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マイ・ジャスティス  作者: 龍希
18/60

18話 夢の中

勇貴が目を覚ますと天井が真っ白だった。いや、全てが真っ白な場所だった。

「あれ?...昨日..宿屋で寝た..はず...てかここ..どっかで...あっ!神界!」

勇貴が言うと、それに答えるように声がした。

「ほっほっほっ、それはちと、違うの~」

「この声は!グノー....」

勇貴が声がした方を向くとそこにいたのは...包帯で全身ぐるぐる巻きにしたミイラ男のような者だった。

「...あの~どちらさんですか?」

「もう忘れたのかの~ほれ、わしじゃわ・し!」

「え~と、もしかしてグノーシス様...ですか?」

「なんじゃ覚えているではないか、それに『グノーシス様』などではなく、前のように『グノーちゃん』と呼んでもよいのじゃぞ」

「そんなん!呼んだことねえよ!...ったく、まだ諦めてなかったのかよ...それに今、グノーシス様包帯で顔も何もかもぐるぐる巻きじゃないですか!そんなんで、すぐにグノーシス様って分かりませんよ」

「あ~そう言えばそうじゃったな、どれ顔のだけでも取るかの~....どうじゃ」

「いや、『どうじゃ』って言われても、グノーシス様ですねーってぐらいしか」

「いやいや、前よりかっこよくなった、とか凛々しいです、とかこの包帯はどうしたのか、とかいろいろあるじゃろ?」

「....それで、ここ神界...じゃないんですよね?じゃ~ここどこですか?」

「スルーじゃと!!...まっま~よい、それでユウキ君の質問じゃがの、簡単に言うとここはユウキ君の夢の中..かの~」

「夢..ですか?」

「ふむ、そうじゃ、ユウキ君が眠っている所にわしが干渉して今の光景を見せておる、これはあらゆる条件が必要で滅多にできないんじゃが..ちょうどユウキ君に会って話したいこともあったからちょうどよかったわい」

「話し..ですか?」

「ふむ、そうなんじゃよ、ユウキ君の他にも勇者として召喚した者達がいると言うのは話したと思うんじゃが」

「いや、聞いて無いよ..こっちでユスティーツの冒険者ギルドのギルドマスターのギドって言う人から王都で勇者が召喚されたって、ちょっと聞いただけで」

「うん?そうじゃったかの?...う~ん、まっ!そう言うことじゃ!」

「...いや、どういう事だよ!」

勇貴がグノーシスと、そんな話しをしていると、いきなり勇貴の隣から声が聞こえた。

「グノーシス...真面目に...やって」

「うおっ!」

勇貴が声に驚き隣を見るとそ、そこには12歳位の紫色の長い髪に垂れ目気味で眠たそうな目をしていて、とても保護欲をくすぐる顔をしている美少女がいた。

「...(かわいい!!!)」

「ほっほっほっほ!ネルがかわいいとな?」

「え!今、自分声に出してました?」

「いやいや、言ったじゃろ?ここはユウキ君の夢の中じゃと、つまり君が頭の中で考えたことは、わしらには筒抜けじゃと言うことじゃ」

「マジか!..てか『わしら』ってことは...つまり...」

勇貴がネルに視線を向けると、少し頬を赤く染めたネルが勇貴を見て言った。

「......聞こえた」

「すんませんでした!!!」

「...なぜ...謝る?」

「いや、なんか...不快に思ったんじゃないと」

「...別に.....嬉しかった」

「(あっ...なにこれ...超かわいい)...あっ!」

勇貴がまた心の中で思った時、ネルの頬がまた少し赤くなった。その時グノーシスがネルを見て言った。

「ほっほっほっほ、ネルよ照れておるのか?ま~お前は見た目は可愛いからの~わしには、ただの暴力おんあがぼふぅ...」

ヒゥーーーーーーーーーーードガァン!!!!!

勇貴が音のした方を見るとものすごい白い煙が出ていた。そして、グノーシスがいた所には、いつの間にか移動していたネルが煙の方を見ていた。ネルが勇貴の視線に気づくと、勇貴に近いて勇貴の正面に来た。

「...私は...ネル...破壊神...ネル」

「破壊神...(そっか~ネルって言うのか~それにしても正面から見るとさらにかわいいな~)...あっ!」

「...あなた...私...怖く...無い?」

「え?ネル様が?いえ、全く(むしろ自分の膝の上に座ってもらって頭ナデナデしたいです)...あっ!

ねっネル様こっこれは、けしてけっしてヤマシイものではなくてですね、その~あの~自分は可愛いものに目が無くてですね...つい...」

勇貴が必死に言い訳を口にしているとネルは頬を赤くし少しもじもじしながら俯いて言った。

「..別に..怒ってない..むしろ..嬉しい」

「え?(なんだ!このかわいい生き物は!)..ぐはっ!」

勇貴は、ネルの可愛いらしさに耐えきれず鼻血が出た。

「大丈夫?」

「はっはい!大丈夫です!」

「そう?」

「はい!..それにしてもネル様はっ」

「ネルで..いい」

「え?いや、でも神様を呼び捨てって言うのはちょ「頭...さわって...良い」...マジ..ですか」

勇貴の言葉にネルは首を縦に振り答える

「...ネルって...呼ぶなら」

「喜んで!ネル!」

「ん...はい」

ネルがそう言うと、勇貴に頭を差し出してきた。

「...いいのか?」

「ん...約束...した」

「じゃっじゃ~遠慮なく...」

勇貴がネルの頭に手を置くと、ゆっくり手を動かしネルの頭を撫でる。

「(ネルの髪を撫でるとまるでシルクを撫でているかと勘違いするほど心地よく、いつまででも触っていたいと思うほどで、そして近くでネルの髪を見ると一本一本の髪がまるで宝石のアメジストでできているのではないかと思うほどキラキラと輝いていた。)」

