23話 悪いのは全部グノーシス?
勇貴が奴隷商のアリスト・スレイブでフウの治療をしている頃、神界ではグノーシスがラジエルと破壊神ネルが居る中で...十字架の柱に手足を縛られ磔にされていた。
「...あの~ラジエル君、わしはなぜ...こんな格好を?」
「..自分の胸に手を当てて考えてみたらいかがですか?」
「ほっほっほ、わしは今、手を縛られていのからそれはできんの~」
ギロッ!
グノーシスが冗談めかして言うと、ラジエルがグノーシスを鋭い目つきで睨む。睨まれたグノーシスは観念したように言った。
「....ごめんなさい」
「..よろしい、それで..心当たりはありましたか?グノーシス様」
「いや~ちょっと分からんの~」
「...そうですか、ではもう少し時間をあげますので、しっかり考えて下さいね..では、私達はまた明日来ますので」
「ちょっ!ちょっと待つのじゃ!」
「...どうかしましたか?」
「あっ明日と言うのは、ちと長すぎるのではないかのぉ?」
「そうですか?どこかの誰かさんが真面目に考えないので反省の時間が必要ではないかと思ったのですが」
「うっ...じゃっじゃがの~」
「それに、私達はどこかの誰かさんと違って忙しいんです。」
「うっ...せっせめて拘束を解いてくれんかのぉ」
「それはダメです!」
「なっなんでじゃ!別に逃げたりはせんから..のぉ、ダメかのぉ」
「そういう訳ではありません」
「?..じゃ~どういう訳なんじゃ」
「それは、私の日頃のうら....グノーシス様にしっかり反省してもらうためです」
「今!恨みって!恨みって言おうとしたじゃろ!」
ラジエルは目をそらして言う。
「...気のせいです」
「目を見て言わんかい!」
「うっ!うるさいですよ!そもそもグノーシス様が悪いんですよ!全く...言うことがなければもう行きますよ!」
「まっ!待つのじゃ!あっ!わっ分かった!言う!言うからぁ!」
グノーシスが言うと、ラジエルは足を止め、グノーシスを見ると目を細くして言う。
「...ほう、ではどうぞ」
「うっ...ゆっユウキ君の夢に干渉しました。」
「そうですね、干渉..してましたね..それで?」
「そっそれで?」
「まさか私が知らないとでも?...それで?」
「...ユウキ君に..あっ新しい力を..あげました。」
グノーシスの言葉にラジエルは捲し立てる。
「そう!そうです!私は言いましたよね!前のままでも力を与えすぎだと!それなのに..それなのに!また..また!貴方という人は!もう!どれだけ言えば分かるんですか?!アホなんですか?!バカなんですか?!創造神は飾りですか?!」
興奮したラジエルに焦ったようにグノーシスが言った。
「まっ待つのじゃ!わしは!わしはネルに脅されて!仕方なく!そっそれにネルだってユウキ君に加護を与えておったのじゃ!」
そんなグノーシスの言葉を聞いてもネルは驚いた様子もなくそのままグノーシスを見ているだけだった。
「......」
「ネルよ!ネルもなんか言わんかい!」
「...私が...頼んだ」
「ほっほれ、ネルも言っておるだろ」
「...でも...最後に...決めたのは...グノーシス」
「なっ!これ!ネルよ!何を言っとるか!あれはネルがわしを脅したからじゃろ!らっラジエル君!信じておくれ!」
「そんな事はどうでもいいのです!」
「なっ!何を言っておるのだラジエル君!君はちとネルに甘いのではないのか!ネルはそんな見た目でも、わしと歳は大して変わらぬ!言ってしまえばネルは見た目が幼いだけのロリバぁぐはぁぁぼぉ!」
ドォォン!ピキピキピキ
ネルはグノーシスの言葉を遮るようにグノーシスの腹を一発殴った。するとグノーシスが磔にされていた柱に罅が入った。グノーシスがネルに殴られ伸びているグノーシスを見たラジエルは軽蔑したような目で言った。
