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ユージンの告白

エルがいなくなって一週間。

それまで毎日一緒にいたからさみしさがつのる。


「あの従者のことを考えていたでしょう?」

いたずらっぽくユージン様が言われる。


「はい…」

私は恥ずかしくなりうつむく。


「彼ならあなたのために竜の鱗を見つけてくるでしょう。私はライバルがいない間にあなたの心をいただかなくては」

ウインクされる。

それがとても決まっていて私は赤くなる。


「かわいいエスメラルダ様。私と婚約はしていただけるのですか?」

テーブルの上で指を組み、私を見つめる。


「私は…」

私はまだ悩んでいた。

エルのプロポーズのことが気にかかる。


「私は男色家ではありません。恋愛対象は女性です。なぜ、あのような噂がたったか知りませんが、おかげで全くもてません」

手を広げて首をふる。

お茶目なしぐさに私もつられて笑う。


「私はね、以前あなたにお会いしたことがあるのですよ。そう…三年前」

初耳だ。びっくりする。


「王家主催の舞踏会でお会いしました。私は18、あなたは13でしたね。あなたはほかの令嬢たちにかの従者を悪く言われて怒ってらっしゃいました」


ユージン様はじっと私を見つめる。

「そのときのあなたの可憐ながらも凛とした姿に心を奪われてしまいました」

私の手をとる。


「あなたがご病気をされ、社交界から遠ざかっても忘れたことはありませんでした。今回、幸運にもこの話がもちあがり私も舞い上がっています」

私の手にやさしくキスをする。


「たとえあなたのご病気が治らなくても愛は変わりません」


この告白は私の胸に響いた。

私はドキドキと胸が高鳴るのを感じた。

(エル、私は婚約を受けてしまいそうよ。早く帰ってきて…)


「婚約のお返事は急ぎません。従者が帰ってきてからで大丈夫です」

ユージン様はやさしく頬笑むとお茶を飲まれる。

大人の余裕を感じた。


(この方となら幸せにしてもらえそう)


そう考え、またエルのことを思い出す。


(エルも幸せにすると言ってくれた。私はどうしたらいいんだろう)


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