勇貴が、そんな事を考えながらネルの頭を撫でていると、ネルから声にならない声が聞こえてきた。

「...あっ..うっ..あぁ..はぁ.はぁ.はぁ」

「ねっネル?...大丈夫か?」

そう言いながら勇貴がゆっくり手をネルの頭から放す。するとネルは名残惜しそうな声を出すと、今まで自分の頭に乗っていた勇貴の手を見たあと、勇貴に視線を戻し、口を開いた。

「....ん...大丈夫...ちょっと...恥ずかしかった..だけ」

「え?」

「ユウキ...ユウキって...呼んで...いい?」

「えっ、あっ、うん、全然いいよ」

「ん...ユウキ...また...心の声...漏れてた」

「え?...じゃ~さっきの恥ずかしかったのって」

「ん...全部...聞こえた」

「うおぉーーー恥ずーーーーーー!!!」

勇貴は床を転げ回った。そんな勇貴を見て今まで表情があまり変わらなかったネルが少し微笑み言った。

「でも..嬉しかった..ありがとう」

それを見た勇貴は、床に転がったままの姿勢で停止し、鼻血を流しながらしばし、そのネルに見とれていた。

「(あぁ~天使だ~いや、ネルは神だから女神か?さすが女神だ!!!微笑みだけでこの破壊力!!!あっ!まさかネルが破壊神なのはこれが理由か!!!はっ!この声も聞こえている!..だが、ネルの笑顔の前ではどうでもいいな!あ~この時間が永遠に終わらなければいいのに...」

だが、その時間は、すぐに終わりを告げた。もう一人の神によって。

「...ほっほっほっ、やっと戻ってこれたわい、酷い目に遭ったわい...おや?ユウキ君鼻血が出とるぞ..大丈夫かい?」

「チッ」×2

勇貴とネルは舌打ちをした。

「え?舌打ち?今!舌打ち!舌打ちしたよね!」

「...グノーシス...バカ」

「あー大丈夫ですよグノーシス様ー(チッ、なんてタイミングで帰ってきてんだよ!このくそじじいぃ!)」

「....ネルはともかく...ユウキ君?どうしたんじゃ?心の声が凄いことに...わしの事..くそじじいぃ..って」

「...気のせいですよ!」

「いや、しかしの~」

「気のせいですよ!」

「いや、たし「...グノーシス...それは...今...どうでもいい」...」

「どうでもいい事はなかろう!」

「...どうでもいい...それより...ユウキに...ワープと...神託のスキル...あげて」

「はっ?なんでじゃ?」

「そのスキルで...いつでも...ユウキに...会えるし...話せる」

「いやいや、理由になっとらんじゃろ?」

「...私も...ユウキに...私の加護...あげる」

「あっ!そうなの?じゃ~あげても...ってならんわ!!!それにネルはともかく、わしはもうユウキ君に力をあげすぎとラジエル達から言われて..ってネルも知っとるじゃろ!」

「...それは...ユウキが...悪い子だった時...大変だから...でも...ユウキ...いい子...問題ない」

「いや、しかしの~わしもユウキ君には、出来るだけ協力したいが...これ以上能力をあげると、わしがラジエル君から怒られるんじゃぞ」

「...それは...大丈夫」

「おっ!何か良い案があるのか!」

「...能力をあげるのは...グノーシス...つまり」

「つまり...」

「...私は...怒られない...だから...大丈夫」

「ふむふむ..え?」

「...だから...早く」

「いやいやいや、何が『だから』じゃっ!何も解決しとらんじゃないか!」

「じゃ...あげないなら...殴る」

「理不尽!すぎるのじゃーーーーーー!!!」

「...早く」

「..........」

黙ったままのグノーシスにネルは拳を握り脅すように近いていく。

「わっわっ分かった!分かった!やる!やるのじゃ!...ほっほれ」

グノーシスが勇貴に何か投げるような行動をすると勇貴の体が一瞬淡い光に包まれた。その光に満足したのかネルはグノーシスに近くのを止め、視線を勇貴の方に戻した。

「ん...ユウキ...これで...いつでも...会える...嬉しい」

「えっ、あっはい!自分も嬉しい..で.す..あれ?」

勇貴がネルに答えていると、急に睡魔が襲ってきた。

「...そろそろ...時間...みたい」

「え?」

「...そろそろ...勇貴の...夢が...覚める」

「えっ、じゃ~」

「ん...これ...私の加護..」

ネルがそう言うと勇貴を紫色のキレイな光が勇貴を包んだ。

「...またね...ユウキ」

勇貴は、小さく手を振り微笑むネルの姿を最後に意識を手放した。



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