「今のはグノーシス様が悪いですね、女性に、しかも目の前に居る女性に年齢の事ばかりか暴言まで!当然の報いです!ネル様、少しスッキリしました。ありがとうございます。」
「...私が...したいから...やっただけ」
「ふふっ、それでも..ですよ」
「......」
その時、ネルに殴られ伸びていたグノーシスが目を覚ました。
「はっ!...わしは..確か..そっそうじゃ!ネルに殴られて!ネルよ何てことをするのじゃ!」
「...グノーシス...うるさい...それに...さっきのは...グノーシスが悪い」
「ええ、そうですね、グノーシス様はもう少しデリカシーというものを考えた方がよろしいかと」
「ふん!何がデリカシーじゃ!それならお主らも直ぐに手を出すのをやめたらどうなんじゃ、そんなんだから浮いた話しの一つもなっあがぁぁふぅぼぉふぅおぉぉお!」
ドガァァァンピキピキピキピッ
グノーシスの言葉をラジエルとネルが示し合わせたように一緒に腹を殴り止める。グノーシスか再び伸びているとラジエルは焦ったように言った。
「わっ私は別に..いっ今まで良い人が居なかっただけですし!それにグノーシス様が私達の仕事を増やすせいでプライベートの時間が少ないんです!だから!それは!全部グノーシス様のせいです!」
「...私は...ユウキが...居る」
「なっ!ネル様!それはどういう!どういうことですか!ゆっユウキって例の異世界人ですよね!」
「...そう...ユウキは...私を...可愛いって...言った」
「なっ!」
「...頭...撫でてくれた」
「なっ!ネル様!それは!それは裏切りです!酷いですよ!」
ラジエルがそう言うと、得意げな顔でネルは胸を張る。
「ふん」
そんなネルを見て涙目になるラジエルを見てネルが言う。
「ラジエル...大丈夫...ラジエルも...ユウキに...ナデナデ...してもらう」
「えっ!でも..私なんか」
「大丈夫...ユウキ...良い子...それに...ラジエル...可愛い」
「はっ!ネル様!」
ラジエルがネルに抱きつくとネルがラジエルの頭を優しく撫でる。
「よしよし」
そんな光景を目を覚ましたグノーシスが見て言った。
「...お主ら、それを浮いた話しに入れてよいのか?」
グノーシスの声を聞いたネルは、ラジエルの頭を撫でながらグノーシスに言った。
「グノーシス...ラジエル...泣かせた...酷い」
「なっ!わっわしが悪いのか!」
「そうです!全部グノーシス様のせいです!」
「よしよし...ラジエル...大丈夫...私が...お仕置き...する」
そうネルが言うとグノーシスに近づいていく。
「なっ!ネル!何をするつもりじゃ!うっ!くるなぁ!うっ!くるなぁぁぁ!」
近づくネルから逃げようと縛られている手足をバタバタと激しく揺らす。すると柱がグノーシスの方に傾いた。
ガゴンッ!ガガガガガガガガッ
「えっ!なっ!なんじゃ!なんじゃ!はっ柱が!傾いとるぞ!やっ!やっじゃぁぁ!つっ潰れる!ネル!ラジエル君!助けておくれぇぇ!」
そんなグノーシスをネルとラジエルはただ見ているだけだった。
「ちょっ!ちょっと!冗談じゃろ?!あっ謝る!謝るから!やっ!やじゃぁぁぁドガァァァァァン...」
柱に潰されたグノーシスを見たネルとラジエルは一度目を合わせると何事もなかったように言った。
「...さて、ネル様、そろそろ行きましょうか」
「...うん」
その後、グノーシスはたまたま通りかかった下級神と下位天使により無事に救出された。救出されたグノーシスはまた暫くミイラ男のように包帯で全身をぐるぐる巻きにしてベッドで過ごした。