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ラストリゾート  作者: 水野たまり
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スクールでの生活

 スクールでの暮らしが始まった。


 着いたその日の朝、リーダーが全員を集めて僕を紹介してくれた。全員男性で50人いるかいないかぐらいだろうか。その場で随行させてくれる人が選ばれた。


 ここでは誰もが自分で食料を調達している。


 畑や水田をつくれるほどのスペースはない為、狩りと漁、野草や木の実の採取などで食料を得ているようだ。調理も自分で行っている。


 随行させてもらった人はそれぞれ自分独自のノウハウで食料を確保していた。

 

 単独行動をする人が多いが、仲の良い者同士で食料や情報の交換をしたり、共同で狩りをする小規模なチームもあるようだ。


 狩りや漁で得られた肉や魚は日持ちするように加工される。肉を干す為の専用の場所もある。


 加工された食料はリーダーのいる執務室と倉庫を兼ねている大きな建物で一括管理されている。

 

 食料を倉庫に預け終えると、その日は昼寝をしたり、道具の手入れをしたりなどして皆好きに過ごしている。


 驚くことにここでは明文化されたルールがない。


 不文律のようなものはあるが、多くは狩りに関することだけだ。日常生活に関するルールはないようだが、それでも大きな混乱は見られない。


 コミューンはルールによって集団が統制されているが、スクールは個人がたまたま集まって共同生活を営んでいるという印象だ。


 女性達は別の場所で暮らしていて、開拓が完了したら合流する予定らしい。


 組織は初日に会ったアンジェという男がリーダーをしていて、僕を捕まえたオリエという男が治安担当兼リーダー補佐をしている。

 

 朝礼はリーダーの呼びかけによって必要に応じて行われる。全員での共同作業がある時も朝礼で伝えられるようだ。


 朝礼と共同作業以外は各自、自由に行動している。自分の仕事が終ったら昼寝をしている人もいる。


 ここでは食料を獲得する能力が高い者が尊敬されるようだ。

 

 早々に食料を確保して、昼寝をしてばかりいる者が一目置かれている。だから昼寝をする人は、これ見よがしに昼寝をしている。コミューンでは考えられないことだ。


 コミューンが他人の目によるチェックがある為、必要以上に勤勉になりやすいのに対して、ここでは誰も他人の目を気にしない。いわゆる同調圧力みたいなものは皆無だ。


 但し夜になるとスクールの雰囲気が変わる。コミューンと同じように酒盛りが行われ、急に賑やかになる。


 賑わいの質はやはりどこかコミューンと違うように思う。

 

 また道化といわれる人がいるのもスクールの特徴だろう。面白おかしい話をしたり、ユニークなダンスを踊ったり、誰かの物まねをしたりなど、夜の主役と言ってもいい。


 概してスクールの人は気まぐれだ。

 

 いやそれを気まぐれと思うのは、無意識に僕がコミューンと比較しているせいもあるかもしれない。


 他には僕が滞在している時には開催されなかったが、アームレスリングや相撲が行われることもあるらしい。

 

 コミューンでは遊びで怪我をしてはいけないので、子供しかやらない。


 そうした活発に動く人がいる一方で、ただ黙って酒を飲んでいる人も多い。スクールの人はそもそも無口な人も多い。


 コミューンでは1人で飲んでいると周囲がほっておかないところがある。楽しんでいないのではないかと心配して、周囲が気をまわしてくれるのだ。


 ここでは1人でいても、自分から話しかけない限り放置される。誰がどう過ごそうといいだろうというような雰囲気がある。


 中にはハンモックに揺られながら星空を見ているだけの人もいる。ここでは人々がばらばらに過ごしているけれど、とてもゆるやかな空気がある。


 3日目の夜を迎えたのでリーダーのところに挨拶に行くつもりだった。


 スクールの人に聞くと、昼はスクールの人間の話相手をして、夜は旧政府の仕事をしているそうだ。


 仕事の邪魔とならないように明日の朝に少し話を聞いてから葛葉に帰ろう。

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