第8話「騎士団と誤解と誇りと」
ありがとうございます。
夏男は気づいた。
騎士団全員が自分を睨みつける強い意志に……
正義を漲らせた騎士達は槍を構え、
夏男へと突進する。
ウィンドウが瞬時に夏男の前に現れた。
騎士団×12。
(仕方ない)
夏男は倒してから誤解を解くことに決めた。
【スキル】→【水魔法Lv1】→【長き水の槍LV1(全体)】→【発動】
夏男の周辺から12の魔法陣が浮かび、
魔法陣の中央から槍をかたどった水が騎士団へ襲い掛かった。
騎士達の反応は機敏ではあったが、
どこか見覚えのある魔法に一瞬の躊躇いをみせ、
盾を貫き、騎士達は馬から倒れた。
騎士達に27のダメージ
騎士達は立ち上がっているが攻撃してくる様子をみせない。
(さすがに騎士団。思っていた以上に固い)
次のターン移動しようとした瞬間、
ウィンドウは表示した。
騎士団は何かを訪ねようとしている。
YES/NO
俺はYESを選択し、戦闘は終わりを告げた。
奥にいた騎士が前に出てくる。
鎧越しでも分かる力強さ、
背中に背負った巨大な斧。
「私の名はアッテンブル騎士団団長、フィルノア・アックス。
貴殿の名を伺いたい」
(多分、ここ次第で状況が変わる)
俺は深呼吸し、心を落ち着かせる。
「俺の名は秋山夏男……冒険者だ」
騎士達は互いを見回し何かを話し合っている。
「ありがとう、秋山夏男殿。
我々は貴殿の放った魔法、ウォーターランスについて聞きたいことがある」
どうやらストッキングのことではなかったらしい。
(誤解はとけたようだな…)
「その前にいいだろうか、後ろにいる盗賊達の捕縛を手伝ってほしい」
フィルノア・アックスは頷く。
「了解した!お前たち盗賊どもを縛り上げろ!」
こうして俺は盗賊の捕縛を手伝い、
騎士団と共に城へ向かった。
城に近づくにつれ、
自分がゲームでみてきた城はおもちゃみたいなものだったと思う。
そこかしこに真剣な顔つきの兵士たちが目を光らせ、
関所に並ぶ人達の顔には悲壮感や希望が漂っている。
関所に詰めていたいかにも隊長という感じの兵士と
その部下数人が騎士達に駆け寄ってきた。
「お早いお帰りでようございました!我等トゥルークの兵士
アッテンブル騎士団に感謝を!」
喜びにあふれた敬礼をした。
騎士達は胸に手を当てる。
「我等アッテンブル騎士団、王と民を守るトゥルークの誇り高き戦士達に
感謝を!」」
騎士達もその返礼をする。
(ここって割とよさそうだな)
兵士は俺に気づき、
素性を騎士に尋ねてきた。
「失礼ですが、この方は?」
「この方は秋山夏男殿、我等より先に単騎にて
後ろにいる盗賊共を倒した、誇りある冒険者だ」
(強そうな人に褒められるは初めてで照れるな…)
隊長は驚いた顔で俺をみつめると
手を胸に当てた。
「トゥルーク第3警備隊隊長 カーネス・ヨハンと申します。
秋山夏男殿兵士一同に代わり、心より貴殿を歓迎いたします」
自信と誇りに満ちた敬礼。
俺も胸に手を当ててみる。
「ありがとうございます! カーネル・ヨハンさん!」
カーネスさんは微笑み、頭を下げた。
(こういう大人になりたかったな)
現代では味わうことのなかった誇りある挨拶に
強い感激を抱いて、俺は大きな門をくぐり、
城内へ入った。
ありがとうございました。
できる範囲で
丁寧に進めて行きたいと思います。