38話 意地悪な笑み
エテル・ノーネクの言葉に一番に反応したのは勇貴ではなくウルだった。
「なっ!そんな!勝手に!ご主人様のステータスを見るなんて失礼です!」
ウルが立ち上がりエテル・ノーネクに怒りをぶつける。
「まっまあまあ、ウル落ち着いて..ほら座って」
「...はい」
勇貴の言葉にウルは渋々従う。
「...本当に申し訳ないと思っているわ..ごめんなさい」
エテル・ノーネクは勇貴に深く頭を下げた。
「あっ頭を上げてください!別に自分は気にしてませんから」
勇貴の言葉でエテル・ノーネクはゆっくり頭を上げる。
「..ありがとう、ユウキ君は..優しいのね」
「いっいえ、自分は..」
「ふふっ、それで..そのお詫びって言うわけでもないんだけど何か私に聞きたい事とか困った事があったら言ってちょうだい、大抵の事なら何とかして見せるから、あっ!ウルちゃんとフウちゃんも..ね」
「あっありがとうございます」
「わっ!私達も..ですか?」
「ええ、遠慮しないでね」
そんな事を話しているとフウが何かを思い付いたのか手を上げた。
「はい!」
「おっ!どっどうした?フウ?」
「フウ?」
「あら?フウちゃんは私に何か聞きたいことでもあったのかしら?何?何が聞きたいの?」
「どうしたら..どうしたらそんなにおっぱいおおきくなりますか? 」
「あら!」
「なっ!」
「こっこら!フウ!」
フウの質問に皆は驚いた。しかしエテル・ノーネクはフウの質問に笑顔で答えた。
「う~ん、そうね~..この胸は特別何をしたって訳でもないのよね~」
エテル・ノーネクは自分の胸を腕組みをした腕で持ち上げながらそう言った。
「そうなの?」
「そうなんですか!」
「あら?ウルちゃんも気になっていたの?」
「あっ!いえ、私は、そっそんなに..は」
「ふふっ、別に遠慮しないで良いのに...でも本当に何もしてないのよね~..あっ!でも好きな人に揉んでもらうと大きくなるって言うのは聞いた事あるわね」
「ほんとう!」
「むっ胸を..私の胸を..ごっご主人...さ..まに...」
ボォ!
エテル・ノーネクの話しを聞いたフウは前のめりになり、ウルは顔を真っ赤にし頭から湯気を出している。
「ちょっちょっとストッープ!その話しは自分のいない所でまた後で話してください」
「あら?どうして?」
「どうしてって、もう分かるでしょう」
「ふふっ、さぁ~どうかしらね、それよりユウキ君は何か私に聞きたいことはないの?何でも良いのよ?例えば..私のスリーサイズ..とか?」
「なっ!」
「そうね、上からひゃく「ストッープ!!」」
「何!さらっと自分のスリーサイズ言おうとしてるんですか!」
「あら?知りたくないの?」
「いや、それはどちらかといえば知り..ってそうじゃなくて!もう、勘弁してください」
「ふふっ、ごめんなさいユウキ君の反応が可愛いからつい..ね、それじゃあ~本来の目的のお話しに戻りましょか」
「そっそうです!自分達をここに呼んだ理由まだ聞いていませんよ!」
「そうね~ユウキ君がユスティーツのギルドマスターのギドから私宛の手紙を届けてくれたのは覚えてる?」
「はい、覚えてますけど」
「その手紙にね、君の事をよろしく頼むって書いてあったの」
「自分の事を..ですか?」
「ええ、それでここに君を呼んだ目的の一つは君の人となりを見るためよ」
「それで、自分は..」
「まぁ~悪い人じゃなさそうかな~ってところかな」
「そっそうですか」
「ふふっ、あっ!それと手紙に地竜を一人で倒したって書いてたけど..本当?」
「ええ、はい一応本当です。」
そう勇貴が答えるとエテル・ノーネクの目が少し細くなったように見えた。
「へ~そっか..じゃ~やっぱり」
「やっぱり?」
「..君、本当のステータス隠してるでしょ?」
エテル・ノーネクの言葉に勇貴は驚いた。
「えっ!何で!...はっ!」
「ふふっ、やっぱりね」
エテル・ノーネクは勇貴の言葉で確信したのか少し意地悪な笑みを浮かべた。