28話 戦闘訓練
勇貴達は準備が整うとシゼン・トウタのダンジョンへとやって来た。
「..ここが..ダンジョン..」
「?..ウルも来たことが無かったのか?」
「はい」
「でも、ランクアップのために魔物と戦ってたんだろ?」
「はい、私はダンジョン都市の外にある森などで魔物を倒していました。ダンジョンは罠があったりダンジョンの知識がないと危ないのでダンジョンでの戦闘は今日が始めてです。」
「そうだったのか、罠は自分が見つけて解除していくから安心してくれ、今はウルとフウの戦闘能力の把握、その後ランクとレベルのアップをしたいと思うけど大丈夫か?」
「はい」
「...はい」
フウは元気良く返事をしたがウルはどこか落ち込んだように返事をした。
「ウル?どうかしたか?」
「あっ、いえ、すいません...ご主人様..あのお話は本当なのでしょうか?」
「あの話し?」
「私がランクが上がらないと聞いて..ご主人様が私を鑑定して下さったあの時、ご主人様は私はまだランクアップできると..確か..条件があるとか」
「ああ、その話か..その話なら本当だ、ウルも聞いていたと思うけど自分の鑑定は特殊で普通の鑑定で見れない物も見える。」
「はい、聞いていました。」
「うん、おにぃちゃんはすごいの!」
「ははっ、ありがとう..っでだ、ウルを鑑定した時ランクアップに条件がでてたんだ..え~と確か..レベル100以上でランクE以上の魔物を10体倒すだったな」
「..ランクE」
「そうだ」
「確かに私達が戦闘訓練する時に戦う魔物は安全のために自分のランクよりも低い魔物がほとんどでした。」
「まっ本当かどうかは実際にやってみたら分かるさ、ウルはもうレベル100以上だから後はランクE以上の魔物を10体だな..ウル」
「はい」
「ウルはFランクになってから一度もEランクの魔物を倒してないのか?」
「いえ、ランクEのポイズンスネークとマヒオオガエルの2度ほど倒したことがあります。」
「そうか、じゃ~後8体か..まっ!ランクEの魔物は20階層よりしたじゃないと出てこないからその時だな!」
そう勇貴が言っているとフウが勇貴の袖を引っ張ってくる。
「うん?どうした..フウ」
「おにぃちゃん..フウは?」
「うん?..ああ!フウはまだランクアップの条件出てないから普通に戦っててもランクアップすると思うぞ」
「そうなの?」
「そうだよ、あっ!でもフウはまだランクGだからあんまり無理するなよ」
「はい、おにぃちゃん!」
そうフウが言うと勇貴の足に抱き付いた。
「おおっ」
「こっこら!フウそんなにご主人様にくっつかないの!」
「まあまあ、フウ今はダンジョンの中で危ないからそういうのは外に出てからな」
勇貴がそう言うとフウは名残惜しそうな顔で勇貴の足から離れた。
「..はい、ごめんなさい」
「うん、フウはちゃんとごめんなさい出来て偉いな!よしよしよし!」
勇貴はそう言うとフウの頭を撫でる。すると暗かったフウの顔に笑顔が戻った。
「うっ、うん..わぁ~ふぅ~」
「....」
「そう言えば..フウは戦闘訓練する前に病気で倒れたんだったよな?」
「うん、そうだよ」
「..そうだよな」
「ご主人様、どうかしましたか?」
「いや、それにしてはフウのランク高いなぁと思ってな、普通フウ位の年だと、ほとどランクHとかそこらだったからな」
「それは、恐らく..私達が村で狩りをしていたからだと思います。」
「狩りか..魔物を狩ってたのか?」
「いえ、魔物ではなく普通の動物です。ですが狩りの際に何度か魔物を倒した事はあります。ランクHのゴブリンなどがほとんどですが」
「そうか..それだけ出来ればこの階層は大丈夫かな?まぁ自分もサポートするし今日はまずウルとフウの戦闘方法を確認しながら進むぞ」
「はい、ご主人様」
「わかった。おにぃちゃん」
「じゃ~まずウルとフウが何回か魔物と1対1の戦闘してみて,その後ウルとフウの2人で魔物と2対2、その後は自分も合わせて3人で連係の確認してみよっか?」
「はい」×2
「よし!行くか!」
その後、ウルとフウは1対1、2対2の戦闘を難なくこなし3人の連係を確認する頃には10階層のボス部屋に来ていた。