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ラノベの世界の狭間にて  作者: 雪山 雪崩
カルム王国編
30/36

入国①

 二十分ほど経っただろうか。俺はようやく森を抜け、小高い丘に出た。

 そして、その先に城が建っているのを発見した。

 『城』といっても、中世ヨーロッパの宮殿付きのお城のような美しいものではなく、ただ防御の機能だけに特化したかのような、要塞のような城だった。きっと山を切り開いて築いたのだろう。斜面と城とを分かつ堀に、切り立った城壁や見張り台の役割を持つ尖塔が見える。

 そして、城の前には小さな城下町があった。

 よし、とりあえずあの町を目指そう。きっと色々な情報が手に入るはずだ。それに、異世界の城下町にはクエストが募集されているというのがラノベの相場だ。なら、魔術を覚えて強くなった俺にもできるクエストがあるかもしれない。上手くいけば、手に職をつけて、このまま屋敷に帰らずに済むかもしれないぞ。

 町の入り口には、ちょっとした行列ができていた。俺は列に混ざりながら前方を確認した。

 行列には、荷物を車に積んだ行商人が目立った。車を引いているのは、サイのような図体をした名の知らぬ動物だ。その他には、粗末な衣服を身にまとう浮浪者風の者や剣や槍を担いだ冒険者のような恰好の者もいた。

 行列に並ぶ者の種族も様々だ。人間はもちろん、二足歩行する猪『オーク』、ずんぐりむっくりの小悪魔『ゴブリン』、薄青色の肌をした怪物『オーガ』のような魔族までいた。ここでは人間も魔族も関係なく暮らしているのだろうか。

 入り口の白い石でできたアーチの傍に、木で作られた掘っ建て小屋があった。行列のアーチの奥には、数人の衛兵が控えている。

 衛兵はこげ茶色のとんがり帽子に、濃紺の服を着ている。胸のあたりには、六芒星のような幾何学的な模様があしらわれていた。

 俺はこの兵装に見覚えがあった。はて、あれはどこで見たんだっけ。

 行列の先頭の者は、次々と小屋に向かって何か見せている。

 入国審査だ。

 見ると、周りの者達は大きめの木の札のようなものを首からぶら下げていたり、手に握ったりしていた。

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