)に、「なんでもいいから、頭の中で、『形容詞』を思い浮かべて、それを話してみて下さい。」とお願いすると、「ニュー」とか「オールド」とか、英語で回答する場合が多い。
平成の時代に英語を学習した人(だいたい20代以下)に、同じようにお願いすると、「新しい」とか「古い」とか、日本語で回答してきます。
これは、どういうことかというと、昭和の教育において、「日本語にも『形容詞』がある」ということを教えていないので、この時代の教育を受けた人は、「『形容詞』は英語にしかない」と考えている人が多い、ということです。これに対して、平成の教育では、小学校の高学年、英語の教育を受ける前に、日本語文法を勉強し、『名詞、形容詞、述語、副詞等』が日本語にもあることを学習します。
実は、私たち日本人は、日本語文法を知識として、知りません。知識として知らなくても、決して間違えることがないので、意識することもありません。
たとえば、「です」と「ます」の違いについて、みなさんは知っていますか?
実は、この質問に、素早く正解するのは、圧倒的に日本語を学んだ外国人です。
日本人が正解するためには、次のように考えていかないと、正解できません。
1)例示する 猫です、犬です、笑います、変です、富士山です、高いです。登ります。
2)分類します 猫、犬、富士山、変、高い⇒です 笑い、登り⇒ます
3)仮説 名詞 形容詞 ⇒です 動詞 ⇒ます
4)検証 猫ます、高います、富士山ます⇒NG 笑いです、登りです⇒NG
つまり、「です」の前には名詞か形容詞がつく。「ます」の前には動詞がつく
これが、正解です。外国人は、日本語学校でこれらを教えられるので、すぐに正解します。
ただ、日本人で正解できる人は、正直わたしの経験では、2-30%かなぁ、という感じです。
日本人の場合、乳幼児の頃から、「ぼくは男の子ます」みたいに何回も間違えて、「ぼくは男の子です」と何回も親に訂正され、友達からからかわれて、経験則として日本語文法を覚えていきます。だから、ルールとして知識としてそれを引き出すことが難しくなっているのです。
日本語文法という法則があるんだけど、木からリンゴが落ちるように、当たり前のように、正しい日本語が頭の中でクリエイト(生成)されるので、その法則(日本語文法)に気づけない。それが、私たち日本人の日本語文法に対する感覚だ、と思います。
英文法を学習する時に、日本語文法を考えていく。そのことによって、日本語の法則を発見するかもしれません。日本語文法が、あまりにも自由奔放、悪くいえばグダグダすぎて呆れることもあるかもしれません。でもそうやって学習した英文法はあなたの中にしっかり根付きます。そして、日本語の再発見にもなります。
「英文法は、こうだけど、日本語文法の場合はどうなんだろう」そう考えることが重要です。
そして、お父さん、お母さん、もしお子さんが、英文法のことで煮詰まっていたら「日本語の文法の場合はどうなのかな?」と言ってみて下さい。
読んでいただいてありがとうございます。