26話 天使の寝顔
勇貴達が宿屋『黄金の林檎亭』に帰ってくると勇貴は自分が借りている部屋が1部屋だということを思い出す。
「あっ!そう言えばもう1つ部屋を借りないとなぁ」
「どうしてですか?」
「うん?ウルとフウの部屋を借りないとだろ?」
「ご主人様、私達のために部屋を借りる必要はありません」
「えっ..でも自分が借りてる部屋1人部屋だし3人だと狭いぞ、それにベッド1つしかないし」
「私達は床で大丈夫です」
「いや、それはダメだ!」
「でっですが!」
「良いから良いから」
その時フウが勇貴の袖を引っ張った。
「ごしゅじんさま、ふ..わたしはごしゅじんさまといっしょがいい..です」
「よし!一緒の部屋にしよう!」
それから受付で3人部屋が無かったので2人部屋に変えてもらった勇貴達は部屋に移動した。
「ご主人様、フウがすいません」
「いや、良いから..それと..さ別に「ご主人様」とかムリに言わなくても良いよ?」
「いえ!ムリなどしていませ!ご主人様はご主人様ですから!」
「そうか?...おっ!フウなんかあるか?」
「.....おにぃ..ちゃん?」
「ぐはぁぁ!」
「ご主人様!」「ごしゅじんさま!」
「だっ大丈夫だ」
「でっでも..はっ鼻血が」
「いや、本当大丈夫だから」
「ごめんなさい..フウのせい」
「いや!いやいや違うぞフウ、さっきのはなフウが可愛い過ぎてな..言わば嬉し鼻血なんだよ」
「かっかわいい....じゃあ、「おにぃちゃん」って呼んでもいいの?」
「おっおう、いいぞ」
「...ご主人様、また鼻血..出てますよ」
「えっ!あっ!おっとと」
「フウ、でも他の人がいるときは「ご主人様」と呼ぶようにしないとダメよ」
「はい!」
「別に自分は気にしないけど?」
「ダメです。私達奴隷がしっかりしてないとご主人様の品位が疑われてしまいます。」
「別に自分は..」
「ダ・メ・で・す」
「わっ分かった、それで良いから...そっそうだ!もう遅いから寝よう?なっ?」
「そう..ですね、もう遅いですし...フウも限界みたいですし」
そうウルが言うと勇貴とウルはフウ見る。するとフウは首をこくこくとさせて眠そうにしていた。
「ではご主人様、私達はこちらのベッドを使わせていただきます。」
「ああ」
「ほら、フウもう少しです。頑張って」
「うぅ、はぁいぃ」
そして勇貴達は眠りについた。
次の日の朝、勇貴は自分の上の少しの重さに気付き目を覚ました。
「.....うあぁぁぁ、うんなんだ?」
勇貴の布団は、お腹の辺りが少し膨らんでいた。それに気付いた勇貴はゆっくりと布団の中を見る。
「......」
「むにぁむにぁ~...おにぃ...ちゃん...だい...す...ぃ...」
「...おっと」
勇貴は一度、布団を戻しもう一度見みる。するとそこには先程みた天使...もといフウが幸せそうに眠っていた。
「...おっ...これは..どうゆう状況?」
「...おにぃ...いい..におい」
「におい!..フウ?起きてる?」
「むにぁ....むにぁ..」
「眠..てる?...いや、それより何でフウが?昨日フウはウルと一緒に寝たはず...」
そう勇貴が言うと隣のベッドを見る。しかしベッドにウルはいなく、綺麗に畳まれた布団があるだけだった。
「...あれ?ウル?..どうゆう事?..これは..夢..夢か!そうかだからフウが自分の上に!それにしても可愛いな...それにこのケモミミ!ピコピコ動いてるのがなんとも!」
勇貴はフウの耳を優しく触る。
「おっほっぉ~!これはなんともフカフカで...うん?フカフカ?触れる?」
「んっ..あっ..」
「...はっはははっ...随分リアルな夢だなー」
そんな時、部屋をノックする音が聞こえた。
コンコン
「ご主人様、失礼します。朝食の準備ができたのでフウを呼びに行かせたの.で..す...が」
「.....ですよねー」
ウルが勇貴の布団の膨らみに気付く
「...ご主人様」
「いっいや!違うんだよ!なんか起きたらフウがね!なんかこーね!」
「ご主人様、失礼します。」
そうウルが言うと勇貴の布団を勢いよく取った。
「うっ...うぅぅぅ...あっ!おにぃちゃんおはよう」
そうフウが言うと勇貴にぎゅっと抱きついた。
「おっおはよう」
「もう!フウ!「おはよう」ではありません!ご主人様を呼びに行ってと私は言ったのになぜご主人様と一緒に寝ているんですか!」
「おにぃちゃんをびっくりさせておこすためにふとんにもぐった。そしたらおにぃちゃんのにおいがいっぱいしてそれにむちゅうになってたら...いつのまにか..」
「えっ!ご主人様の匂い!それはなんてうらやまっ...うっうん!次からは気を付けるんですよ」
「はい!」
「という訳で、朝食の準備ができました。ご主人様、といっても受付の方に頼んだだけですけど」
「...おっおう、じゃ~行こうか」
「はい、ご主人様」
「はい、おにぃちゃん」
そう言って勇貴達は宿屋の食堂に向かった。