9話 冒険の予感
ユスティーツに帰って来た勇貴は、その足で直ぐにギルドに向かった。
「こんにちは、レティさん」
「!ユウキさん...昨日からスチル草の依頼に行ってたんじゃ...!何かトラブルがありましたか?」
「あっいや、トラブルとかじゃなくてその...スチル草の依頼終わったのでその報告に...あの~レティさん?お~い」
「...あっ!すいません!..ユウキさんが普通1週間位かかる依頼を1日でやって来たと言う夢を見ていました。すいません!」
「...いや、夢じゃないですよそれ...」
「え...じゃあ本当に...ちなみにスチル草はどの位採って来ましたか。」
「え~と、345本ですね!」
「さっ!さんびゃく...すいませんが一緒にギルドマスターの部屋まで来ていただけませんか?」
「はぁ~?ま~いいですけど」
そして勇貴は、レティに連れられギルドマスターのギドの部屋に来ていた。
「お~レティ...とユウキか...てかお前ギルドの依頼で昨日森に行ったんじゃなかったか?」
「ギルドマスター..その件でお話が...」
「?..なんかトラブルか?」
「いえ..その..ユウキさん..もう依頼を終えて来たみたいで」
「はぁ?もう終わったて...本当か?」
ギドはそう言って勇貴に顔を向けてきたので、勇貴はそれに答えた。
「ああ、終わったぞ」
「...まぁ~いいからそこに座れ...で...スチル草はどんだけ採って来た。」
「..345本だ」
「さっ!さんびゃく!...お前..そりゃ」
「?うん...もしかして少なかったか?」
「多すぎるんだよ!!!..はぁ~まぁ~全部がスチル草って訳じゃないと思うが...それでその森には地竜がいたはずだが...出て来なかったか?」
「出てきたぞ、すごいでかかったな」
「!..やっぱりまだ居やがったか...こりゃ王都かダンジョン都市に依頼を出さないとまずいなぁ~」
「?地竜なら倒したぞ」
「はぁ?...お前、地竜を一人で倒したってのか!」
「ああ、解体もして素材もちゃんと持って来てるぞ」
勇貴がそう言うとギドは頭を抑え少し黙った後に呆れたようにため息をついた。
「....はぁ~...わかった取り敢えずスチル草は全部買い取る...地竜は..鑑定しないと分からんが...すまんが全部は買い取れないだろう、だが出来るなら鱗と肉を少し買い取りたいが...いいか?」
「ああ、自分は問題ない..素材はまた倉庫に出して置けばいいか?」
「ああ、そうしてくれ...報酬も明日には用意する。それとユウキ..お前これからどうするんだ」
「?..どうするって?」
「何かやりたいこととかどっかに行ってみたいとか..まぁ~ユスティーツに居るってんならこっちは大歓迎なんだが...前も言ったように俺じゃ~お前をBランクにしか上げられない、お前は一人で地竜を倒すほどの実力だ最低でもA...いやS位の実力を持っている。だからいずれここを出てくんならダンジョン都市か王都に行った方がいいと思ってな…でどうするんだ?」
「う~ん、別にランクとかはあんまり興味ないけど…でもこの世界のいろんなところを見て回りたいとは思ってる」
「うん、なるほど..じゃ~なおさらランクを上げろ...この世界を見て回るんならとにかく強くなれ、強さを証明するのにギルドカードのランクが一番分かりやすい、それにギルドカードはこの世界共通だからな!...それとパーティーを作れ..一人ではいずれ限界が来る」
「..パーティーですか...でも自分いろいろと知られると面倒な事が...」
「うん?まぁ~お前いろいろと隠してそうだからな...じゃ~奴隷でも買うのか?」
「...やっぱり奴隷が居るんですか?」
「うん?まぁ~この町には奴隷商は無いが...ダンジョン都市や王都なら...奴隷買う気か?」
「...奴隷なら秘密を守れるかなぁと」
「そりゃ~魔法で契約してるからな...まぁ~そこはお前に任せるが...」
「はぁ、じゃ~次はダンジョン都市に行きたいと思います。」
「そうか、まぁ~それが良いだろな..おっと話が長くなったな、それじゃ~下で倉庫に素材と依頼完了の手続きしてきてくれ..レティ後は頼む」
「はい「はい」..ではユウキさんこちらへ」
ギドの部屋から出て倉庫にスチル草と地竜の素材を少し出した後、受付に戻り依頼完了の手続きをした。勇貴は手続きが終わるとレティにお礼を言うとそのまま宿屋安らぎの森へと帰る事にした。ギルドを出ると日がもう沈みそうになっていた。安らぎの森に帰ると女将さんに夕食を用意してもらい、夕食を食べ終えると自分の部屋に行きベッドに潜りこみ眠った。