総会2日目 前編
2日目の総会が開催された。
イサクが開会の宣言をし、今後の葛葉の方針を決める決議を提案した。開会を宣言する時にイサクの声が上ずっていた。緊張しているのだろう。
「最初に本日決議するかどうかについて承認をお願いします。議論する時間がまだほしい人は否決してください。では投票を開始します。
「過半が得られましたので、本日葛葉の意思決定を行います。
本件は重要事項案件に該当しますので、2/3の可決により葛葉全体の意思と見なします。
もしどちらも2/3に満たない場合はそれぞれの立場から代弁者が意見を表明をしてもらい、その後再投票を行います。
なお議長の立場から本件は条件付投票とすることを提案致します。
1つ目の条件は無記名投票とすること。
2つ目の条件は意見付加式投票とし、なぜそちらに投票したのか必ず意見を付けて投票するよう制約を課します。
避難する場合は理由だけでなく避難先についての意見も入れてください。
3つ目の条件は投票期間を1時間とし、投票した結果を伏せたまま投票した人の意見だけを随時公開します。
もし誰かの意見を見て投票を変える場合、時間内であれば認めることとします。1時間経過すると投票を締め切ります。
以上の条件付投票にすることの是否について、承認をお願い致します」
「過半の承認が得られましたので、これから投票を開始します。1時間後に集計結果を公表します。ただ今から投票を開始致します」
投票が始まると、次々に意見が端末に表示される。意見を見るとやはり残留する人が多いようだ。中には皆に感謝の言葉を書きこむ人もいた。
僕は子供を連れて避難をすることを書き込んだが、残留の意見に埋没していった。
「一同静粛に。これから投票結果の発表を行います」
端末に投票結果が表示される。
「87%を得て残留と決定致しました。目立った意見を読み上げます。
葛葉を離れると端末が使えなくなることについての不安がある。特に痛み止めも切れるのであれば避難したくないという意見が多いようです。
他には避難するにしても行き先が決まらないことについての不安を訴える意見が出ています。
それだったら葛葉で死にたい、他のコミューンに迷惑をかけたくない、争いを避けたいという意見も目立っています。
コミューン運営規則58条第2項により、この議決は明日から発効されます。
本日はまだこの決定に拘束されません。
もし避難したい人がいれば、今日中にコミューン離脱の意思表明をすればその人の持分となる食料が分配されます。手続きについては……」
「要、あなたはこれをどう思いますか。この結果をあなたは受け入れることができるのですか」
発言したのは僕だった。
気がついた時にはもう叫んでいた。
要が答えた。
「子供達をどうするのか、俺に聞いているのだろう。なつめ」
「スクールの人も本当は死にたくはなかったはずです。彼らは自分達の誇りを守る為に戦った。しかしそれだけじゃあ、ありません」
感情を抑えるべきだ。そうでないと伝わらないから。しかし走り出した気持ちが抑えられない。
「彼らは残される人の為、得るものよりも失うものの方が多い中に、命ひとつで飛び込んでいったんです。
葛葉は彼らに生かされたと言ってもいい。その彼らの行動に何も感じないのですか。
葛葉の未来は子供達です。彼らから託された未来を、私達がここで終らせてしまっていい訳がありません。
私達も抗おうではありませんか」




